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芥川龍之介・菊池寛共訳『不思議の国のアリス』が約100年ぶりに復刊

『芥川龍之介・菊池寛共訳 完全版 アリス物語』(著:ルイス・キャロル)

『芥川龍之介・菊池寛共訳 完全版 アリス物語』(著:ルイス・キャロル)

芥川龍之介・菊池寛による幻の名訳『芥川龍之介・菊池寛共訳 完全版 アリス物語』(著:ルイス・キャロル)がグラフィック社より刊行されました。

本書の刊行を記念して、本屋B&Bにて本書の訳補・注解を手がけた小説家の澤西祐典さんと、ゲストの翻訳家・柴田元幸さんによるトークイベントが3月4日(土)にオンライン&リアル開催されます。

 

芥川龍之介・菊池寛による『不思議の国のアリス』幻の名訳が、約100年の時を超えて「完全版」として復刊!

もし『不思議の国のアリス』を日本の文豪が翻訳したら?
――そんな夢のような構想が現実となったのが、1927年刊行の『アリス物語』。芥川龍之介と菊池寛による訳文は実に上品でリズミカル! キャラクターはいきいきとユーモラスに描かれ、今なお色あせない魅力にあふれています。

 
『アリス物語』の原書には脱落箇所などの不足な点がありましたが、本書ではそれらを小説家で芥川研究者の澤西祐典さんが補い、史上初の「完全版 アリス物語」として甦らせました。

 
さらに、充実の注釈と解説つき。注釈では、芥川と菊池ならではの翻訳の工夫やこぼれ話を、解説では、翻訳当時の様子や背景について図版をまじえて紹介しています。

 
1900年代前半に活躍した英国の挿絵画家、マーガレット・タラントの挿絵をオールカラーで約45点掲載。『不思議の国のアリス』をはじめて読む方にもおススメの一冊です。

 

本書の目次

◆はじめに

◆完全版 アリス物語
一章 兎の穴に落ちて/二章 涙の池/三章 コーカスレースと長い話/四章 兎が蜥蜴のビルを送り出す/五章 芋虫の忠告/六章 豚と胡椒/七章 気違いの茶話会/八章 女王の球打場/九章 まがい海亀の物語/十章 海老の四組舞踏/十一章 誰がお饅頭を盗んだか/十二章 アリスの証言

◆注釈

◆解説 本書の成り立ち

◆あとがき 文豪たちのアリス――〝お饅頭〟はどこからやって来た?

 

著者プロフィール

 
■著者:ルイス・キャロル

1832年生まれ、1898年没。イギリスの作家、詩人、数学者、論理学者、写真家。イングランド北西部チェシャー州で牧師の長男として生まれる。本名はチャールズ・ラトウィッジ・ドッドソン。作家として活動する際にルイス・キャロルのペンネームを用いた。

『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』のほか、『スナーク狩り』『シルヴィーとブルーノ』など数多くの作品を遺した。

 
■翻訳:芥川龍之介(あくたがわ・りゅうのすけ)

1892生まれ、1927年没。小説家。『羅生門』『鼻』『藪の中』『河童』などの作品が広く知られている。『蜘蛛の糸』『杜子春』といった児童向けの短篇も執筆。英文科を出た芥川は古今東西の文学作品を読み漁り、自身の創作の糧とした。

1927年7月24日、「ぼんやりした不安」という言葉を遺して服毒自殺し、社会に大きな衝撃を与えた。のちに親友で文藝春秋社主の菊池寛が設けた「芥川龍之介賞」(芥川賞)は、直木賞とともに日本で最も有名な文学賞として現在まで続いている。

 
■翻訳:菊池寛(きくち・かん)

1888年生まれ、1948年没。小説家、劇作家、ジャーナリスト。実業家としても文藝春秋社を興し、『文藝春秋』の創刊や、芥川賞、直木賞、菊池寛賞の創設に携わる。

同人誌で発表した戯曲『父帰る』が舞台化をきっかけに絶賛され、その後、面白さと平易さを重視した新聞小説『真珠夫人』などが成功をおさめる。文芸家協会初代会長などを務め、″文壇の大御所″と呼ばれた。

