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『新・君主論 新しいビジネスリーダーの条件』ビジネスマンにとって「権力」は悪いものなのか?

『新・君主論 新しいビジネスリーダーの条件』ビジネスマンにとって「権力」は悪いものなのか?

『新・君主論 新しいビジネスリーダーの条件』ビジネスマンにとって「権力」は悪いものなのか?

ディスカヴァー・トゥエンティワンより、木谷哲夫さん著『新・君主論 AI時代のビジネスリーダーの条件』が刊行されました。

 

「権力」意識度チェック

本書は、これからのリーダーの在り方について、権力の観点から述べた内容になっています。

唐突ですが、”権力”についてどんなイメージを持たれているでしょうか?
まずは、こちらの質問について、各問から一つ自分に合っているものを回答してみてください。

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■問1 あなたの権力に関連すること(説得する、同盟する等の社会的活動を含む)に対する価値観は、どれに近いですか?

A 権力否定派
権力に関連することに対して、マイナスの価値観、否定的な気持ちを持っている人。
例:「どうせ、ずるく、人を蹴落とす人間でないと出世できないさ」
  「なんで社内の根回しなんかに関わらないといけない?もっと自分の仕事に集中させてくれよ」

B ニュートラル派
権力に対して肯定でも否定でもない中間の人(AとCの中間)。

C 権力肯定派
権力に関連することをプラスにとらえ、肯定的な面を評価する人。
例:「一時的に混乱しても、変革するには必要だ」
  「毎日ゴタゴタがあるほうがワクワクする。沈滞するよりずっといい」

■問2 あなたの行動志向はどれに近いですか?

1 受動タイプ
ゴタゴタは頭を低くしてやり過ごし、できるだけ関わるのを避けようとする。

2 予測タイプ
権力闘争で何が起こっているか高みの見物を決め込む一方で、結果を予測しようとする。

3 行動タイプ
権力抗争や政治闘争を見たり応援したりするだけでなく、自分も主体的に関わる。

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…いかがだったでしょうか?
以下の表と照らし合わせて、結果を確認してみてください。

この表を書籍内では「マキャベリ脳診断ツール」と呼んでいます。
マキャベリ脳とは、マキャベリズムに基づいた考え方(が出来るか)を指しています。

<マキャベリズム>
どんな手段や非道徳的な行為も、結果として国家の利益を増進させるのであれば許されるという考え方。ルネサンス期の政治思想家ニッコロ・マキャヴェッリ及び彼の著書『君主論』の内容に由来する。転じて、単に目的のためには手段を選ばないやり方を指す場合もある、権謀術数主義。

 

「権力」は悪いものなのか?

権力は、倫理と混合して話されることにより、

・人を操る
・裏取引
・背中を刺す
・裏切り
・中身もないのによく見せる

などのネガティブな印象を持たれがちです。
しかし、権力にはこうした否定的な面だけではなく、

・他人を説得する
・志の同じ人を見つけて連帯する
・人に報酬を与えて支持を得る
・自分のやりたいことの実現のために社会的な能力を駆使して戦う

などのポジティブな面もあるのです。

実際、イノベーションを起こす組織、変化しなくては生き残れない業界では、主体的な決断・行動が行える人、そして権力のポジティブな面を意識している人(=パワーリーダー)が重宝されます。

なぜなら、企業は独裁制だからです。
トップである独裁者にとって、自分を信頼してついてきてくれるかどうかが大事なのですから、権力に関わることをはなから嫌う人の価値は当然、低くなります。

先ほどの診断表に色を付けたものを以下に載せますが、色が濃いほど、企業に求められる人材となります。
つまり、A-1やB-1に該当した方は、より右上に該当するような行動と権力への意識を身につける必要があるのです。

 

「権力」の必要性と身につけかた

権力の必要性を示す良い例があります。

スペースXやテスラを経営し、最近も人工知能の会社を立ち上げたイーロン・マスクはご存知かと思います。
少し前のGIGAZINE NEWSで、彼が、テスラの社員に向けて送ったメッセージが話題になりました。
https://gigazine.net/news/20170901-elon-musk-what-great-communication-looks-like/

