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幸せを獲得するためにすべきことが詰まった「実践哲学」の書を読み解く! 山本芳久さん『アリストテレス ニコマコス倫理学』が刊行

古今東西の名著を25分×4回=100分で読み解くNHKの人気番組「100分de名著」の番組テキストに大幅な加筆を行い書籍化した、山本芳久さん著『NHK「100分de名著」ブックス アリストテレス ニコマコス倫理学 「よく生きる」ための哲学』がNHK出版より刊行されました。

 

テーマは「幸福とは何か」

本書では、東京大学大学院教授の山本芳久さんが、古代ギリシャ最高の知性と呼ばれるアリストテレスの思索の記録を読み解きます。

 
天文学、生物学、詩学、政治学、論理学、形而上学などあらゆる分野の学問の基礎を確立し、「万学の祖」と呼ばれる古代ギリシャの哲学者アリストテレス(前384-前322)。彼が「倫理学」という学問を歴史上初めて体系化した書物が『ニコマコス倫理学』です。

 
「倫理学」と訳されているギリシャ語は「人柄に関わる事柄」という意味で、彼が倫理学と呼ぶものは、義務や禁止といったルールを学ぶことではなく、どのような人柄を形成すれば幸福な人生、充実した人生を送ることができるのかを考察することでした。

 
アリストテレスは、幸福とは人間がもっている固有の能力を発揮することであり、そのためには、外的な幸運を生かすための内的な力である「徳(アレテ―)」を身につける必要があると考えました。その「徳」は一定の行動を繰り返し習慣化することで「性格」となり、身につけることができるといいます。

また、人間同士の相互的な絆のことを「友愛(フィリア)」と呼び、それらを分類・分析することで、幸福になるために必要な友愛とは何かを明らかにすべく、思索を深めていきます。

 
「幸福とは何か」を多角的に考え抜き、それを獲得する方策を説いたのが『ニコマコス倫理学』であり、現代人にとっても大切な「正義」や「欲望」、「生き方」や「友情」などの在り方について、読者がわが身に引き付けて考えるための「実践の書」なのだと、著者はいいます。その発展的受容という観点から、特別章を加筆。キリスト教とギリシャ哲学を融合させたトマス・アクィナスの思想に『ニコマコス倫理学』の実践を見ます。

 

本書の構成

はじめに 「いかによく生きるか」を考える学問

第1章 倫理学とは何か

第2章 幸福とは何か

第3章 「徳と悪徳」

第4章 友愛とは何か

ブックス特別章 アリストテレスとトマス・アクィナス ~『ニコマコス倫理学』から『神学大全』へ

読書案内

おわりに

 

著者プロフィール

山本芳久(やまもと・よしひさ)さんは、1973年生まれ、神奈川県出身。東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は哲学・倫理学(西洋中世哲学・イスラーム哲学)、キリスト教学。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。千葉大学文学部准教授、アメリカ・カトリック大学客員研究員などを経て、現職。

主な著書に『トマス・アクィナス――理性と神秘』(岩波新書、サントリー学芸賞)、『世界は善に満ちている――トマス・アクィナス哲学講義』(新潮選書)、『キリスト教の核心をよむ』『愛の思想史』(共にNHK出版)、『危機の神学――「無関心というパンデミック」を超えて』(若松英輔氏との共著、文春新書)など多数。

 

 


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