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生き物に「ざんねんな進化」はない! 郡司芽久さん『キリンのひづめ、ヒトの指』が続々重版!

郡司芽久さん著『キリンのひづめ、ヒトの指 比べてわかる生き物の進化』

郡司芽久さん著『キリンのひづめ、ヒトの指 比べてわかる生き物の進化』

NHK出版は、2022年9月28日に刊行した、「キリン博士」こと、解剖学者である郡司芽久さん著『キリンのひづめ、ヒトの指 比べてわかる生き物の進化』の3刷重版を決定、12月中旬に順次出荷となります。

 

「生き物の“ざんねんではない”進化の話」に注目!

ユニークな進化の話である本書は、9月28日の発売以降「日経新聞」「毎日新聞」『週刊プレイボーイ』『週刊エコノミスト』「日刊ゲンダイ」「好書好日」「まいどなニュース」、TBSラジオ「アシタノカレッジ」、bayFM「ザ・フリントストーン」、FMヨコハマ「Sunday Good Vibes!!」……等、多数メディアで紹介されてきました。

著者・郡司芽久さん(撮影:榊 智朗)

著者・郡司芽久さん(撮影:榊 智朗)

器官の「比較」を通して動物の体に刻まれた進化の謎をひも解くというテーマが多くの人の関心を集め、今回、増刷・3刷が決定しました。

 

話題となった「帯」コピーの由来とは?

(「第10章 進化とは妥協点を探ること」より引用)

生物の進化に関する研究をしていると、おもわず「進化って、すごい!」といいたくなってしまうようなときがある。(中略)その一方で、「こんな感じでいいの……?」と思ってしまうような進化のかたちも、世の中にはいくつも存在している。反芻ができないゾウやウマは、食べた植物の大部分を未消化のまま排泄してしまうし、シカのオスがもつ立派な角は、毎年落ちてなくなってしまうので、春が来るたびに新たに生やさなくてはならない。本書では、こうした「非合理的に見える進化」を多々紹介してきた。

これらは、ときには”ざんねん”と評されてしまうのかもしれない。「反芻すれば、栄養を無駄なく吸収することができるのに」「角を落とさず生えたままにしておけば、カルシウムを無駄にすることはないのに」……。人間目線で見ると、ついそんなふうにいいたくなってしまう。それでも、そんな進化を遂げた動物たちを、私は心から愛おしく思う。

そこにはたしかに、自然界のおおらかさが存在しているからだ。いちばんではなくても、効率的ではなくても、その動物自身が生きている世界でなんとかやっていけるのならば(つまり自分の遺伝子を引き継ぐ子孫を残すことができるならば)、それでいいのだ。誰かに”ざんねん”などといわれる筋合いはどこにもない。

 
環境の中で折り合いをつけて生き延び、進化してきた生物。その進化は「前より良くなる」「勝ち抜く」という単純な思想ではなく、「そこに優劣はない」という郡司さんの言葉には生き物に対する敬意が感じられます。

 

本書の構成

はじめに――解剖からひも解く生き物の進化

第1章 肺 息苦しい水中への対応策

第2章 手足 手のひらを返すヒト、返せないキリン

第3章 首 頭と肩に挟まれた隙間

第4章 皮膚 外から支える偉大な「臓器」

第5章 角 その不思議な魅力

第6章 消化器官 たくさん食べるか、無駄なく消化か

第7章 心臓 はるか遠くへと血液を運ぶ旅

第8章 腎臓 「毒」の排出を担う器官

第9章 呼吸器 酸素の取りこぼしを減らす工夫

第10章 進化とは妥協点を探ること

あとがき――自分の体を知ることは

 

著者プロフィール

著者の郡司芽久(ぐんじ・めぐ)さんは、東洋大学生命科学部生命科学科助教。1989年生まれ。2017年3月、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程を修了し博士(農学)を取得。同年4月より日本学術振興会特別研究員PD として国立科学博物館に勤務後、筑波大学システム情報系研究員を経て2021年4月より現職。専門は解剖学・形態学。第7 回日本学術振興会育志賞を受賞。

著書に『キリン解剖記』(ナツメ社)。

 

キリンのひづめ、ヒトの指: 比べてわかる生き物の進化
郡司 芽久 (著)

高血圧なキリンの心臓、物をつかみにくい猫の手……
生き物に「ざんねんな進化」はない!

ヒトとキリンは似ている動物? 見た目はまったく違うけれど、じつは骨格の構造や赤ちゃんの育て方など共通点も多くある。似ている部分に注目すると、複雑な進化の仕組みを理解しやすくなる。生き物の成り立ちを知るうえで「比較」は最も重要なのだ。手足、首、皮膚、心臓など8つの器官を通して、さまざまな動物の体に刻まれた進化の歴史をひも解く。
「キリン博士」こと人気解剖学者によるユニークな進化の話!

ヒトとは異なる環境に適応してきた動物たちの体には、ヒトとは異なる〝進化のかたち?が刻まれている。心臓や腎臓といった同一の器官であっても、動物ごとに構造や機能がまったく違うこともある。思わず感嘆の声が漏れてしまうほどエレガントで美しい仕組みもあれば、「そんなことで大丈夫なの?」と心配してしまうような大ざっぱな構造もある。優劣があるわけではなく、どちらの進化にも、それぞれの味わいがある。
さまざまな動物たちの進化の歴史の物語を、存分に楽しんでいただきたい。(本書「はじめに」より)

 


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