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第二十九回伊藤園お~いお茶新俳句大賞 約195万作品の中から大阪市の田島もりさん(83歳)が文部科学大臣賞に決定

株式会社伊藤園は、昨年11月3日から今年2月末日まで募集していた「第二十九回伊藤園お~いお茶新俳句大賞」の入賞作品2,000句を決定しました。

海外55ヶ国分を含め、過去最多応募となった1,954,223句の中から見事、最高位賞である文部科学大臣賞に選ばれたのは、大阪府大阪市の田島もりさん(83歳) の作品「獅子舞の口へ太平洋の風」です

 

「伊藤園お~いお茶新俳句大賞」について

1989(平成元)年に「お~いお茶」の発売と共にスタートした「伊藤園お~いお茶新俳句大賞」は、入賞作品を商品パッケージに掲載すること、季語や五・七・五の定型等にとらわれず自由な感性で俳句を詠むというユニークさが特徴の、応募句数日本一の創作俳句コンテストです。

これまでの累計応募句数は、3,370万句を超えました。29回目を迎えた今回は、俳人の安西篤さん、黒田杏子さん、星野恒彦さん、写真家の浅井愼平さん、作家・クリエイターのいとうせいこうさん、作家の宮部みゆきさん、日本語学者の金田一秀穂さん、ギタリストの村治佳織さん、女優の吉行和子さん、日本古典文学研究者のエイドリアン・ピニングトンさんといった各分野の第一人者である全10名による最終審査会を開催し、最高位賞である文部科学大臣賞を選出しました。

入賞作品2,000句の内訳は、文部科学大臣賞1句、6部門(小学生の部、中学生の部、高校生の部、一般の部A、一般の部B、英語俳句の部)の大賞6句、優秀賞44句、審査員賞10句、後援団体賞11句、都道府県賞240句、佳作特別賞1,688句です。
本年8月下旬から順次、日本茶飲料「お~いお茶」シリーズのパッケージに掲載し、受賞者にプレゼントされます。

 

第二十九回 伊藤園お~いお茶新俳句大賞 受賞作

 
【文部科学大臣賞】(応募総数1,954,223句)

●賞金:50万円
賞品:賞状、受賞作品掲載「お~いお茶」、受賞作品掲載額、入選作品集「自由語り」

「獅子舞の口へ太平洋の風」
田島もり(たじま・もり)さん 83歳 大阪府大阪市
※「田島もり」は俳号で、本名は田島博子(たじま ひろこ)さんです。

田島もりさん

田島もりさん

(作者より)
志摩安乗神社の「しめ切り神事」の獅子舞は、とてものんびりとユーモラスです。獅子が大口を開けると、太平洋からピューッと吹いた風が流れ込み、胴ぶるいをするのです。その情景を詠みました。
(選評)
獅子舞が獅子頭を脱いで太平洋の彼方を見つめています。一仕事終えて一息ついているところかもしれません。獅子頭は口を開けたまま風に吹かれているのでしょう。まるで獅子が太平洋の風をうまそうに吸っているかのように、英気を養っているところです。壮大な風景に、地球規模のエネルギーが押し寄せているような力強さが感じられます。獅子の目玉が、次第に輝きを帯びてくるようにも見えてきますね。

 
【大賞】

●賞金:20万円
賞品:賞状、受賞作品掲載「お~いお茶」、受賞作品掲載額、入選作品集「自由語り」

■小学生の部(幼児含む) 応募総数 558,854句

「午後三時はちみつ色の犬眠る」
伊賀風香(いが・ふうか)さん 12歳 東京都世田谷区

(選評)
午後三時といえばおやつの時間です。学校から帰ってきたばかり。ちょうどお腹も空いてきて、甘いものが無性に欲しくなって来たところです。自宅の庭に暖かい陽射しがふりそそぎ、そこで愛犬が昼寝をきめこんでいます。庭全体がとろ~としたはちみつ色に見えてきて、甘い香りが匂い立つようです。お腹がかすかにクウ~と鳴いたような気がしました。思わず、「お母さん」と呼んで、おやつの催促をしたくなった、そんな昼下り。

