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SFマガジン編集長「ちょっと信じられないような小説に出逢ってしまった」――間宮改衣さんデビュー作『ここはすべての夜明けまえ』が刊行

第11回ハヤカワSFコンテストで特別賞を受賞した、間宮改衣さんのデビュー作『ここはすべての夜明けまえ』が早川書房より3月6日に刊行されます。

 

老いない身体を手に入れた彼女の家族史――。

『ここはすべての夜明けまえ』は、第11回ハヤカワSFコンテストの編集部選考で全員が満点、最終選考で大激論の末、特別賞を受賞した作品です。

 
「ちょっと信じられないような小説に出逢ってしまった」
SFマガジン編集長の溝口さんが一読して衝撃を受け、「少しでも多くの方に読んでもらいたい!」と『SFマガジン』2024年2月号への全文掲載を決定、早川書房公式X(旧Twitter)で書店員向けゲラ読み募集を開始したところ、200名を超える書店員さんがゲラ読みに参加。普段SF作品を読まない人からも「心の奥深くに刺さった」など、熱い感想が続々寄せられました。

 
【本書のあらすじ】

2123年10月1日、九州の山奥の小さな家に1人住む、おしゃべりが大好きな「わたし」は、これまでの人生と家族について振り返るため、自己流で家族史を書き始める。それは約100年前、身体が永遠に老化しなくなる手術を受けるときに父親から提案されたことだった。

『SFマガジン』2024年2月号 扉絵

『SFマガジン』2024年2月号 扉絵

ひらがなの多い独特の文体で語られる「わたし」の家族史。終わりかけた2123年の世界から約100年前を回想して描かれるのは、私たちの生活に突き刺さる「現代日本」の物語です。

家族やジェンダーの問題を切実に描きながら、「アスノヨゾラ哨戒班」(Orangestar)や棋士・永瀬拓矢さんのエピソードも登場。ボーカロイド好きの方、将棋が好きな方にも注目の物語です。

 
<書店員さんから熱い感想が続々!>

「これまでSFを読んでこなかった」という書店員さんにも、「SF小説が大好き!」という書店員さんにも、「ぶっ刺さって」いる本書の熱い感想を一部紹介します。

◇丸善ヒルズウォーク徳重店・熊谷由佳さん
はじめて『アルジャーノンに花束を』に出会った時のような、『虐殺器官』を読んだ時のような、新しい文学の誕生に立ち会ったという思いがあります。

◇丸善ジュンク堂書店 営業本部・川合雄高さん
ぶっ刺さった。読んで爆売れを確信したのは初めて。この本とんでもなく売れますよ、絶対に。

◇くまざわ書店阿倍野店・山中津加紗さん
まだ2024年は始まったばかりなのに、今年のナンバーワンが私の中で決まってしまったかもしれない。どうしよう。嘘みたいな、信じられない読書体験だった。

◇水嶋書房くずはモール店・井上 恵さん
SF小説でありながら芥川賞作品のように文学的に思えました。

◇内田 剛さん(ブックジャーナリスト)
令和という時代が生み出した新たな「古典」!! これは絶対AIには生み出せない文学世界でしょう。

◇ブックスタジオエキマルシェ新大阪店・森 茜さん
もう一回記憶全消去で送ってもらった封筒を開けるところからやり直したいです。

◇くまざわ書店新鎌ヶ谷店・武藤湧大さん
百年後もきっとこの小説は人々に読まれ続けているだろう。

 

担当編集より

上記は2023年6月13日の午後9時44分、初めて本作を読み終えた直後のツイート。同日深夜、ハヤカワSFコンテスト2次選考の担当をしていた私は、担当範囲の講評をこう書きました。「ぶっちぎりで今回のベスト。この書き方に挑んで成功させてしまうのはちょっと尋常ではない。こういう切実さを評価するために公募賞はあるのだと思う」。小説の仕事を始めて10年、ハヤカワSFコンテストでこんな作品に出会うことになるとは、夢にも思いませんでした。SF新人賞としての評価軸を超えて、これほどまでに「刺さるかどうか」だけを問うてくる応募作は初めてです。そして私には、エグめに刺さってしまいました。これから本作と出会う読者にとっても、そうであることを願います。
――第11代SFマガジン編集長 溝口力丸

 

装幀を名久井直子さん、装画は北澤平祐さんが担当

装画は『水車小屋のネネ』(津村記久子さん/毎日新聞出版)や『噛み合わない会話と、ある過去について』(辻村深月さん/講談社)を手掛けている北澤平祐さん。

装幀は『黄色い家』(川上未映子さん/中央公論新社)、『スピノザの診察室』(夏川草介さん/水鈴社)を手掛けている名久井直子さん。

鮮やかな色彩のなかに真っ白な人物がいる装画と、特徴的な本文をあしらったカバーが、本書の魅力を伝えます。

カバー全体

カバー全体

 

著者プロフィール

間宮改衣(まみや・かい)さんは、1992年生まれ、大分県大分市出身。『ここはすべての夜明けまえ』にて第11 回ハヤカワSF コンテスト特別賞を受賞。

 

ここはすべての夜明けまえ
間宮 改衣 (著)

いやだったこと、いたかったこと、
しあわせだったこと、あいしたこと、
一生わすれたくないとねがったこと

◇老いない身体を手に入れた彼女の家族史

2123年10月1日、九州の山奥の小さな家に1人住む、おしゃべりが大好きな「わたし」は、これまでの人生と家族について振り返るため、自己流で家族史を書き始める。それは約100年前、身体が永遠に老化しなくなる手術を受けるときに父親から提案されたことだった。

かいていったらなっとくできるかな、わたしは人生をどうしようもなかったって。

 


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