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第32回鮎川哲也賞優秀賞受賞作を書籍化!真紀涼介さんデビュー作『勿忘草をさがして』が刊行

昨年4月に発表された第32回鮎川哲也賞で優秀賞を受賞した真紀涼介さんの『勿忘草を探して(わすれなぐさをさがして)』(応募時タイトル「想いを花に託して」)が書籍化され、東京創元社より刊行されました。

 

選考委員から高い評価を得た鮎川哲也賞優秀賞受賞作『勿忘草をさがして』が書籍化!

辻真先さん、東川篤哉さん、麻耶雄嵩さんの三名による選考会ではその筆力の高さを評価され、2022年10月に開かれた贈呈式では、改めて選考委員の麻耶雄嵩さんから受賞作を評価する選評が語られ、書籍化が待ち望まれていました。

★「第32回鮎川哲也賞・第19回ミステリーズ!新人賞贈呈式レポート」(WEB東京創元社マガジン):http://www.webmysteries.jp/archives/30723966.html

 
物語は、日々を無気力に過ごす高校生が、不愛想だが誠実な青年と出遭い、植物を通して人とのつながりを見つめなおしてゆく、全編通して温かい雰囲気に包まれた連作短編集です。

主人公の少年と青年の絆、さらにそれぞれが植物にまつわる謎を解くたびに級友や家族など周囲の人々との関係が変化していく様子を、読者は温かく爽やかな印象を抱きながら読み進めていくことでしょう。
それぞれの短編のキーになる植物として登場するのは、金木犀、ガザニア、沈丁花、勿忘草といった身近な草花。その草花が持つ性質から真相が導かれていく流れは非常に鮮やかです。何より彩り豊かな草花の描写から想像される情景の美しさも、この作品の読みどころになっています。

 
【あらすじ】

一年前、偶然出会ったお婆さんに会いたい。しかし手掛かりは、庭に良い匂いの沈丁花が咲いていたことと、その庭でお婆さんが発した不可解な言葉だけ――。思わぬトラブルによりサッカー部を辞め鬱屈した日々を送る航大。春を告げる沈丁花の香りに、親切にしてくれたお婆さんのことを思い出し、記憶を頼りにその家を探していたところ出会ったのは、美しい庭を手入れする不愛想な大学生拓海だった。拓海は植物への深い造詣と誠実な心で、航大と共に謎に向き合う。植物が絡むささやかな“事件”を通して周囲の人間関係を見つめなおす、優しさに満ちた連作ミステリ。

 
著者の真紀涼介さんは宮城県出身。現在も県内在住です。作中に実際の地名は書かれていないものの、物語舞台は宮城県のスポットをモデルに描かれています。宮城県内の書店では地元作家をアピールする拡材を使用しての展開も予定されています。

 

本書の目次

「春の匂い」

「鉢植えの消失」

「呪われた花壇」

「ツタと密室」

「勿忘草をさがして」

 

著者プロフィール

著者の真紀涼介(まき・りょうすけ)さんは、1990年生まれ、宮城県出身。東北学院大学卒業。
『勿忘草をさがして』(応募時タイトル「想いを花に託して」)で第32回鮎川哲也賞優秀賞を受賞しデビュー。

 

鮎川哲也賞について

鮎川哲也賞は、東京創元社が主催し、「創意と情熱溢れる鮮烈な推理長編」を公募する新人文学賞です。

正賞はコナン・ドイル像、賞金は「印税全額」となっています。受賞作は10月に東京創元社より刊行され、また朗読音源化したものが株式会社RRJの「kikubon(キクボン)」にて配信されます。

なお、第1回(平成2年度)の芦辺拓さん以来、石川真介、加納朋子、近藤史恵、愛川晶、北森鴻、満坂太郎、谺健二、飛鳥部勝則、門前典之、後藤均、森谷明子、神津慶次朗、岸田るり子、麻見和史、山口芳宏、七河迦南、相沢沙呼、安萬純一、月原渉、山田彩人、青崎有吾、市川哲也、内山純、市川憂人、今村昌弘、川澄浩平、方丈貴恵、千田理緒の各氏をはじめ、 これまで斯界に新鮮な人材を輩出しています。
 

勿忘草をさがして
真紀 涼介 (著)

校舎から次々に消えていく鉢植え、
毎年祖父の命日近くに届く差出人不明の押し花の栞――
謎が、植物が、青年二人を大人へと導いていく
第32回鮎川哲也賞優秀賞受賞作

装画:sakutaro
装幀:岡本歌織(next door design)

 
【関連】
鮎川哲也賞 | 東京創元社

 


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