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アメリカ国内で約2000人の連続殺人犯が活動中!『異常殺人――科学捜査官が追い詰めたシリアルキラーたち』が刊行

日本人がまだ知らない、未解決事件の数々に挑んできた科学捜査官の手記、『異常殺人――科学捜査官が追い詰めたシリアルキラーたち』(著:ポール・ホールズさん、ロビン・ギャビー・フィッシャーさん/訳:濱野大道さん)が新潮社より刊行されました。

 

撲殺、顔面銃撃、隠された遺体、18年におよぶ少女監禁――執念の「未解決事件」捜査実録

撲殺、顔面銃撃、隠された遺体、18年におよぶ少女監禁――不気味で凄惨な犯行現場に臨場し続ける科学捜査官は、密かに「最凶の連続強姦殺人鬼」を追っていた。10数人が殺害され、50人以上が凌辱された未解決事件。「犯人はまだ生きている」。40年間、警察を出し抜いてきたサディストをどう炙り出せるか。

――本書は、DNA解析の最新技術や犯罪捜査の複雑な力学も明かす驚愕の捜査実録です。

 
「私が見たある統計では、現在アメリカ国内で約2,000の連続殺人犯が活動中だと指摘されていた。その多くは孤立者でも社会ののけ者でもない。彼らは友好的な隣人として振る舞うことができ、実際にそのように生活している」
(本書より)

 
著者ポール・ホールズさんは、アメリカ史上最大の被害を出した連続強姦殺人犯「黄金州の殺人鬼」の正体を突き止めたことで一躍有名になった科学捜査官です。

そして本書は、大成功の陰でそのホールズさんが人知れず払ってきた犠牲についても、包み隠さず明かしています。深夜も週末も捜査に没頭するあまり、家庭を2度壊しかけたこと(1度目は離婚)。誰よりも犠牲者とその家族に寄り添う捜査官でありつつ、若い頃からパニック障害に苦しんできたこと。そしてホールズさんが勤務するカリフォルニア州コントラコスタ郡の管轄区で実際に体験してきた数々の未解決事件との対峙が本書の読みどころです。

 
ボッドフィッシュ殺害、パメラ・ヴィタール殺人事件、ジェイシー・リー・デュガード誘拐……。本書は、日本人がまだ知らないアメリカの犯罪の底知れぬ恐ろしさと、それに立ち向かい続ける捜査官の執念に触れることのできる、第一級の「未解決事件」捜査実録です。

 

刊行に際し、作家・石井光太さん、翻訳家・村井理子さんから推薦のコメントが寄せられています。

◆石井光太さん(作家)
「被害者だけでなく、ジャーナリストも、捜査官も壊れていく。狂気の引力に身の毛がよだつ」

◆村井理子さん(翻訳家・エッセイスト、『黄金州の殺人鬼』翻訳者)
「科学捜査官は人生を懸けて犯人を追い続ける。すべては被害者のために。」

 
また本書巻末には、デーブ・スペクターさんによる解説7ページを所収しています。

 

本書の構成

プロローグ
金髪、身長150センチ。その少女の殺害事件は、45年たっても解決していない。被害はただ広がっていく。死体が遺棄された暗渠にひざまずき、私はある約束をした。

1 旅路の果て
元妻のローリーはよくこう言った。「仕事があなたの愛人であり、あなたはほかの誰よりも愛人を優先した」と。明日、私は拳銃を返却し、法執行機関を退職する。

2 「黄金州の殺人鬼」はまだ生きている
私は未解決事件の解決に執念を燃やした。その筆頭が「黄金州の殺人鬼」だ。いまも犯人は、中流階級地区でひっそり暮らしているはずだ。容疑者が浮かび、私は車を走らせた。

3 はじまり
人に心を開くことができない人間だった。学校に溶け込む術を身に着けたころ、パニック発作に襲われるようになる。そんなときに出会った科学捜査官が、私の人生を決めた。

