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【訃報】翻訳家・天野健太郎さんが死去 『台湾海峡一九四九』『歩道橋の魔術師』『13・67』など翻訳

翻訳家の天野健太郎(あまの・けんたろう)さんが11月12日、膵臓がんのため死去しました。47歳。愛知県出身。通夜は11月14日午後6時、葬儀は15日午前11時、愛知県岡崎市八帖北町32の5、十方舎セレモニー城北にて。喪主は父の真次さん。

 
天野健太郎さんは、1971年生まれ。京都府立大学文学部国中文専攻卒業。2000年より国立台湾師範大学国語中心、国立北京語言大学人文学院に入学。帰国後は通訳や翻訳などで活躍。台湾書籍の紹介を行う聞文堂LLC代表。

おもな翻訳作品に、龍應台さん著『台湾海峡一九四九』、呉明益さん著『歩道橋の魔術師』、ジミー・リャオさん著『おなじ月をみて』、陳浩基さん著『13・67』などがあります。

なお、今月には呉明益さんの『自転車泥棒』の訳書が刊行されたばかりでした。また、11月12日に発表された第6回ブクログ大賞では「海外小説部門」で『13・67』が大賞を受賞しています。

 

台湾海峡一九四九
台湾文壇の重鎮による入魂のノンフィクション!
一九四九年、国共内戦に敗れた国民党政府軍と戦乱を逃れた民間人とが大挙して台湾へ押し寄せた。その数ざっと二〇〇万。一方、五〇年にわたる日本の統治期を経て、「外省人」という新たな勢力の大波にのみ込まれた台湾人。互いに痛みを抱えながらこの小さな島に暮らしてきた外省人と台湾人の「原点」を、六〇年が過ぎたいま、見つめ直す。
抗日戦終了後、休む間もなく国共内戦に投入され、最後は国民党軍の撤退とともに台湾へ逃れてきた軍人とその家族たち。南洋にあった日本軍の捕虜収容所で監視員を務め、戦後、戦犯として裁かれた台湾人。たまたま隣の島へ荷物を届けて、海域を封鎖された漁師──。
本書は、あらがえない時代の流れのなか、限られた運命の選択肢に自らを賭し、必死で生き延びてきた人々の姿を、当時の日記や史料をもとに丹念に描いた歴史ノンフィクションである。と同時に、これまで語られることのなかった〝敗者〟の声を真摯に汲み上げた記録文学でもある。
「世界で最も親日的な国」といわれる裏にどんな事情があるのか、独立か統一か現状維持かで常に揺れ動く背景に何があるのか。東アジア全域を舞台に、台湾随一のベストセラー作家が満を持して放つ歴史大作!

 
13・67
華文(中国語)ミステリーの到達点を示す記念碑的傑作が、ついに日本上陸!
現在(2013年)から1967年へ、1人の名刑事の警察人生を遡りながら、香港社会の変化(アイデンティティ、生活・風景、警察=権力)をたどる逆年代記(リバース・クロノロジー)形式の本格ミステリー。どの作品も結末に意外性があり、犯人との論戦やアクションもスピーディで迫力満点。
本格ミステリーとしても傑作だが、雨傘革命(14年)を経た今、67年の左派勢力(中国側)による反英暴動から中国返還など、香港社会の節目ごとに物語を配する構成により、市民と権力のあいだで揺れ動く香港警察のアイデェンティティを問う社会派ミステリーとしても読み応え十分。
2015年の台北国際ブックフェア賞など複数の文学賞を受賞。世界12カ国から翻訳オファーを受け、各国で刊行中。映画化件はウォン・カーウァイが取得した。著者は第2回島田荘司推理小説賞を受賞。本書は島田荘司賞受賞第1作でもある。

 
自転車泥棒
父の失踪とともに消えた自転車。その行方を追ううち、いつしか台湾から戦時下の東南アジアのジャングルへ―。壮大なスケールで描かれる傑作長篇。2018年国際ブッカー賞候補作。

 
【関連】
聞文堂
もっと台湾(歩道橋の魔術師が帰って来る)(@taiwan_about) / Twitter……聞文堂のアカウント。中の人は、天野健太郎さん。

 


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