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『一流家電メーカー「特殊対応」社員の告白』ある有名家電メーカーで行われている極秘業務のすごい中身

『一流家電メーカー「特殊対応」社員の告白』ある有名家電メーカーで行われている極秘業務のすごい中身

『一流家電メーカー「特殊対応」社員の告白』ある有名家電メーカーで行われている極秘業務のすごい中身

ディスカヴァー・トゥエンティワンより、笹島健治さん著『一流家電メーカー「特殊対応」社員の告白』が発売中です。

 

大企業で頻発する訳ありのトラブルを秘密裏に処理する極秘業務、その名も「特殊対応」

大企業で頻発する訳ありのトラブルを、秘密裏に処理するスペシャリストの実態。そんなドラマや小説のネタになりそうな世界が実在していました!

その名も「特殊対応」。特殊な顧客に向けた、特殊な対応を意味する社内隠語です。特殊な顧客とは、有名人、政治家、高級官僚、反社会的組織などさまざま。それらに加えて、その家族や知人、愛人と多岐にわたります。

業務の性質上、社内でもその存在はほとんど知られておらず、担当役員から直接現場に指令が下るルールになっています。この過酷な業務に長年携わっていた担当者の実体験をまとめたのが、本書『一流家電メーカー「特殊対応」社員の告白』です。

その驚きの中身をダイジェストで一部紹介します。

 

抜き身の日本刀でお出迎え

超有名企業のA社に勤務していた著者の所属先はパソコンのサポートセンター。ある日、故障したパソコンを「すぐに直しに来い!」と強硬に要求する電話が入った。

念のためパソコンの製造番号を確認し、データベースで照会したところ盗難品と判明。また、そのパソコンにはある会社の顧客データ5万人分が記録されており、遠隔操作によって起動不能の処理がなされていた。即座に「特殊対応として製品の回収業務にあたれ」との指令が下された。

「私が明らかにその筋と思われる事務所を訪れ、パソコンをいったん持ち帰って修理する旨を先方に申し出ると『とにかく俺の目の前で修理せえへんかったら、こいつでぶった切るぞ!』と、突然抜き身の日本刀を目の前にちらつかせてきました。どうやら、パソコンの中にあるデータの価値は知っているようでした。相手の目が血走ってきたのを機に電話を一本かけると、ドアの外で待機していた刑事さんたちが踏み込んできました。このような不測の事態に備えて、警察の方には何度もお世話になっていました。」

 

技術的に不可能でも「とにかく要求に応じよ」という指令

ある日、有名な医療法人の理事長秘書からクレーム入った。理由は病院建設に関わるデータの消失。そもそも、メーカーはデータ消失に関して責任を負えないことが保証書に明記されている。しかし、先方はA社に影響力のある人物を通じて、データの復元を強硬に要求してきた。

「なんでも要求通りに対応せよ」という指令が上層部から下った。医療機器の販売も手掛けるA社にとって、その医療法人は重要な顧客だったのだ。

「私が指定されたホテルの一室に入ると、下着姿の中年男性がほろ酔い加減で待ち構えていました。不具合の原因はハードディスクの損傷と思われ、復旧の可能性はかなり厳しい状況でした。『お前の会社の誰々は俺の後輩だから、直せなかったらクビだ!』『もしデータが消えたら、大阪湾に沈んでいると思えよ!』と酔った目で脅かしてきます。

かつて、山小屋で大型犬をけしかけられたり、顧客先で『見てはいけないファイル』を見てしまった私の処遇が真剣に相談されたりと、軟禁された過去の出来事が次々にフラッシュバックしてきました。絶望的な雰囲気の中、極めて稀な成功事例しかない手段を思い出し、チャレンジすることにしました。悪戦苦闘は長時間に及びました。やがて、疲労や空腹、屈辱に耐え切れなくなり、どうやってここから逃げ出そうかと考え始めたころ、奇跡的にデータが復旧したのです。その瞬間に、思わず涙が溢れたことを憶えています。」

 

家族や友人はもちろん、社内の誰にも言えない極秘の業務

著者は9年間の「特殊対応」業務で数々の修羅場を経験し、土下座なども数えきれないほどしてきた。警察の捜査協力としてデータ解析やパスワード解除などを行ったり、相手の恨みを買って脅迫され、引っ越しを余儀なくされたこともあった。

「『特殊対応』は対外的にはA社に存在しない業務とされていたため、さまざまな出来事を誰かと分かち合うことは許されませんでした。また、組織として存在しないわけですから、人事評価に反映されることもありません。当然ながら、強烈なストレスによって心身は疲弊してしまいます。そして、ついに異動辞令が出た時、『特殊対応』業務の継続は拒否しました。それと同時に、後任への引き継ぎもいっさい拒否しました。明らかに就業規則やコンプライアンスに違反する、この業務の新たな犠牲者を増やしたくなかったのです。仕事とは誰のためのものなのか、何のためのものなのか、本書を通して多くの人に考えていただけたらと思っています。」

 

笹島健治さん プロフィール

著者の笹島健治(ささじま・けんじ)さんは、大手電機メーカーに約20年間勤務。おもにパソコン事業のサポート部門に所属し、豊富な知識と技術力を活かして、さまざまなユーザーが抱えるトラブルに数多く対応してきた。その業務の中で、重クレーマーや要人、反社会的組織など、特別な配慮を要する顧客への「特殊対応」にも携わる。

のちに異動し、IT関連のセミナーや研修の講師として全国各地で登壇。受講者数は延べ3万人以上になる。2016年退職。

 

一流家電メーカー「特殊対応」社員の告白 (ディスカヴァー携書)
その会社のパソコン事業部には、秘密裏に働く「特殊対応」担当がいた。
「厄介な顧客」たちの、理不尽な要求の数々。
知られざる「特殊対応」社員の悪戦苦闘の業務記録!

重クレーマー、地元の有力者、会社に関連する要人、暴力団、新宗教などなど、扱いに慎重を要する厄介な顧客がかかえた、さまざまなパソコントラブルを解決する「特殊対応」社員たち。
・保険会社から盗まれた顧客情報を取り返し
・大病院の建設にかかわる壊れたハードディスクを復旧させ
・行方不明になった息子の手がかりを画像データから探しだし
・ネットは霊界とつながっているという教団の主張を退け
・来日した某国VIPのパソコンに埋められたスパイウェア半導体を見つけだす――。
無理難題なトラブルに立ち向かう社員たちの仕事は、一見華々しく聞こえるが、その実態は、顧客からの罵倒、軟禁、土下座の強要、そして見返りのない日々だった。

 
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もし、いま、かつての私のような仕事をしている人がいるのなら、一度立ち止どまって「あなたの仕事は本当に適正か」「あなたの働き方は本当に理にかなっているか」見直してほしいのです。
仕事とは、誰のためのものなのか、なんのためのものなのか、人生にとって悔いることがないかどうか、考えてほしいのです。
(「おわりに」より)

 


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