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【第73回毎日出版文化賞】川上未映子さん、関根清三さん、医学書院、ブレイディみかこさん、池内了さんが受賞

第73回毎日出版文化賞が決定!

第73回毎日出版文化賞が決定!

毎日新聞社は11月3日、優れた出版物の著編者、出版社を顕彰する「第73回毎日出版文化賞」の受賞作品を発表しました。

 

第73回毎日出版文化賞を4名・1団体が受賞!

第73回毎日出版文化賞の受賞作品が、次の通り決定しました。
なお、贈呈式は11月28日午後2時、東京都文京区のホテル椿山荘東京で開催されます。

 
<第73回毎日出版文化賞 受賞作品>

■文学・芸術部門
川上未映子(かわかみ・みえこ)さん
『夏物語』(文芸春秋)

■人文・社会部門
関根清三(せきね・せいぞう)さん
『内村鑑三 その聖書読解と危機の時代』(筑摩書房)

■自然科学部門
該当なし

■企画部門
「シリーズ ケアをひらく」(医学書院)

■特別賞
◎ブレイディみかこさん
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)
◎池内了(いけうち・さとる)さん
『科学者は、なぜ軍事研究に手を染めてはいけないか』(みすず書房)

 

毎日出版文化賞について

毎日出版文化賞は1947年に創設。毎日新聞社が主催し、優れた出版物の著編者、出版社などを顕彰する文学・文化賞です。大日本印刷が特別協力。

「文学・芸術」、「人文・社会」(ノンフィクション、歴史、民俗、思想、哲学、宗教、政治、経済など)、「自然科学」、「企画」(全集、講座、辞典、事典、書評など)および、広く読者に支持され、出版文化の向上に貢献した出版物に贈られる「特別賞」の5部門で選考が行われます。対象となるのは、前年9月1日から当年8月31日までの間に初版が刊行された出版物、同時期に完結した全集などです。

「文学・芸術」「人文・社会」「自然科学」「企画」の各部門の受賞者には、賞状と記念品、賞金100万円が贈られます。また、「特別賞」の受賞者には、賞状と記念品が贈られます。

 

夏物語
川上 未映子 (著)

パートナーなしの妊娠、出産を目指す夏子のまえに現れた、精子提供で生まれ「父の顔」を知らない逢沢潤――
生命の意味をめぐる真摯な問いを、切ない詩情と泣き笑いに満ちた極上の筆致で描く、21世紀の世界文学!
世界十数ヵ国で翻訳決定!

大阪の下町に生まれ育ち、東京で小説家として生きる38歳の夏子には「自分の子どもに会いたい」という願いが芽生えつつあった。パートナーなしの出産の方法を探るうち、精子提供で生まれ、本当の父を捜す逢沢潤と出会い、心を寄せていく。いっぽう彼の恋人である善百合子は、出産は親たちの「身勝手な賭け」だと言い、子どもを願うことの残酷さを夏子に対して問いかける。この世界は、生まれてくるのに値するのだろうか―。

内村鑑三 (筑摩選書)
関根 清三 (著)

戦争と震災。この二つの危機に対し、内村鑑三はどのように立ち向かったのか。彼の戦争論はいかに変転し、震災論はどこへ行きついたか。本書は、聖書学の視点から、内村の聖書研究に基づく現実との格闘を、厖大な文章や数々の足跡に寄り添いながら追っていく。そこから浮き上がる思想的可能性と現代的射程とはいかなるものか。近代日本を代表するキリスト者の地歩を明らかにした、碩学畢生の書。

居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書 (シリーズ ケアをひらく)
東畑 開人 (著)

「ただ居るだけ」と「それでいいのか?」をめぐる感動のスペクタクル学術書!

京大出の心理学ハカセは悪戦苦闘の職探しの末、ようやく沖縄の精神科デイケア施設に職を得た。
しかし、「セラピーをするんだ!」と勇躍飛び込んだそこは、あらゆる価値が反転するふしぎの国だった――。
ケアとセラピーの価値について究極まで考え抜かれた本書は、同時に、人生の一時期を共に生きたメンバーさんやスタッフたちとの熱き友情物語でもあります。
一言でいえば、涙あり笑いあり出血(!)ありの、大感動スペクタクル学術書!

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
ブレイディ みかこ (著)

大人の凝り固まった常識を、子どもたちは軽く飛び越えていく。
世界の縮図のような「元・底辺中学校」での日常を描く、落涙必至の等身大ノンフィクション。

優等生の「ぼく」が通い始めたのは、人種も貧富もごちゃまぜのイカした「元・底辺中学校」だった。
ただでさえ思春期ってやつなのに、毎日が事件の連続だ。人種差別丸出しの美少年、ジェンダーに悩むサッカー小僧。時には貧富の差でギスギスしたり、アイデンティティに悩んだり。
世界の縮図のような日常を、思春期真っ只中の息子とパンクな母ちゃんの著者は、ともに考え悩み乗り越えていく。

連載中から熱狂的な感想が飛び交った、私的で普遍的な「親子の成長物語」。

科学者は、なぜ軍事研究に手を染めてはいけないか
池内 了 (著)

「科学倫理の書だけでは決定的に欠けているテーマがあった。科学者および技術者が軍事研究に手を染め、戦争で人間を効率的に殺戮するための手段の開発研究に深入りしている問題で、これこそ問われるべき科学者・技術者の倫理問題と言えるはずである。…本書はおそらく〈科学者は軍事研究に手を染めるべきではない〉と主張する最初の本になると思っている」

グローバル化が喧伝され、生き残るために倫理を置き去りにすることを当然としかねない現代、企業は儲けのために手抜きや不作為が常態化して安全性が二の次になり、政治は軍拡路線を拡大して貧富の格差の拡大を放置し、科学者の多くは研究費欲しさに軍事研究に励み、人々はお任せ民主主義になれてしまい、長期的な視点を失っている。このような時代にあって、著者は科学者の責任として、本書を書き下ろした。

第一次世界大戦、ナチス期の科学者や日本の戦時動員体制から、安倍内閣による「防衛装備庁の安全保障技術研究推進制度」の詳細、大学や科学者コミュニティの実際、AI兵器・ゲノム編集、デュアルユース(軍民両用技術)のあり方まで。若き科学者に向けて普遍的かつ喫緊なテーマの全体像をはじめて記す。

 
【関連】
社告:第73回毎日出版文化賞決まる – 毎日新聞
「第73回毎日出版文化賞」作品募集 | 毎日新聞社

 


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