このメッセージは以下の三つのことを示しています。

テスラのような最先端の新興企業でも、組織内に壁ができ、大企業病がはびこる傾向があること。
従業員はどうしても居心地のいいサイロを作り出し、自分の安住の地を作り出そうとすること。
トップが強力でないと、人間の組織が持つその強い傾向を打ち壊すことはできないということ。
人間の本性や組織の自然な慣性に逆らうためには、強い権力が必要になるのです。

では、一体どのようにすれば(良い)権力を持った独裁者になれるのでしょうか?

パワーリーダーになるには、2つのステップが必要です。
一つは「権力基盤を構築する」こと、もう一つは「動員力を高める」ことです。

権力基盤を構築するためには、自分の支持グループを、その度合いによって「コア支持層」「コア予備軍」「一般メンバー」に分け、その組織をフル動員するための”連合”をつくっていくことになります。

実際の具体的な手法や考え方を身につけたい方は、本書の四章~五章で理論を学び、六章の演習で実践練習を行ってみてください。
きっと、権力をよりポジティブに、有効に使えるビジネスパーソンへと変わっているはずです。
そして読み終わったら是非、最初に載せた「権力」意識度チェックを再度行ってみて下さい。
少しでも右上に意識が変わり、変革の時代を生き抜くための”古くならない”スキルを手に入れられているはずです。

 

本書の目次

序 章 自分にパワー(権力)を取り戻せ

第一章 マキャベリ脳を診断する

第二章 良い独裁力と悪い独裁力を見分ける

第三章 良い独裁者になる方法を知る

第四章 権力構築の法則を使う

第五章 悪い独裁者を排除する

第六章 今日からパワー(権力)リーダーのスキルを実践する

 

木谷哲夫さん プロフィール

著者の木谷哲夫(きたに・てつお)さんは、京都大学産官学連携本部IMS寄附研究部門教授。

マッキンゼーに10年間在籍、メリルリンチ・キャピタルマーケット(NY)、日本興業銀行、アリックス・パートナーズを経て2007年より現職。起業家教育を担当。龍谷大学客員教授。東京大学法学部、シカゴ大学大学院、ペンシルバニア大学ウォートンスクール卒。

 

新・君主論 AI時代のビジネスリーダーの条件
ビジネスパーソンのための権力学入門。これからのビジネスリーダーに求められるもっとも重要なスキルとは?

とかく悪者扱いされがちな権力や政治は、リーダーシップに欠くことのできない一部です。
本来権力を持ってリーダーシップを発揮すべき人が、それを毛嫌いしていると、それこそ権力欲だけの誤った人に権力を持たせることになってしまいます。
本書は、わが国ではあまり研究の進んでいない権力学をベースに、権力をポジティブに使う方法、その構築方法を、国内外の企業のケースや演習問題を取り混ぜながら、実践的に説く、他に類を見ないリアルなリーダーシップ論、並びにそのスキル書です。

 
【「あとがきより】
今後一〇年で七〇歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約二四五万人。
うち約半分の一二七万人が後継者未定と言われています。
必ずしも子どもがいないからではありません。
総じて中小企業経営者の子息は、良い大学を出て大企業に就職して修業、という日本人の「王道キャリア」を歩んでしまいがちです。
しかし、大企業でサラリーマンをしても後継社長となるべき人にはなりません。
なぜなら、本書で解説したように、中間管理職と、権力行使スキルが要求される社長とは、全く別の存在だからです。
そして、これから一〇〇万人以上の社長が不足する。
会社にとって最重要の経営資産は社長です。その希少性が認識され、マキャベリ脳を持つ人の活躍の場がますます増えるでしょう。
(中略)本書により、多くの人がパワー(権力)リーダーの面白さに目覚め、毎日の生活で自由を取り戻し、日本社会がますます活力あるものとなることを願っています。

 


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