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不可解なトランプ人気の深層を現地取材で解き明かす!辻浩平さん『トランプ再熱狂の正体』が刊行

アメリカの「今」を解き明かす、辻浩平さん著『トランプ再熱狂の正体』が新潮新書より刊行されました。

 

前回大統領選の敗北を受け入れず、司法当局の追及も受ける男になぜ米国民は再び熱狂するのか?

11月の投票日を前に、米大統領選はますます熱を帯びています。共和党の候補者はトランプ元大統領。前回選挙での敗北の結果を受け入れず、司法当局の追及も受ける男に、なぜ国民は再び熱狂するのでしょうか。

 
しかし、国外から見れば不可解な現象も、支持者の声にじっくりと耳を傾けると、その正体が浮かび上がります。トランプ支持には相応の論理があり、共感を呼ぶものも少なくありません。

 
本作は、2020年から23年まで、アメリカの首都ワシントンで取材を続けたジャーナリストが、トランプを支持する人たちについて書いた本です(トランプ本人について書いた本ではなく)。

トランプを支持する人たちは、決して偏った極端な思考にとらわれていたり、事実から目を背けたりしているわけではありません。彼らがトランプを支持する背景には、多くの人が共感する要素もたくさん含まれています。日本ではトランプ支持者は時に「変わった人たち」として少しアンフェアな捉え方で描かれることもありますが、そうした捉え方では、アメリカの「今」を正確に理解することはできません。

 
いまアメリカで「メリークリスマス」という言葉は使われにくい言葉だそうです。クリスマスはキリスト教徒にとっては祭日ですが、他の宗教の人々にとっては特別な日ではありません。であれば、「メリークリスマス」はポリティカリー・インコレクト(政治的に正しくない)であり、「ハッピー・ホリデイズ(良き休暇を)」というのが正解、ということになります。

 
これに象徴されるようにアメリカの価値観は急速に変化しています。こうした変化に対して自分たちが慣れ親しんできたアメリカが変わっていくことへの反発や焦り、不安を覚える人は少なくありません。

「アメリカを再び偉大に」(Make America Great Again=MAGA)というトランプの決めぜりふが多くの人の共感を呼ぶのはそのためです。その底流には、都市部に住み、自分たちとは異なる価値観を持ち、自分たちの声に耳を傾けようとしないエリートたちに対する、保守層のフラストレーションがあります。そして、このMAGAの考え方は、トランプが大統領選で敗れたとしても、保守層の間に残り続けることになります。

 
本書はこの分断の実相を、綿密な取材で明らかにします。
そしてその分断は、実はアメリカだけではなく、日本でも起こりつつあることなのです。

 
【本書の内容】

2024年の米大統領選に、トランプが帰ってくる。前回選挙の敗北を受け入れず、司法当局の追及も受ける男に、なぜ国民は再び熱狂するのか。国外から見れば不可解な現象も、支持者の声にじっくりと耳を傾けると、その正体が浮かび上がる。トランプ支持には相応の論理があり、共感を呼ぶものも少なくない。選挙が終わっても国民を分断する価値観の衝突は終わらない。アメリカの「今」を解き明かす第一級レポート。

 

本書の構成

第1章 トランプか、バイデンか──終わりなき「係数ゼロ」の非難合戦
快進撃を続けるトランプ/支持者を魅了するトランプ集会/4度の起訴でも支持率は上昇/「係数ゼロ」でファクトもフェイクに/「被害者ナラティブ」の整合性/「地位の低下」という危機感/「ツボ」を知る天才的なマーケター/MAGAはいつの時代を指すのか/「一度見たら、見なかったことにはできない」/結局、誰が勝つのか/etc.

第2章 保守か、リベラルか──若年世代の教育を揺るがす「文化戦争」
「文化戦争」で学校から本が消えていく/教育委員会で飛び交う「ポルノ」と怒号/「メディアと話すつもりはない」/保守派が批判するリベラルの「すり込み」/『アンネの日記』の性描写が問題に/ポケモンとノンバイナリー/「禁書」運動を後押しする政治システム/etc.

第3章 「私たち」 か、 「彼ら」 か──浸透する陰謀論とキャンセル・カルチャー
古くて新しい陰謀史観/普通の人々に浸透するQアノン/分断されたミシガンの田舎町/メディアに口を閉ざす渦中の教育委員/「I Googled you.」/「対話の場を取りもってくれませんか」/トランプに逆らう議員の末路/「トランプは去っても不名誉は消えない」/論理を超える感情的な反応/コミュニティを分断する「Us vs. Them」/民主党支持者までチェイニーを支援/etc.

第4章 選挙不正か、民主主義の危機か──ぶつかり合う 「正義」 の合わせ鏡
投票箱を監視する男たち/「裏切り者は絞首刑に」/選管関係者の重圧と辞職/突きつけられる「合わせ鏡」/アメリカ民主主義の悪夢/驚きの連続だった公聴会証言/845ページにのぼる最終報告書/選挙戦でも続く合わせ鏡の世界/「人を殺して楽しいか」/etc.

第5章 ファクトか、フェイクか──ピンクスライム・ジャーナリズムの勃興
メディアが伝えない本当の現実/「事実かどうかは関係ない」/ファクトチェックが検閲とされる理由/「記者だから中立」ではすまされない/経営難と信頼低下、2つの逆風/拡大するピンクスライム・ジャーナリズム/社員70人で毎月500万本の記事を配信/メディアに金はないが政治にはある/「君が座っているのは貨物室だよ」/etc.

第6章 共和党か、民主党か──アイデンティティ政治が加速させる分断
「意見が一致しないことには同意する」/「トランプは原因ではなく症状」/アイデンティティ政治とは何か/分断を深める4つのキーワード/woke、そして文化戦争の渦中へ/社会はゼロサムゲームではない/従来とは違う本質的な和解不能/連邦議会が二極化する理由/etc.

終章 想像を超える分断と向き合う
分断を乗り越えるための目標地点/ノイジー・マイノリティに惑わされない/多くのアイデンティティを自覚する/分断にはグラデーションがある世代交代が希望をもたらす/顔の見えるコミュニケーション/「あなたをジャッジしない」/etc.

 

著者プロフィール

辻浩平(つじ・こうへい)さんは、NHK報道局国際部記者。早稲田大学政経学部卒業。2002年NHK入局。エルサレム支局長、政治部などを経てワシントン支局(2020~23)でホワイトハウスを取材。現ウラジオストク支局長。

英オックスフォード大学では客員研究員としてメディアの信頼低下について研究。

 

 
【関連】
試し読み | 『トランプ再熱狂の正体』辻浩平 | 新潮社

 


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