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SINCE 1991

新潮文庫が安部公房作品を電子書籍化

これまで1点も電子書籍化されてこなかった新潮文庫の安部公房作品が生誕100年を期に、電子書籍化されます。

 

世界的な作家・安部公房が待望の電子書籍化。3月7日(木)より配信開始!

『砂の女』『壁』『箱男』をはじめ、その尖鋭的な創造力で数々の傑作を生みだし、世界を震撼させた作家・安部公房。新潮社は生誕100年に当たる3月7日(木)を機に、新潮文庫より刊行されている作品を電子書籍として配信することを決定しました。

 
電子書籍化されるのは以下の作品です。

他人の顔/壁/けものたちは故郷をめざす/飢餓同盟/第四間氷期/水中都市・デンドロカカリヤ/無関係な死・時の崖/R62号の発明・鉛の卵/人間そっくり/燃えつきた地図/砂の女/箱男/密会/笑う月/友達・棒になった男/方舟さくら丸/カンガルー・ノート/飛ぶ男

 
なお、新刊『飛ぶ男』は2月28日(水)より先行配信されています。

今年、30年ぶりの文庫新刊として発売が発表された『飛ぶ男』をはじめ、「新潮」「芸術新潮」「波」各誌の3月号では安部公房特集を掲載しています。

 

著者プロフィール

安部公房(あべ・こうぼう/1924-1993)は、東京出身。東京大学医学部卒業。1951(昭和26)年「壁」で芥川賞を受賞。1962年に発表した『砂の女』は読売文学賞を受賞したほか、フランスでは最優秀外国文学賞を受賞。その他、戯曲「友達」で谷崎潤一郎賞、『緑色のストッキング』で読売文学賞を受賞するなど、受賞多数。

1973年より演劇集団「安部公房スタジオ」を結成、独自の演劇活動でも知られる。海外での評価も極めて高く、1992(平成4)年にはアメリカ芸術科学アカデミー名誉会員に。1993年急性心不全で急逝。2012年、読売新聞の取材により、ノーベル文学賞受賞寸前だったことが明らかにされた。

 

飛ぶ男
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安部 公房 (著)

安部公房生誕100年記念、約30年ぶりの文庫新刊!
死後、フロッピーディスクに遺されていた原稿が待望の文庫化! 鬼才が創造した最期の世界とは。

《飛ぶ男》の出現。目撃者は3人。暴力団の男、男性不信の女、そしてとある中学教師……。突然の電話、窓の外に浮かぶ不可解な物体、2発の銃弾、女の来訪、妙な収集癖で満ちた部屋。安部公房が最後に創造した、不条理にしてユーモラスな世界とは。死後フロッピーディスクから見つかった遺作が待望の文庫化。本作に繋がる「さまざまな父」を収録。

本文より
 ある夏の朝、たぶん四時五分ごろ、氷雨本町二丁目四番地の上空を人間そっくりの物体が南西方向に滑走していった。月明かりを背にした輪郭から判断したところでは、フイルム会社が宣伝用に飛ばしている新型の気球らしくもある。時速二、三キロ。しかし目が慣れるにつれて、首を傾げざるをえない。ガスを詰めただけの浮遊物体に、あんなレールに乗ったような直線飛行が可能だろうか? どう見ても意思を持った自力走行である。(中略)
 どうやら《飛ぶ男》の出現に立ち会ってしまったようである。

 


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