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【令和6年度吉川英治賞】文学賞は黒川博行さん『悪逆』が受賞 新人賞に藤岡陽子さん『リラの花咲くけものみち』、文庫賞は阿部智里さん「八咫烏」シリーズ

講談社は3月5日、第58回吉川英治文学賞および第45回吉川英治文学新人賞、第9回吉川英治文庫賞の受賞作を発表しました。

 

令和6年度吉川英治賞各賞が決定!

令和6年度の吉川英治賞の各賞は次の通りです。

 
■第58回吉川英治文学賞

黒川博行(くろかわ・ひろゆき)さん
『悪逆』(朝日新聞出版)

選考委員:浅田次郎さん、北方謙三さん、林真理子さん、宮部みゆきさん

 
受賞者の黒川博行さんは、1949年3月4日生まれ、愛媛県出身。京都市立芸術大学美術学部彫刻科を卒業。大阪府立高校の美術教師を経て、1983に第1回サントリーミステリー大賞佳作を受賞した『二度のお別れ』で小説家デビュー。1986年『キャッツアイころがった』で第4回サントリーミステリー大賞、1996年「カウント・プラン」で第49回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2014年『破門』で第151回直木賞、2020年に第24回日本ミステリー文学大賞を受賞。

 
■第45回吉川英治文学新人賞

藤岡陽子(ふじおか・ようこ)さん
『リラの花咲くけものみち』(光文社)

選考委員:朝井まてかさん、大沢在昌さん、京極夏彦さん、辻村深月さん、村山由佳さん

 
受賞者の藤岡陽子さんは、1971年生まれ、京都府出身。同志社大学文学部卒業。新聞社勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。慈恵看護専門学校卒業。2009年『いつまでも白い羽根』(光文社)でデビュー。今回の受賞作『リラの花咲くけものみち』で2023年に第7回未来屋小説大賞を受賞

 
■第9回吉川英治文庫賞

阿部智里(あべ・ちさと)さん
「八咫烏」シリーズ(文春文庫)

選考委員:各出版社の代表者(各社1名)、書評家、書店員等合計約50名
立会人:逢坂剛さん、前年受賞者(本年は上橋菜穂子さん)

 
受賞者の阿部智里さんは、1991年生まれ、群馬県前橋市出身。早稲田大学文化構想学部在学中の2012年、『烏に単は似合わない』で松本清張賞を史上最年少で受賞。2017年、早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。デビュー作から続く壮大な異世界ファンタジー「八咫烏」シリーズは現在は第2部へ。外伝も含めて最新刊『望月の烏』で12冊を数えます。2024年4月からNHKでアニメ「烏は主を選ばない」放送開始。

 
〔阿部智里さん コメント〕
「デビュー作『烏に単は似合わない』から続く『八咫烏』シリーズで栄誉ある吉川英治文庫賞を頂き、大変光栄に思います。この賞に選んで下さった皆さま、これまでこのシリーズを支えて下さった全ての方に感謝しつつ、これからも今まで通り励んで参ります。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします」

【「八咫烏」シリーズとは】
日本神話にも登場する三本足の伝説の烏、八咫烏(やたがらす)。本作「八咫烏」シリーズは、人間の姿に変身することが出来る彼らの一族が、異世界・山内(やまうち)を縦横無尽に飛びまわる和風ファンタジー。作者の阿部智里さんは史上最年少の20歳で松本清張賞を受賞してデビュー。『烏に単は似合わない』と同時間軸の『烏は主を選ばない』にはじまり、続く『黄金の烏』『空棺の烏』『玉依姫』『弥栄の烏』までの6巻で第1部が完結。平安王朝風のみやびな風俗と、日嗣の御子・若宮と側仕えの少年・雪哉を中心とした魅力的なキャラクターたち、周到に仕掛けられた謎、天敵・大猿とのバトルなど、日本神話に通じる壮大な世界観が話題を呼びミリオンセラーを更新している。2020年9月、満を持した3年ぶりの書き下ろし『楽園の烏』で第2部がスタート、外伝として『烏百花 蛍の章』『烏百花 白百合の章』がある。最新刊は『望月の烏』(2024年2月刊)。

 

吉川英治文学賞について

吉川英治文学賞は、公益財団法人「吉川英治国民文化振興会」が主催し、講談社が後援する文学賞です。大衆小説を対象に、1967年に創設。毎年1月1日から12月31日までに、新聞、雑誌、単行本等に最も優秀な小説、評論、その他を発表した作家に贈られます。正賞として賞牌、副賞として300万円が授与されます。

なお、吉川英治文庫賞は、毎年12月1日から翌年11月30日までに文庫最新刊が刊行された作品のなかから、5巻以上の複数巻で文庫を刊行している、もっとも優秀な大衆シリーズに贈られます。

また、吉川英治文学新人賞は、毎年1月1日から12月31日までに、新聞、雑誌、単行本等に優秀な小説を発表した作家の中から、最も将来性のある新人作家に贈られます。

文庫賞および新人賞には賞牌と副賞100万円がそれぞれ授与されます。

ちなみに、賞の前身は、吉川英治さんの寄付金をもとに1962年2月に創設された「吉川英治賞」で、主催は毎日新聞社でした。1966年に吉川英治国民文化振興会が設立され、賞の運営が毎日新聞社から吉川英治国民文化振興会と講談社に移管されています。

 

悪逆
黒川 博行 (著)

過払い金マフィア、マルチの親玉、カルトの宗務総長――
社会に巣食う悪党が次々と殺害される。

警察捜査の内情を知悉する男
vs.
大阪府警捜査一課の刑事と所轄のベテラン部屋長

凶悪な知能犯による強盗殺人を追う王道の警察小説

(内容紹介)
周到な準備と計画によって強盗殺人を遂行していく男――。大阪府警捜査一課の舘野と箕面北署のベテラン刑事・玉川が、広告代理店の元経営者殺害事件を追うなか、さらに被害者と面識のある男が殺される。二人はそれぞれ士業詐欺とマルチ商法によって莫大な金を荒稼ぎした悪党で、情報屋の標的になっていた。警察は犯行手口の違いから同一犯による可能性はないと判断するが、いずれも初動捜査で手詰まりとなる。犯人像を?むことができないまま、さらには戦時中に麻薬密売組織に関わり、政治家とも昵懇だった新興宗教の宗務総長が殺害される。警察の動きを攪乱しながら凶行を続ける男の目的はどこにあるのか? 舘野と玉川は、凶悪な知能犯による完全犯罪を突き崩すことができるのか?

警察捜査の内幕を活写しながら、裏社会を跋扈する男たちを圧倒的な存在感で描き切る、ラスト5ページまで結末が読めない、本年度最注目のクライム・サスペンス!

リラの花咲くけものみち
藤岡 陽子 (著)

動物たちが、「生きること」を教えてくれた。 家庭環境に悩み心に傷を負った聡里は、祖母とペットに支えられて獣医師を目指し、北海道の獣医学大学へ進学し、自らの「居場所」を見つけていくことに――北海道の地で、自らの人生を変えてゆく少女の姿を描いた感動作。

烏に単は似合わない 八咫烏シリーズ 1 (文春文庫)
阿部 智里 (著)

史上最年少松本清張賞受賞作

人間の代わりに八咫烏の一族が支配する世界「山内」ではじまった世継ぎの后選び。有力貴族の姫君四人の壮大なバトルの果て……。史上最年少の松本清張賞受賞作品。解説・東えりか

 
【関連】
吉川英治文学賞:講談社
吉川英治文学新人賞:講談社
吉川英治文庫賞:講談社

 


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