4 薬物研究所の研究員
私はカリフォルニア州の薬物研究所に職を得た。しかし、すぐ近くの棟で働く科学捜査班の仕事に興味を抱き、そこに隠された「犯罪資料図書室」という金脈を見つける。

5 人生の階段
ローリーとの娘、レネーが誕生。私は犯罪現場捜査官(CSI)の職に応募し、民間人の生活から軍隊式の警察学校へ移った。亀裂がはいった結婚生活は、さらに緊張感をはらむ。

6 EAR――イースト・エリア強姦魔
目出し帽、左手に懐中電灯、右手に拳銃。「すべて言うとおりにしないとぶっ殺す」。仕舞い込まれていたEARのファイルを、私は衝撃とともにめくりつづけた。

7 犯罪現場捜査官│CSI
一九九〇年代なかば、管轄内でコカインが蔓延し、ギャング関連の殺人が急増する。「起きるはずのない」街でも残虐な事件が起き、人々は震撼。私は犯罪現場に出向きつづけた。

8 アバナシー殺害事件
切断された死体、飛び散った脳みそ、うじ虫――。恐ろしく、多種多様な現場を経験してきた私にも、この事件は別物だった。子どもを利用して親子を殺したのは、誰なのか?

9 点と点を結ぶ
EARは、男性が室内にいる場合に襲撃したことがない。新聞がそう報じて一カ月もたたないうち、EARはカップルが眠る家に押し入って言った。「男を起こせ」

10 結婚生活の終焉
証拠の解析は得意でも、自分の感情を解析できない。カウンセリングを受けつづけても意味がなかった。ローリーは泣いた。無関心だと非難した。そして「最後の言葉」を言った。

11 アンティオック殺人事件
それは復讐殺人だった。妻に別れを切り出されて取り乱した父親は、小さな娘たちを人質に家に籠城した。子どもたちがどう生まれ、守られるかは運次第だ。

12 ピッツバーグ連続殺人事件
一五歳の少女が帰宅途中にレイプされ、殺された。現場近くでさらに三人の女性が殺される。私は容疑者のDNA鑑定で冤罪を回避し、殺人課刑事とともに真犯人を追う。

13 ボッドフィッシュ殺害事件
有名な銀行一家出身の五六歳が撲殺された。ブーン――近づくにつれ大きくなる、妙な音。決して公開されず、ドラマでも明かされない証拠の採取作業の始まりだ。

14 連続殺人鬼たち
私の管轄エリアでは六人の連続殺人犯が活動していた。そのうちのひとり、歪んだ性的嗜好を持つ《怪物のなかの怪物》に、私は近づこうとする。最先端のDNA技術を駆使して。

15 オリジナル・ナイト・ストーカー
私たちが追うEARと、オレンジ郡が追う「オリジナル・ナイト・ストーカー」には類似点があった。しかし相違点もある。DNA検査で、驚愕の結果が示される。

16 検視
大胆不敵な有名刑事コンビと私はタッグを組んだ。捜査技術の特別講座を受けているような日々だった。ある日、上司から電話が入る。「警察官が撃たれた」――

17 変化
離婚して六年、同僚シェリーとの交際を始めた。何の心配もせず事件の話ができる彼女はソウルメイトのようだ。ところが思ってもみない方面から、反発と妬みを買う。

18 パメラ・ヴィタール殺人事件
この現場は私に何を伝えているのか。直感がそう告げるなら、余分な作業もけっして省いてはいけない。狂気的なほど野蛮な暴行犯の手がかりは、「見えない場所」に残っていた。

19 ジェイシー・リー・デュガード誘拐監禁事件
一一歳で誘拐され、行方不明になっていた少女。一八年間におよぶ監禁生活を送るうちに二人の子どもを生まされ、犯人の妻と五人での共同生活を強いられていた。

20 社会病質者│ソシオパス
私は引きこもり、EAR事件ファイルを精読する。酸鼻をきわめる手口の詳細から浮かび上がるのは、平均的な白人男性の姿。男は部屋から部屋へ音もなく徘徊することができる。

