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作家・林京子さんが死去 被爆体験をもとにした『祭りの場』で芥川賞を受賞

作家の林京子(はやし・きょうこ、本名:宮崎京子)さんが2月19日に死去しました。86歳。長崎市出身。葬儀・告別式は近親者で既に執り行われています。

 
林京子さんは、子供時代を父の勤務地だった中国・上海で過ごし、1945年春に帰国。県立長崎高等女学校在学中の同年8月9日に、学徒動員先の三菱兵器大橋工場で被爆。

被爆から30年後の1975年に、爆心地付近をさまよったときの様子を綴った『祭りの場』で群像新人賞を受賞しデビュー。同作で芥川賞も受賞しています。

 
以前、林さんは毎日新聞で、『祭りの場』の執筆のきっかけは、「米側の原爆記録映画の『かくて破壊は終わりました』というせりふ」だったと明かし、「9日だけの痛いかゆいで終わっていたら書かない。でも、長崎の友人たちの体内で放射線が出続けている。どんどん亡くなっていたんです。書こうと思いました」と述べています。

以後も、感傷を排した抑えた筆致で、「国家も思想もなく、日常をはぎ取った根っこの命を、死んでいった動員学徒たちの追悼として執拗に」書いていきます。

 
『三界の家』で川端康成文学賞、『やすらかに今はねむり給え』で谷崎潤一郎賞、『長い時間をかけた人間の経験』で野間文芸賞を受賞しています。

ほかに、『ギヤマン ビードロ』『上海』『青春』などがあります。

 

祭りの場・ギヤマン ビードロ (講談社文芸文庫)
如何なれば膝ありてわれを接(うけ)しや──長崎での原爆被爆の切実な体験を、叫ばず歌わず、強く抑制された内奥の祈りとして語り、痛切な衝撃と深甚な感銘をもたらす林京子の代表的作品。
群像新人賞・芥川賞受賞の「祭りの場」、「空罐」を冒頭に置く連作「ギヤマンビードロ」を併録。

 
【関連】
私の出発点:林京子さん『祭りの場』 創作入る余地無い非道 – 毎日新聞

 


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