【第53回谷崎潤一郎賞】松浦寿輝さん『名誉と恍惚』が受賞
平成29年度(第53回)谷崎潤一郎賞の選考会が8月28日に行われ、松浦寿輝さんの『名誉と恍惚』(新潮社)が受賞作に決定しました。
谷崎潤一郎賞について
谷崎潤一郎賞は、中央公論新社が創業80周年を記念して、1965年に創設した文学賞です。明治・大正・昭和を通じて、幅広いジャンルで活躍した谷崎潤一郎の業績にちなみ、「時代を代表する優れた小説・戯曲」を顕彰します。
受賞者には正賞として記念品、副賞として100万円が授与されます。
第53回谷崎潤一郎賞について
今回、『名誉と恍惚』が受賞作となった松浦寿輝さんは、1954年生まれ。東京都出身。詩人・小説家で東京大学名誉教授。高見順賞、三島由紀夫賞、渋沢・クローデル賞、芸術選奨文部大臣賞(評論等部門)、芥川龍之介賞、萩原朔太郎賞、鮎川信夫賞など、詩・小説・評論などで多数の賞を受賞しています。
選考委員は、池澤夏樹さん、川上弘美さん、桐野夏生さん、筒井康隆さん、堀江敏幸さんの5氏。
なお、選評は、10月10日発売の『中央公論』11月号に掲載される予定です。贈呈式は「中央公論文芸賞」とともに、10月11日に東京・紀尾井町のホテルニューオータニで開催されます。
名誉と恍惚
ふるさとなんかどこにもないが、生きてやる。おれの名誉と恍惚はそこにある。
ふるさとなんかどこにもないが、生きてやる。おれの名誉と恍惚はそこにある。
日中戦争のさなか、上海の工部局に勤める日本人警官・芹沢は、陸軍参謀本部の嘉山と青幇の頭目・蕭炎彬との面会を仲介したことから、警察を追われることとなり、苦難に満ちた潜伏生活を余儀なくされる……。
祖国に捨てられ、自らの名前を捨てた男に生き延びる術は残されているのか。千三百枚にも及ぶ著者渾身の傑作長編。
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