【訃報】ノンフィクション作家・野添憲治さんが死去 『花岡事件の人たち』『塩っぱい河をわたる』など
ノンフィクション作家の野添憲治(のぞえ・けんじ=本名:山田市右エ門)さんが4月8日、膵臓がんのため能代市内の病院で死去しました。83歳。秋田県出身。葬儀は故人の遺志により行われません。
野添憲治さんは、1935年生まれ。国有林の作業員や木材業界紙記者、ラジオキャスター、秋田経済法科大(現・ノースアジア大学)非常勤講師を経て著述業として活動。
第二次世界大戦中に花岡鉱山に強制連行された中国人労働者が過酷な労働や虐待によって多数の死者が発生したことから暴動に発展した「花岡事件」の真相究明に尽力。『花岡事件の人たち』など多数の著作を発表しました。
1995年に『塩っぱい河をわたる』で産経児童出版文化賞を、2010年に『企業の戦争責任』『遺骨は叫ぶ』で平和・協同ジャーナリスト基金(PCJF)の奨励賞を受賞。
他の著書に、『底辺からの告発』『マタギを生業にした人たち』『開拓農民の記録』など。

「この著の中心をなしている三人の話は、生き方の強さ、戦争のむごたらしさと同時に、戦争責任とは何か、人間が生きるとは何かということを、日常の生活感覚のなかで『問い』かけている」十数年にわたる聞き書きによってなし得た労作。
塩っぱい河をわたる―ある開拓農民の記録 (みちのく・民の語り)
「みちのく」と世界を結ぶ戦中・戦後。棄民する国家、つらぬいた自我。三度の開拓人生が残した物語。第42回産経児童出版文化賞受賞作。