21 新たな容疑者
闇に紛れる。塀を飛び越え、鍵をこじ開け、眠る男女を驚かせたときに犯人が感じたアドレナリン。私も怪物に近づいている。容疑者は二四人にまで絞られた。

22 ポッツを追った二年間
容疑者ロバート・ルイス・ポッツの行方は二〇〇四年以降、つかめない。けれど私も諦めない。事件報告書から、ポッツの黒い目出し帽が証拠として回収されていたことを知る。

23 ミシェル・マクナマラ
女性ジャーナリストが捜査の相棒になる。線路脇で見つかった手書きの地図、機密情報――私たちは高揚感と虚脱感を共有した。次々に特定されていく容疑者。しかし――

24 レイプ魔から殺人者への変身
見つけた事件ファイルは「パズルのピース」だった。北から南に移動した「黄金州の殺人鬼」が恐ろしい変貌を遂げていく。が、わからない。なぜ、男は泣いたのか?

25 ジョセフ・ジェイムズ・ディアンジェロ
一連の事件解明の手がかりをもたらしたのは、家系図作成サイトだった。学者、DNA技術会社の協力による新たな科学捜査で浮上したのは、元警察官だった。

26 「黄金州の殺人鬼」を捕まえろ
ディアンジェロの監視と秘密作戦が始まった。車のハンドルからDNAを採取、そして鑑定結果が読み上げられた。犯人だ――

27 襲撃を追体験する
ディアンジェロの自宅を捜索する。夜中、妻や娘たちを残し、獲物を捜しにいく姿を想像する。その私に、電話をかけてきた女性がいた。

28 ライフワーク
取材依頼と電話が殺到、私をとりまく環境は一変した。だが未解決事件への情熱は変わらない。そして新たな被害者たちに出会う。彼らが答えを見つける手助けがしたい。

謝辞

解説 デーブ・スペクター

 

著者プロフィール

ポール・ホールズ(Paul Holes)さんは、カリフォルニア州ベイエリアに位置するコントラコスタ郡保安官事務所と地方検事局に27年間勤務。科学捜査と事件現場捜査の両方の経験を持ち、キャリアを通じて未解決事件と連続凶悪事件を専門とする。地方検事局在職中に、FBIとサクラメント郡地方検事局とタッグを組んで革新的な捜査技術を応用、アメリカ史上最大の被害を出した連続強姦殺人犯「黄金州の殺人鬼」の正体を突き止めた。逮捕以来、数々のテレビ番組に出演。また退職後も、世間の注目を集める難事件において現場の捜査官たちの相談役を務めるほか、未解決事件の被害者家族の支援を続けている。

 

訳者プロフィール

濱野大道  はまの・ひろみち

翻訳家。ロンドン大学・東洋アフリカ学院(SOAS)卒業、同大学院修了。訳書にレビツキー&ジブラット『民主主義の死に方』、ケイン『AI監獄ウイグル』(新潮社)、ロイド・パリー『黒い迷宮』『津波の霊たち』(早川書房)、グラッドウェル『トーキング・トゥ・ストレンジャーズ』(光文社)などがある。

 

異常殺人:科学捜査官が追い詰めたシリアルキラーたち
ポール・ホールズ (著), ロビン・ギャビー・フィッシャー (著), 濱野 大道 (翻訳)

撲殺、顔面銃撃、隠された遺体、18年におよぶ少女監禁――。執念の「未解決事件」捜査実録。
不気味で凄惨な犯行現場に臨場し続ける科学捜査官は、密かに「最凶の連続強姦殺人鬼」を追っていた。10数人が殺害され、50人以上が凌辱された未解決事件。「犯人はまだ生きている」。40年間、警察を出し抜いてきたサディストをどう炙り出せるか。DNA解析の最新技術や犯罪捜査の複雑な力学も明かす驚愕のドキュメント。

 


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