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布施琳太郎さん第一詩集『涙のカタログ』が刊行 カバーイラストは漫画家・押見修造さんが描き下ろし

多彩な作品発表形態、展覧会の実績や受賞歴を持つ新進気鋭の芸術家・布施琳太郎さんの第一詩集で、初著書となる『涙のカタログ』がPARCO出版より刊行されました。

 

現代社会の「孤独」を多彩な手法で表現する新進気鋭の芸術家・布施琳太郎さん、渾身の第一詩集

本書は、スマートフォン登場以降、つながり過剰の社会のなかで失われた、「孤独」や「二人であること」の回復をテーマに、執筆、絵画や映像作品制作、キュレーター活動ほか、多彩な発表を展開し、いま最も注目を集めるアーティスト布施琳太郎さんの初詩集です。

2022年にPARCO MUSEUM TOKYOにて開催した展覧会「新しい死体」や「名前たちのキス」で発表された作品、雑誌『文學界』への寄稿作品「黒より冷たい海のメディア」を再編集、さらに「涙」をテーマにした書き下ろし作品を多数収録した全30篇で構成。

 
【内容抜粋】

うれしくて泣く子どもを見たことはないけれど、あなたはうれしいときに涙を流す
(「あらゆる年齢の子供達のためのパーソナルコンピュータ」より抜粋)

 
うれしいとかなしいが
ひとつになる
痛い、気持ちいい、
嫌い、吐きそう 愛してる、近づかないで
すべてが等しい重量で
まぶたに色をつける
(「涙-1」より抜粋)

 
これは涙のカタログです。このカタログは整理できなかった過去のためにあります。諦めではありません。未整理のものたちに居場所を与えたい。涙の理由をひとつにしたくない。母の死因は落下でした。あなたの涙は、あなたのためだけに流してもいいのです。
(「涙-1」より抜粋)

 

カバーイラストは押見修造さん、装丁を八木幣二郎さん

コミック『惡の華』『おかえりアリス』(ともに講談社)、『血の轍』(小学館)など、人物の繊細な心理描写に定評がある押見修造さんがカバーイラストを描き下ろし。布施琳太郎さんの熱烈なラブコールに呼応した本作の為の一点ものです。

 
装丁は、布施琳太郎さんとの2人展「砂の本 THE BOOK OF ARENA」を開催中のデザイナー・八木幣二郎さんが担当しました。

 

著者プロフィール

布施琳太郎(ふせ・りんたろう)さんは、アーティスト。1994年生まれ。東京藝術大学美術学部絵画科(油画専攻)を卒業。東京藝術大学大学院映像研究科(メディア映像専攻)を修了。

主な展覧会は「新しい死体」(2022/PARCO MUSEUM TOKYO)、「惑星ザムザ」(2022/小高製本工業跡地)、「すべて最初のラブソング」(2021/東京・The 5th Floor)、「沈黙のカテゴリー」(2021/名村造船所跡地〔クリエイティブセンター大阪〕)、「隔離式濃厚接触室」(2020/ウェブページ)など。

「文學界」「美術手帖」「現代詩手帖」「ユリイカ」への寄稿をはじめとし執筆活動でも注目を集めている。受賞歴に、平山郁夫賞(2022)、第16回美術手帖芸術評論募集「新しい孤独」佳作入選(2019)。Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023「世界を変える30歳未満」にも選出。2024年3月の企画展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?――国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」を控える。

 

涙のカタログ
布施琳太郎 (著)

現代社会の「孤独」を多彩な手法で表現する
“アーティスト 布施琳太郎” が放つ、渾身の第1詩集

「涙」。それは喜びと悲しみ、快楽と苦痛という相反する刺激に対する同一の生理反応。「涙」という現象を主題として、人間の中の矛盾や定義の出来ない曖昧さを訴求し、「海」「死」「性」のモチーフへと広がりながら1冊の中で世界が映像的に交錯してゆく。

―これは「涙」のカタログです。このカタログは整理できなかった過去のためにあります。ひとつひとつが流れなかったかもしれない「涙」の一滴。

 


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