海洋軍事スリラーの巨匠クライブ・カッスラー〈海洋謀略サスペンス〉『超音速ミサイルの密謀を討て!』が刊行
海洋軍事スリラーの巨匠クライブ・カッスラーの冒険小説『超音速ミサイルの密謀を討て!』(上・下)が扶桑社より刊行されました。
驚異的な最新鋭兵器による陰謀!背後に遺伝子操作された傭兵団が…
【あらすじ】
ファン・カブリーヨ――彼こそは、貨物船に見せかけたハイテク機能満載の〈オレゴン号〉に乗り組み、優秀なチームとともに幾度となく世界を救ってきた現代の騎士である。
今回カブリーヨは、厳寒のタジキスタン山岳部へ潜入、危険な作戦に身を投じていた。
決死の脱出に成功し、生還したのもつかの間、カブリーヨに新たな指令がもたらされる。
イスラエル公安当局が使っていた男が消息を絶ったため、元モサド諜報員に協力して彼の行方を探せというのだ。
これが、世界的悪夢の発端になろうとは!
訳者・伏見威蕃さん「混迷を深めている中東、ナノテクノロジー、ゲノム開発など、現実の状況をたくみに取り入れ、いつものように読者をおおいに楽しませてくれる」
(訳者あとがきより抜粋)
最近のテクノロジーの進歩は、一般市民の理解が追いつくことができないくらい速い。その典型は人工知能(AI)だろう。生成AIの分野では、画期的なチャットGTPを開発したオープンAIが、組織の内紛もあって、2023年末から2024年にかけて、毎日のようにメディアに取りあげられた。
しかし、ゲノムの解析や編集に関する研究も、急激に変化しているテクノロジーの分野として、注目されている。たとえば、ハーバード大学のジョージ・チャーチ教授のチームは、莫大な予算を確保し、氷河時代のマンモスをよみがえらせることをもくろんでいる。同チームは、永久凍土内のマンモスの遺伝子を回収することに成功したが、それからクローンを作成することは不可能なので、遺伝子を操作して、ゾウとマンモスの混血種を創り出す予定だという。ジョージ・チャーチ教授はほかにも、人間の寿命160歳、閉経百歳を目指す研究も行なっている。まさに超人を創ろうとしている。
本書『超音速ミサイルの密謀を討て!』(Fire Strike)でファン・カブリーヨ率いるオレゴン号は、ゲノム操作と精神・肉体の条件付けによって知覚や力や速さが人間をはるかに超えるようになった“超人傭兵”と戦う。この条件付けプログラムを開発したのは、ヘザー・ハイタワー博士というきわめて有能な女性遺伝学者だった。
彼女は人道的活動を隠れ蓑にしている病院船〈セクメト〉で“超人傭兵”をこしらえて、ジャン・ポール・サランという人物が運営する民間軍事会社に送り込み、見返りとして潤沢な研究開発資金を得ていた。
カブリーヨは、CIAの連絡担当ラングストン・オーヴァーホルトに頼まれて、元モサド工作員のサライ・マッサラの弟アシェルをケニアで捜すうちに、ハイタワーが巧妙に隠していた足跡を見つける。また、友人の医師に医療物資を届けるためにアマゾン奥地へ赴いたオレゴン号の医務長ジュリア・ハックスリーと付き添いのリンク及びタイニーが、超人傭兵と遭遇する。こういった出来事から情報が収集され、しだいに謎が解きほぐされる。
じつはその裏で、中東における勢力図が書き換えられてしまうような、さらに重大な陰謀が進行していた。イランとサウジアラビアで、それぞれ現在の政府の政策に不満を抱く勢力が、権力を奪おうと画策していたのだ。
現実の世界では、イエメンのフーシ派による商船攻撃の激化で、2024年初頭から紅海ルート再開のめどがたっていないと報じられている。本書では、航路の自由を確保するために、アメリカが最新・最強の空母〈ジェラルド・R・フォード〉打撃群を紅海に派遣する。だが、一基で大型軍艦を撃沈できる威力があり、迎撃がほぼ不可能な超音速ミサイル二基が、インド海軍基地から盗まれ、危機が高まる。
オレゴン号も本書から三代目となり、若干仕様は異なるが、根本的な兵装や性能に変わりはない。乗組員もあいかわらず多種多様な能力を発揮する。本書は混迷を深めている中東、ナノテクノロジー、ゲノム開発など、現実の状況をたくみに取り入れ、いつものように読者をおおいに楽しませてくれる。例によって期待を裏切らないできばえの新作だ。
超音速ミサイルの密謀を討て!(上) (海外文庫) クライブ・カッスラー (著), マイク・メイデン (著), 伏見 威蕃 (翻訳) |
超音速ミサイルの密謀を討て!(下) (海外文庫) クライブ・カッスラー (著), マイク・メイデン (著), 伏見 威蕃 (翻訳) ハイテク船オレゴン号 世界を股にかけた大活躍 オレゴン号の医務長ジュリアは、アマゾンの奥地で驚くべき光景に出会う。 巨匠クライブ・カッスラー、海洋謀略サスペンス。 |
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