生誕110年『太宰治 創作の舞台裏』が刊行 「斜陽」「人間失格」のほか、初公開「お伽草紙」直筆原稿も掲載
春陽堂書店は、今年で生誕110年をむかえる作家・太宰治(1909~1948)の原稿や写真などの貴重な資料を収録した書籍『太宰治 創作の舞台裏』(編:公益財団法人 日本近代文学館)を刊行しました。
太宰治の文学はどのように生み出されたのか――
『太宰治 創作の舞台裏』は、2019年4月6日より日本近代文学館(東京都目黒区)にて開催されている春季特別展「生誕110年 太宰治 創作の舞台裏」(https://www.bungakukan.or.jp/cat-exhibition/11837/)の図録として刊行されます。
出品されている太宰治の原稿・草稿やノート、構想メモなどの自筆資料、旧蔵書への書き込みや地図などの執筆参考資料をカラー図版にて収録。これまで紹介されることの少なかった資料を読み解くことで、太宰文学誕生の背景にせまることができる構成になっています。
特に今回の特別展にも出品されている「お伽草紙」の完全原稿は初の書籍掲載となります。防空壕の中で子どもに絵本を読み聞かせる場面から始まる本作の原稿は、戦後の混乱のさなか刊行のたびに書き換えられていた事実も確認することができ、時代の変転を示す貴重な資料でもあります。
近年のサブカル発信による“文豪ブーム”でも太宰治は特に人気のある作家ですが、最近のファンだけでなくこれまで太宰作品を多く読んできた方にとっても、より深く作品世界に触れることができ、新たな発見も楽しめる一冊です。
本書の目次
刊行にあたって 坂上 弘
はじめに 安藤 宏
第1部 「太宰治」のルーツ
津島家
習作時代
第2部 ノート・落書きを中心に
中学・高校時代のノート
伝記資料
第3部 原稿・書き換えの跡をたどる
活字にならなかったもう一つの世界
「火の鳥」/「カレツヂ・ユーモア・東京帝国大学の巻」/「悖徳の歌留多」
未定稿から完成稿へ
「善蔵を思ふ」/「如是我聞」/『井伏鱒二選集』
友情―書画より
第4部 典拠・小説に用いた資料
「富嶽百景」
「天狗」
「不審庵」
「右大臣実朝」
「惜別」
第5部 戦争の影
検閲―戦中と戦後
「花火」/「佳日」/「小さいアルバム」/「冬の花火」/「パンドラの匣」
太宰治・井伏鱒二 戦後疎開中の往復書簡から
初公開「お伽草紙」原稿
第6部 「斜陽」と「人間失格」
「斜陽」の世界
「人間失格」のできるまで
三鷹にて―家族とともに
【巻末資料】太宰治年譜
日本近代文学館について
公益財団法人 日本近代文学館は、日本初の近代文学の総合資料館。1963年に財団法人として発足、1967年に東京都目黒区駒場に現在の建物が開館した。
専門図書館として資料の収集・保存に努めるとともに展覧会・講演会等を開催し、資料の公開と文芸・文化の普及のために活動する。2011年より公益財団法人。2018年現在の所蔵資料は図書・雑誌・肉筆資料など117万点。
★URL:https://www.bungakukan.or.jp/
太宰治 創作の舞台裏 日本近代文学館 (著) 太宰治の文学は、どのように生み出されたのか―― |
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