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【大佛次郎賞・大佛次郎論壇賞】大佛次郎賞に高村薫さん『土の記』、大佛次郎論壇賞に砂原庸介さん『分裂と統合の日本政治』

朝日新聞社は、優れた散文作品に贈られる第44回大佛(おさらぎ)次郎賞と、優れた論考に贈られる第17回大佛次郎論壇賞の受賞作品を発表しました。

 

第44回大佛次郎賞および第17回大佛次郎論壇賞の受賞作品について

第44回大佛次郎賞および第17回大佛次郎論壇賞の受賞作品は次の通りです。

 
■第44回大佛次郎賞

『土の記』(高村薫さん/新潮社)

選考委員:佐伯一麦さん(作家)、後藤正治さん(ノンフィクション作家)、船橋洋一さん(元・朝日新聞本社主筆)、田中優子さん(法政大学総長)、鷲田清一さん(哲学者)

 
■第17回大佛次郎論壇賞

『分裂と統合の日本政治 統治機構改革と政党システムの変容』(砂原庸介さん/千倉書房)

選考委員:大竹文雄さん(大阪大学教授)、苅谷剛彦さん(英オックスフォード大学教授)、酒井啓子さん(千葉大学教授)、杉田敦さん(法政大学教授)、根本清樹さん(朝日新聞本社論説主幹)

 
大佛次郎賞を受賞した高村薫さんは、1953年、大阪市生まれ。国際基督教大学卒業。1990年に『黄金を抱いて翔べ』で日本推理サスペンス大賞を、1993年に『マークスの山』で直木賞を、1998年に『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞を、2006年に『新リア王』で親鸞賞を、2010年に『太陽を曳く馬』で読売文学賞を受賞。今回の受賞作『土の記』は今年の野間文芸賞も受賞しています。

大佛次郎論壇賞を受賞した砂原庸介さんは、1978年、大阪府生まれ。神戸大学大学院法学研究科・教授。著書に、サントリー学芸賞を受賞した『大阪』、『地方政府の民主主義』『民主主義の条件』『政治学の第一歩』など。

 
高村薫さんと砂原庸介さんには、賞金200万円が贈られます。なお、贈呈式は両賞とも来年1月31日に、東京・内幸町の帝国ホテルで、朝日賞、朝日スポーツ賞とともに開催。

 

大佛次郎賞および大佛次郎論壇賞について

大佛次郎賞は、小説、ノンフィクション、歴史記述など幅広い分野で活躍した作家・大佛次郎さんの業績をたたえて、1973年に朝日新聞社が創設。その形式のいかんを問わず、優れた散文作品に贈られます。

また、2001年に、新世紀の幕開けを機に「よりよい社会の創造を目指し、日本の政治・経済・社会・文化・国際関係等をめぐる優れた論考を顕彰」すべく、「大佛次郎論壇賞」が新設されました。

 

土の記(上)
ラスト数瞬に茫然、愕然、絶叫! 現代人は無事、土に還れたのだろうか――。青葉アルコールと青葉アルデヒド、テルペン系化合物の混じった稲の匂いで鼻腔が膨らむ。一流メーカー勤務に見切をつけ妻の里に身を落着けた男は、今年の光合成の成果を測っていた。妻の不貞と死の謎、村人への違和感を飼い馴らす日々。その果てに、土になろうとした男を大異変が襲う。それでもこれを天命と呼ぶべきなのか……。

 
土の記(下)

 
分裂と統合の日本政治 – 統治機構改革と政党システムの変容


▼1990年代、日本では2つの政治改革が進められた。1つは中選挙区制から小選挙区制への選挙制度改革、もう1つは地方分権である。▼小選挙区制は、派閥の価値と領袖の権威を崩壊させ、結果的に総理大臣(与党総裁)の権力を肥大させたが、地方分権は地方の首長の権限を飛躍的に拡大させた。▼それは「国政」と「地方政治」の間に権力の分裂を招き、与党(自民党)と野党(民主党)の外側に、より強硬な主張を掲げる地域政党(首長党)を生み出すことになった。▼野党が抱える困難に注目して、閉塞感漂う日本政治の構造的要因を見出す、最新の研究成果。

 
【関連】
<お知らせ>大佛次郎賞に高村薫さん「土の記」:朝日新聞デジタル
第44回大佛次郎賞 『土の記』――高村薫氏:朝日新聞デジタル
第17回大佛次郎論壇賞 『分裂と統合の日本政治――統治機構改革と政党システムの変容』 砂原庸介氏:朝日新聞デジタル
朝日新聞社インフォメーション | 大佛次郎賞・大佛次郎論壇賞

 


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