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【訃報】直木賞作家・津本陽さんが死去 『下天は夢か』など

織田信長を描いた『下天は夢か』などの歴史小説で知られる直木賞作家の津本陽(つもと・よう=本名:津本寅吉〔つもと・とらよし〕)さんが5月26日、誤嚥性肺炎のため東京都内の病院で死去しました。89歳。和歌山県出身。葬儀は親族で営みます。喪主は妻の初子さん。後日、お別れの会を開く予定。

 
津本陽さんは、1929年生まれ。東北大学法学部卒業。大阪での会社勤めの後、和歌山で不動産業を営みながら関西の同人誌「VIKING」に参加。1978年に『深重(じんじゅう)の海』で直木賞、1995年に『夢のまた夢』で吉川英治文学賞、2005年に菊池寛賞を受賞。1997年に紫綬褒章、2003年に旭日小綬章を受章。1995年から2006年まで、直木賞の選考委員を務めました。

津本さんは、剣道3段、抜刀術5段の経験を活かし、『明治撃剣会』『薩南示現流』『人斬り剣奥儀』『柳生兵庫助』など、剣豪小説で人気を博しました。
また、歴史小説でも活躍し、『下天(げてん)は夢か』はミリオンセラーに。豊臣秀吉を描いた『夢のまた夢』、徳川家康を描いた『乾坤(けんこん)の夢』と合わせて「夢」3部作と呼ばれています。

また、『勝海舟 私に帰せず』『巨眼の男 西郷隆盛』『龍馬』や『泥の蝶 インパール戦線死の断章』、松下幸之助さんを描いた『不況もまた良し』や、田中角栄さんを描いた『異形の将軍』など近現代を舞台とした作品も多数執筆しています。

 

下天は夢か 1 (集英社文庫)
天下麻のごとく乱れる戦国時代、尾張半国を制圧し、国主大名に成りあがる寸前、父・織田信秀が病没した。内外を敵に囲まれる四面楚歌の状勢のなか、名跡を継いだ信長は、骨肉の内戦を勝ち抜き、尾張を平定。東海に大勢力を張る強敵・今川義元の軍勢を迎え撃ち、その首を討ち取る。美濃攻略に取りかかり、天下取りへの大きな一歩を踏み出す。空前の話題を呼んだ記念碑的大河小説、疾風怒涛の第1巻。

 
深重の海 (集英社文庫)
紀伊半島は南東部、太地湾辺りは古くから鯨取りで栄えた土地柄である。明治11年12月24日、熊野灘の沖に現われた一頭の巨大鯨。小舟に乗った数百人の男たちが立ち向かう。これが大遭難、世にいう“背美流れ”の発端となり、慶長年間からの伝統的な捕鯨組織が崩壊しはじめる。明治の激流に呑まれ、滅びゆく運命をたどる海人たち。愛と闘いをドラマチックに描いた感動の長編。第79回直木賞受賞作。

 


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