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【第54回迢空賞】三枝昻之さん歌集『遅速あり』が受賞

歌集『遅速あり』(2019年4月 砂子屋書房刊)

歌集『遅速あり』(2019年4月 砂子屋書房刊)

角川文化振興財団は、1年間に刊行された歌集の中で最も優れたものに贈る「第54回迢空賞」の受賞作を発表しました。

 

第54回迢空賞が決定!

第54回迢空賞は4月15日に、新型コロナウィルス感染予防対策としてネット(Skype)を介したテレビ会議にて選考委員会を開催し、次の通り受賞作を決定しました。

 
<第54回迢空賞 受賞作品>

三枝昻之(さいぐさ・たかゆき)さん
歌集『遅速(ちそく)あり』(砂子屋書房)

 
今回の受賞作品の『遅速あり』は、『それぞれの桜』(2016年刊)に続く三枝昻之さんの第13歌集。平成22年から30年の作品から、前歌集に収録しなかった作品を収録しています。

 
選考委員は岡野弘彦さん、佐佐木幸綱さん、高野公彦さん、馬場あき子さん。選考委員選評など詳細は、5月25日発売の『短歌』6月号(角川文化振興財団発行/KADOKAWA発売)に掲載される予定です。

 
受賞者の三枝昻之さんには、賞状・記念品および副賞として100万円が贈られます。贈呈式は、6月26日(金曜日)午後3時から、東京・飯田橋のホテルメトロポリタンエドモントにて「第54回蛇笏賞贈呈式」と併せて開催される予定(中止または延期の可能性あり)です。

 
なお、最終候補作は以下の5作品でした。

【最終候補作】
◎川野里子さん『歓待』(砂子屋書房)
◎桑原正紀さん『秋夜吟』(青磁社)
◎三枝昂之さん『遅速あり』(砂子屋書房)
◎花山多佳子さん『鳥影』(角川文化振興財団)
◎吉川宏志さん『石蓮花』(書肆侃侃房)

 

受賞者プロフィール

受賞者の三枝昻之さんは、1944(昭和19)年1月3日、山梨県甲府市生まれ。早稲田大学高等学院進学とともに甲府から上京。弟の浩樹さんとともに歌誌「沃野」に入会し、植松寿樹さんに師事。早稲田大学入学と同時に早稲田大学短歌会に入会し、佐佐木幸綱さんや福島泰樹さんと知り合う。

早稲田大学政治経済学部卒業後、都立高校の社会科教師となり、初任校で先輩教諭だった馬場あき子さんと交友を深める。1969年、福島泰樹さん、伊藤一彦さん、三枝浩樹さんらと共に『反措定』を創刊。1978年に馬場あき子さん主宰の結社誌「かりん」に入会。1992年には三枝浩樹さん、今野寿美さんと共に歌誌『りとむ』を創刊、主宰。日本歌人クラブ会長。山梨県立文学館館長。宮中歌会始選者。

2002年に第7回若山牧水賞、2006年に第14回やまなし文学賞、第17回斎藤茂吉短歌文学賞、第56回芸術選奨文部科学大臣賞(評論その他部門)、第4回日本歌人クラブ評論賞、第4回角川財団学芸賞、2009年に第32回現代短歌大賞、2010年に第59回神奈川文化賞を受賞。2011年に紫綬褒章を受章。

歌集に『やさしき志士達の世界へ』『水の覇権』『地の燠』『暦学』『塔と季節の物語』『太郎次郎の東歌』『甲州百目』『農鳥』『天目』『世界をのぞむ家』『上弦下弦』ほか。著書に『現代定型論 気象の帯、夢の地核』『うたの水脈』『昭和短歌の精神史』ほか。

 

迢空賞について

迢空賞は、歌人で詩人の釈迢空(しゃく・ちょうくう)さんの遺徳を敬慕し、「世世に語り継ぎ、日本詩歌の振興に一層の努力を期す」ことを目的に設立された短歌の賞です。角川文化振興財団(第9回までは角川書店)が主催。

前年の1月から12月の間に刊行された歌集の中で最も優れたものに贈られます。

ちなみに、「釈迢空」は、民俗学者で国文学者の折口信夫(おりくち・しのぶ)さんの歌人としての号です。

 

 


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