上橋菜穂子さん新たなる代表作『香君』が文庫化
文藝春秋は、上橋菜穂子さんが2022年に上梓した、新たな物語としては7年ぶりとなる『香君(こうくん)』上下巻を文庫化し、文春文庫より1巻と2巻(全4巻)を、9月4日に刊行します。
『精霊の守り人』『獣の奏者』『鹿の王』に続く、新たなる代表作『香君』
NHKでドラマ化された『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、第12回「本屋大賞」を受賞した『鹿の王』、そして『獣の奏者』などの作品で知られ、2014年に国際アンデルセン賞作家賞を受賞し、世界中で愛される上橋菜穂子さんによる壮大なファンタジー長編『香君』。単行本は上下巻でしたが、文庫では全4巻となり、1、2巻は9月4日、3巻は11月6日、4巻は12月4日に刊行されます。
【あらすじ】
遥か昔、〈神郷〉から降臨した初代〈香君〉が携えてきたとされる奇跡の稲〈オアレ稲〉の力によって、多くの国を従え、繁栄を誇って来たウマール帝国。
その属国〈西カンタル藩王国〉の藩王の孫、15歳の少女アイシャは人並外れた嗅覚を持ち、植物や昆虫たちが香りで行っているコミュニケーションを〈香りの声〉のように感じながら生きていた。
祖父の失脚の後、彼女の運命は大きく変転していき、やがて、ウマール帝国を庇護する美しい活神である当代〈香君〉の元で働くことになる。
神授の稲〈オアレ稲〉によって人々は豊かな暮らしを謳歌していたが、実はこの稲には恐ろしい性質があった。
害虫はつかぬはずのオアレ稲に、あるとき不思議な虫害が発生し、この稲に過度に依存していた帝国は、凄まじい食糧危機に見舞われる。
アイシャは当代〈香君〉と共にオアレ稲の謎に挑み、人々を救おうとするのだが――。
「香り」と植物や昆虫の生態をテーマに描く壮大なファンタジーの誕生!
上橋菜穂子さんからのコメント
声をもたず、動くこともない草木のことを、私は長く、とても静かで受動的な存在だと思っていたのですが、あるとき、彼らが、「香り」など様々な方法をもちいて、実に能動的に生の営みを繰り広げていることを知って、大きな衝撃を受けました。
目に見えぬものに気づくのは難しいですが、実際には、私たちは、香りや音、ウィルスや微生物など、多くの目に見えぬものが様々な形で関わり合い、巡り、やりとりをしている世界に生きていて、意識するしないに関わらず、その複雑なネットワークの中に組み込まれているのですよね。
『香君』は、優れた嗅覚によって、「香り」で繋がっている世界を知ることが出来るアイシャが、どのような選択をし、生きていくかを描いた物語です。
単行本のときも美しい装丁にしていただきましたが、上下二巻の単行本が、今回全四巻の文庫本になりますので、「春」と「秋」に「夏」と「冬」が加わって、春夏秋冬の素敵な表紙になりました。
小さな文庫本の中に広がっている世界を、楽しんでいただけたら幸せです。
著者プロフィール
上橋菜穂子(うえはし・なほこ)さんは、1962年生まれ、東京都出身。文学博士。川村学園女子大学特任教授。
1989年『精霊の木』で作家デビュー。
野間児童文芸賞、本屋大賞、日本医療小説大賞、など数多くの賞に輝き、2014年には国際アンデルセン賞作家賞を受賞。
2020年、マイケル・L・プリンツ賞オナー、日本文化人類学会賞を受賞、2023年吉川英治文庫賞を受賞。
著書に『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、『獣の奏者』『鹿の王』など。医学博士・津田篤太郎さんとの共著『ほの暗い永久から出でて 生と死を巡る対話』もある。
香君1 西から来た少女 (文春文庫) 上橋 菜穂子 (著) 人並外れた嗅覚を持ち、植物や昆虫の声を香りで聞く少女アイシャ。旧藩王の末裔ゆえ、命を狙われ、ウマール帝国へ行くことになる。遙か昔、神郷よりもたらされたというオアレ稲によって繁栄を極めるこの国には、香りで万象を知る〈香君〉という活神がいた。アイシャは、匿われた先で香君と出会い……。壮大な物語が今開幕! |
香君2 西から来た少女 (文春文庫) 上橋 菜穂子 (著) アイシャは〈香君〉が抱える苦悩を知り、藩王国視察官のマシュウとともにオアレ稲の謎と向き合うことに。だがそれはウマール帝国への謀叛行為だった。そんな中、オアレ稲に虫害が発生してしまう。民を飢えの危機から救うべく、アイシャたちは動き出すのだが……。 |
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