おおたわ史絵さんが母の依存症の実態を綴ったエッセイ『母を捨てるということ』が文庫化
医師・コメンテーターとして活躍するおおたわ史絵さんのエッセイ『母を捨てるということ』の文庫版が、朝日文庫より刊行されました。
医師おおたわ史絵さんの壮絶体験が文庫化! 依存症と当事者家族の40年にもわたる闘いの記録
おおたわ史絵さんは、幼い頃から母の機嫌に振り回され、常に顔色をうかがいながら育ってきました。そんな母が薬物依存症の末に孤独死したことをテレビで公表し、大変な話題を呼びました。
本書では、幼少期からの過酷な体験、親との別れ、そして母の呪縛からどうやって逃れたのかを克明につづります。依存症がいかに人を狂わせ、周囲の人を巻き込んでいくのか、当事者家族でしか書けない壮絶な実態が明らかになります。
【本書の内容】
異常なほど娘に執着した母親。やがて彼女は薬物依存症に陥った。
「いっそ死んでくれ」と願う娘と「産むんじゃなかった」と悔やむ母。母に隠されたコンプレックス、そして依存症家族の未来とは。
医師として活躍する著者の知られざる告白。
解説:松本俊彦さん(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部 部長)
〔本文より〕
「ほかの子とおんなじでどうするのっ? ふつうでいいわけないでしょ!」
(中略)
母が望むような大人になって成功するよりほかに 自分の価値を上げる手段はない。
そう思うと、必然的に母の期待どおりに医師になる以外の選択肢は消えていった。
いつしかわたしは夢を描くのをやめた。」
<おおたわ史絵さんからのコメント>
「毒親と呼ばないで。彼女はただ依存症に勝てなかっただけなの」
本書の構成
●第一章
わたしが医者になった理由
顔色をうかがう子
タバコの火
代理ミュンヒハウゼン症候群
自傷行為と優しい手
悪夢の始まり
オピオイド
注射器の転がる食卓
誤解
発覚
壊れていく母
逃げ場所を求めて
美しい母と醜い娘
父からのSOS
●第二章
ダルク
六つの特徴
依存症外来
入院? わたしが?
ミーティングという治療
つらいのはわたしだけじゃない
イネイブラーはもうやめる
父娘の死刑宣告
命がけの大勝負
娘は悪魔
戦友・父の死
良い娘をもって幸せでした
喪主のいない告別式
狼少年と母
母を殺してしまおう
透明人間
カウントダウン
密やかな最期
消えたノイズ
●第三章
タブー解禁
言えなかった秘密
生きるためのドーピング
溺れる人と浮き輪の話
寂しいネズミ
PIUSテクニック
たった一度の涙
贖罪
終わりのない旅
著者プロフィール
おおたわ史絵(おおたわ・ふみえ)さんは、総合内科専門医。法務省矯正局医師。東京女子医科大学卒業。大学病院、救命救急センター、地域開業医を経て現職。刑務所受刑者の診療に携わる、数少ない日本のプリズンドクターである。ラジオ、テレビ、雑誌など各メディアでも活躍中。
著書に刑務所の中の診察室のドラマに溢れた日々を綴った『プリズン・ドクター』など。
母を捨てるということ (朝日文庫) おおたわ 史絵 (著) |
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