中国政府によるウイグル人弾圧を暴いたノンフィクション『AI監獄ウイグル』が文庫化
中国政府によるウイグル人弾圧――その真実を暴き、全世界を震撼させた、ジェフリー・ケインさん著『AI監獄ウイグル』(訳:濱野大道さん)が文庫化され、新潮文庫より刊行されました。
何百万台もの監視カメラ、DNAデータの強制採取、AIによる〝犯罪者候補〟のあぶりだし――新疆ウイグル自治区に誕生した史上最悪の監視社会の実像を明らかにした、衝撃のノンフィクションです。著者のジェフリー・ケインさんは、厳しい情報統制が行われるなか、現地取材に加え168人へのインタビューを実施し、隠された真実に迫りました。
AIによる犯罪者候補のあぶり出し
中国新疆ウイグル自治区。かつてのシルクロードのオアシス都市には、ホロコースト以来、史上最大規模の少数民族の強制収容所が作られています。収容されるのは、AIから将来犯罪者になると「予測」された無実の人たちです。
この街では、何百万台もの監視カメラの映像、IDスキャンの行動履歴、SNSでのやりとりなどさまざまな個人情報が収集されています。これら膨大な情報はAIによって処理され、市民の「信用ランク」が決定されています。そして「将来の犯罪者」と認定されると、罪を犯していなくても収容所に送られ、洗脳教育や強制労働を命じられているのです。しかし、これらの事実は当局により巧みに隠蔽されていました。
本作はその実態を明らかにし、世界中に衝撃を与えた圧巻のノンフィクションです。
東京大学大学院教授の阿古智子さんの解説を収録
文庫化に際し、東京大学大学院教授の阿古智子さん(現代中国研究)の解説を収録。解説では、本書執筆後のウイグル自治区に関しての大きな出来事である「新彊公安ファイルの流出」や「国連人権高等弁務官事務所の報告書」などについて掘り下げられています。
また、日本に逃れるようにやってきたウイグル人の貴重な証言も紹介されており、この問題を考える際の大きな手掛かりを与えてくれます。
著者プロフィール
■ジェフリー・ケイン(Geoffrey Cain)さん
アメリカ人の調査報道ジャーナリスト/テックライター。アジアと中東地域を取材し、エコノミスト誌、タイム誌、ウォール・ストリート・ジャーナル紙など多数の雑誌・新聞に寄稿。2020年発表のデビュー作SAMSUNG RISING:The Inside Story of the South Korean Giant That Set Out to Beat Apple and Conquer Tech(『サムスンの台頭』[未訳])はフィナンシャル・タイムズ紙とマッキンゼー社が主催するビジネス本大賞候補に選ばれた。
■訳:濱野大道(はまの・ひろみち)さん
翻訳家。ロンドン大学・東洋アフリカ学院(SOAS)卒業、同大学院修了。訳書にレビツキー&ジブラット『民主主義の死に方』、ケイン『AI監獄ウイグル』、ホールズ『異常殺人』(いずれも新潮社)、ロイド・パリー『黒い迷宮』『津波の霊たち』(早川書房)、グラッドウェル『トーキング・トゥ・ストレンジャーズ』(光文社)などがある。
AI監獄ウイグル (新潮文庫) ジェフリー・ケイン (著), 濱野 大道 (翻訳) 何百万台もの監視カメラ。DNAデータの強制採取。AIによる〝犯罪者候補〟のあぶりだし――。 中国新疆ウイグル自治区。かつてのシルクロードのオアシス都市には、ホロコースト以来、史上最大規模の少数民族の強制収容所が作られている。収容されるのは、AIから将来犯罪者になると「予測」された無実の人たち。 |
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