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安部公房の思索の数々が詰まった『死に急ぐ鯨たち・もぐら日記』が刊行

安部公房著『死に急ぐ鯨たち・もぐら日記』(新潮文庫) 写真:安部公房 装幀:近藤一弥

安部公房著『死に急ぐ鯨たち・もぐら日記』(新潮文庫) 写真:安部公房 装幀:近藤一弥

安部公房の思索の数々が詰まった『死に急ぐ鯨たち・もぐら日記』が新潮文庫より刊行されました。

 

果たして安部公房は何を考えていたのか――エッセイ、インタビュー、日記などを通して浮上する思想の根幹

本作は、永らく復刊が待ち望まれていた1992年発売の評論・エッセイ集『死に急ぐ鯨たち』(安部公房/新潮文庫)に、『安部公房全集028〔1984.4.11~1989.12〕』(新潮社)に収録されている「もぐら日記」「もぐら日記II」「もぐら日記III」を新たに追加した作品です。

 
想像不足からくる楽観主義へ警鐘を鳴らす「死に急ぐ鯨たち」、
自身の創作を振り返るインタビュー「錨なき方舟の時代」、
今話題の『百年の孤独』とガルシア・マルケスを語った談話「地球儀に住むガルシア・マルケス」、
貴重な日常を綴る「もぐら日記」

……なお、多様な表現で国家、言語、儀式、芸術、科学を縦横に論じてゆく中で、1980年代に語られた言葉が、今なお社会の本質を射抜いていることに驚かされます。文学の最先端を走り続けた作家による思索の数々をご堪能ください。

 
【内容紹介】

生きる理由に解答がありえないように、書く行為にも理由などあるはずがない――。長年、内面を明かさなかった作家が明かしたその思想。1980年代に語られた言葉の数々は、今なお社会の本質を射抜き、我々への啓示へと変貌する。国家、言語、儀式、芸術、科学、果たして安部公房は何を考えていたのか。エッセイ、インタビュー、日記など多様な表現を通して、世界的作家の思想の根源が見えてくる。

 

本書の目次

 
「死に急ぐ鯨たち」
なぜ書くか……

シャーマンは祖国を歌う

死に急ぐ鯨たち
右脳閉塞症候群
そっくり人形
サクラは異端審問官の紋章
タバコをやめる方法
テヘランのドストイエフスキー

錨なき方舟の時代
子午線上の綱渡り
破滅と再生 1
破滅と再生 2

地球儀に住むガルシア・マルケス
「明日の新聞」を読む
核シェルターの中の展覧会

 
「もぐら日記」
もぐら日記
もぐら日記 Ⅱ
もぐら日記 Ⅲ

 
解説
養老孟司(1992年『死に急ぐ鯨たち』の解説を再録)
鳥羽耕史

 

著者プロフィール

撮影:新潮社

撮影:新潮社

安部公房(あべ・こうぼう/1924-1993)は、東京出身。東京大学医学部卒業。1951(昭和26)年「壁」で芥川賞を受賞。1962年に発表した『砂の女』は読売文学賞を受賞したほか、フランスでは最優秀外国文学賞を受賞。その他、戯曲「友達」で谷崎潤一郎賞、『緑色のストッキング』で読売文学賞を受賞するなど、受賞多数。

1973年より演劇集団「安部公房スタジオ」を結成、独自の演劇活動でも知られる。海外での評価も極めて高く、1992(平成4)年にはアメリカ芸術科学アカデミー名誉会員に。1993年急性心不全で急逝。2012年、読売新聞の取材により、ノーベル文学賞受賞寸前だったことが明らかにされた。

 

死に急ぐ鯨たち・もぐら日記(新潮文庫)
安部公房 (著)

安部公房は何を考えていたのか。エッセイや日記から明らかになる世界的作家、その思想。
(解説・養老孟子、鳥羽耕史)

 
【関連】
試し読み | 『死に急ぐ鯨たち・もぐら日記』安部公房 | 新潮社

 


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