絵本『はらぺこあおむし』が2018年度グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞！

2018年10月4日 10:06 AM 受賞

偕成社が発行する絵本『はらぺこあおむし』（作：エリック・カールさん／訳：もりひさしさん）が、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2018年度グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞しました。

1976年に日本で出版され、累計発行部数400万部を超えるロングセラー絵本が、デザインにおいても高く評価されてグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞！

10月3日に公益財団法人日本デザイン振興会のウェブサイトで発表された、今年度のグッドデザイン・ロングライフデザイン賞に絵本『はらぺこあおむし』が選ばれました。
★http://www.g-mark.org/award/describe/48359　

1980年に誕生したグッドデザイン・ロングライフデザイン賞は、「10年以上継続的に提供されている、広く支持されている商品やサービス」を対象とし、スタンダードであり続ける力を持ったデザインに贈られるもので、これまでに1,000点以上が受賞しています。

2018年度は、ユーザーの方から推薦された274件から、審査委員の選考、そのデザインの主体者による応募を経て、36件がノミネートされ、10月3日に受賞者が決定しました。
★http://www.g-mark.org/activity/2018/longlife.html

『はらぺこあおむし』は1969年にアメリカで刊行され、原書は来年で50周年を迎えるロングセラー絵本です。日本では1976年に出版され、累計発行部数は400万部以上となっています。

読者はこの絵本を通して、数や曜日など、普遍的な概念を理解することができ、植物や昆虫など身の回りの自然に興味を持つことができます。また、鮮やかな色使いと、抜群のデザインセンスも支持されています。

グラフィック・デザイナーとしてアメリカで活躍していた作者のエリック・カールさんは、編集者アン・ベネデュースさんのすすめで絵本を描くことになります。

ある日みどり色の虫が、リンゴを食べて穴をあけ、ナシを食べて穴をあけ、チョコレートケーキを食べて穴をあける話を持っていったところ、彼女から｢あおむしはどうかしら？｣との助言を受け、カールさんは｢ちょうちょ！｣と叫んで、この絵本が生まれたといいます。

当時、ページの大きさがさまざまで、穴も空いている絵本というのは、斬新で目を見張るものでしたが、アメリカではその製本を引き受ける会社が見つかっていませんでした。

そんな時にダミーを見た偕成社の前社長・今村廣さんが、このしかけの製作が可能な工場を日本で見つけ、アメリカで出版されることになりました。よって、原書の初版には｢Printed in Japan｣の表記があります。

1987年にカールさんが絵を全面的に描き変え、日本語版も1989年に改訂版として刊行されました。現在流通しているものは、そのとき描き変えられた改訂版です。

なお、今回受賞した絵本『はらぺこあおむし』の他に、『ボードブックはらぺこあおむし』『点字つきさわる絵本はらぺこあおむし』『ビッグブックはらぺこあおむし』『ポップアップはらぺこあおむし』『フリップフラップえほんはらぺこあおむし』『わたしだけのはらぺこあおむし』『英語でもよめるはらぺこあおむし』『ミニ版はらぺこあおむし』と形違いのものが8種類出版されています。

著者プロフィール

■著者：エリック・カールさん

photo by Paul Shoul

1929年アメリカのニューヨーク州に生まれ、ドイツで育つ。グラフィックデザイナーとして活躍後、1968年に『１、２、３どうぶつえんへ』を発表し、ボローニャ国際児童図書展グラフィック大賞を受賞。以来、世界的な絵本作家として創作を続ける。代表作に『はらぺこあおむし』『パパ、お月さまとって！』『だんまりこおろぎ』（偕成社）など多数。2002年ボストン近郊アマーストに「エリック・カール絵本美術館」を開館。2003年ローラ・インガルス・ワイルダー賞受賞。

■訳：もりひさしさん

1917年神奈川県生まれ。本名・森久保仙太郎。作家。絵本研究家。歌人。

歌集に『月の谷』（KADOKAWA）など。創作絵本に「こぐまちゃんえほん」シリーズ、『くまさぶろう』（こぐま社）、『ちいさなきいろいかさ』（金の星社）など。絵本の翻訳に『はらぺこあおむし』『パパ、お月さまとって！』（偕成社）、「くまのアーネストおじさん」シリーズ（BL出版）などがある。