 
■中学生の部 応募総数 446,932句

「この川の名前も知らずさけ上る」
近藤之武(こんどう・ゆきと)さん 13歳 東京都練馬区

(選評)
鮭は、川で生れて海へ行き、数年後成長してから、秋に川に戻ってきて産卵し、その一生を終えます。それは鮭の本能的な行動で、鮭にとって故郷の川とはいえ、その名前すら知りません。ここでわざわざ「この川の名前も知らず」というのは、人間からみてはかない一生を、哀れとも思うからでしょう。黙々と生き、黙々と使命を果たす鮭を、むしろ潔いとみたからかもしれません。

 
■高校生の部 応募総数 800,451句

「年を越すわけのわからぬ達成感」
田坂岳(たさか・がく)さん 16歳 東京都大田区

(選評)
旧年から年を越えて新しい年に移るとき、どうやら今年も無事に終わったなあという感じになりますね。とはいえ、この一年何をやったのかとなると曖昧で、はっきりとはいえません。作者はまだ十六歳ですからなおさらのことでしょう。でもなんとなく「やったあ」という達成感だけはあって、その感じを「わけのわからぬ」と云ってみたのでしょう。そしていつの間にか年を取る。作者にはまだ遠い先のことかもしれませんが。

 
■一般の部A(40歳未満) 応募総数 57,216句

「聖なる夜息子に一つ嘘をつく」
本間一徳(ほんま・かずのり)さん 34歳 北海道砂川市

(選評)
この場合の「聖なる夜」とは、クリスマスイヴのこと。聖母マリアがヨセフと結婚する前に、聖霊によって身ごもったことが明らかになった時とも言われています。俗世界ではあり得ないことが出来ちゃったわけですから、そんなときには、日頃息子に正直であれと説教していても、一つぐらい嘘をついても許されようと思う。隠しておきたい父親の秘密があるのでしょう。

 
■一般の部B(40歳以上) 応募総数 69,955句

「梟(ふくろう)よ星のない夜は退屈か」
茂原朱美(もはら・あけみ)さん 68歳 埼玉県越谷市

(選評)
梟は夜行性で夜目が利きますから、昼間は眠っていても夜は活発に動いて、野鼠や小鳥、虫などを捕らえます。だから星のない夜などは、かえって絶好の稼ぎ時のはずです。そんな或る夜、梟独特の鳴き声が聞こえてきました。あの「五郎助奉公、ぼろ着て奉公」と聞きなされている陰気な声です。その時、ひょっとして梟は退屈なのかなと思ったのでしょう。そこには作者自身の屈託のようなものがあったのかもしれません。

 
■英語俳句の部 応募総数 20,815句

「I suddenly noticed
I’m able to touch
the high shelf」

(訳)とつぜん気がつく/あの高い棚に/手がとどくんだ

堀之内一棋(ほりのうち・かずき)さん 15歳 大阪府大阪市

(選評)
伸び盛りの少年を生き生きと、具体的に実感させる句。衣服や靴が寸足らずで体に合わなくなるのは、誰でも気づき、平凡なことです。だが、踏み台の必要だった高い棚に、ある日手が届いたのは、本人の驚きと喜びが伴う発見です。誇らし気に物を取る様子も目に浮かび、若々しい希望に満ちています。英米人なら違うスタイルの英語になるかもしれませんが、いかにも日本人が真面目に勉強している英語表現で、好感がもてます。

※ 各受賞者の年齢はすべて応募時のものです

 

第三十回より「金子兜太賞」を新設

「伊藤園お~いお茶新俳句大賞」では、同賞の開始からこれまで、長年にわたり尽力した故・金子兜太さんへの感謝の意を表すとともに、金子さんの新俳句大賞に対する遺志を受け継いでいくために、次回より「金子兜太賞」を新たに設ける予定です。

 
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