 
■訳補・注解:澤西祐典(さわにし・ゆうてん)さん

撮影:中野義樹

撮影:中野義樹

1986年生まれ。小説家、研究者。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。

編訳に『芥川龍之介選 英米怪異・幻想譚』(柴田元幸さんとの共編訳)、小説に『フラミンゴの村』(第35回すばる文学賞)、『文字の消息』『雨とカラス』などがある。ジェイ・ルービンさん編、村上春樹さん序文の『ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短編29』に短篇作品が採録されるなど、国際的にも評価されている。

研究者としての専門は日本近代文学、比較文学。国際芥川龍之介学会会員、日本ルイス・キャロル協会会員。龍谷大学国際学部講師。

 

刊行記念トークイベントを開催!

『芥川龍之介・菊池寛共訳 完全版 アリス物語』の発売を記念して、下北沢の書店B&Bで3月4日(土)にトークイベント「澤西祐典×柴田元幸「『変ちきりん』を愉しむ――文豪が出会った不思議の国」『芥川龍之介・菊池寛共訳 完全版 アリス物語』(グラフィック社)刊行記念」を開催します。

出演は、本書の訳補・注解を手がけた小説家の澤西祐典さんと、ゲストに翻訳家の柴田元幸さんをお迎えします。『アリス物語』を起点に、芥川や菊池とその翻訳について、不思議の国のアリスやルイス・キャロルについてなど、縦横無尽に語り合います。当日はお二人による朗読も予定しています。

※本イベントには来店またはリアルタイム配信と見逃し視聴(1ヶ月)で参加できます。

 
■開催日時:2023年3月4日(土)17:00~19:00(30分前から入場開始)

■会場:本屋B&B 東京都世田谷区代田2-36-15 BONUS TRACK 2F + オンライン(Zoom)

■出演:澤西祐典さん(著者)、柴田元幸さん(翻訳家)

■入場料
◎来店参加(数量限定・1ドリンク付き):2,750円(税込)
◎配信参加:1,650円(税込)
◎配信参加+サインなし書籍:1,650円+1,980円(いずれも税込)

★詳細&申込み:https://bb230304a.peatix.com/

 
<ゲスト:柴田元幸(しばた・もとゆき)さん プロフィール>

(c)島袋里美

(c)島袋里美

1954年生まれ、東京都出身。米文学者、翻訳家、東京大学名誉教授。アメリカの現代作家を精力的に翻訳。

『生半可な學者』で講談社エッセイ賞、『アメリカン・ナルシス』(東京大学出版会)でサントリー学芸賞、『メイスン&ディクスン(上・下)』(トマス・ピンチョン著、新潮社)で日本翻訳文化賞、2017年には早稲田大学坪内逍遙大賞を、それぞれ受賞している。日本翻訳大賞の審査員、文芸誌『MONKEY』(スイッチ・パブリッシング)の責任編集も務める。

 

芥川龍之介・菊池寛共訳 完全版 アリス物語
ルイス・キャロル (著), 芥川 龍之介;菊池 寛 (翻訳), 澤西 祐典 (解説)

【出版社からのコメント】
文豪二名が手がけた訳文は上品かつリズミカル、アリスのお茶目な魅力も満載です。昭和初期ならではの古風な言い回しも味わい深く、レトロな趣を感じさせてくれます。挿絵には1900年代前半に活躍した英国の挿絵画家、マーガレット・タラントのイラストをオールカラーで掲載しています。
訳補・注釈・解説は、小説家で芥川研究者の澤西祐典氏が手がけました。
注釈では、芥川と菊池ならではの工夫やこぼれ話など、本書をより一層楽しめる内容を多数紹介しています。ほか、原書刊行当時の様子がわかる図版をまじえた解説など、物語以外の部分もぜひお楽しみください。

 
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