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7カ国語をあやつる中国文学研究者・橋本陽介さん『中国語は不思議』が刊行

橋本陽介さん著『中国語は不思議 「近くて遠い言語」の謎を解く』

橋本陽介さん著『中国語は不思議 「近くて遠い言語」の謎を解く』

中国文学研究者でお茶の水女子大学准教授の橋本陽介さんの新刊『中国語は不思議 「近くて遠い言語」の謎を解く』(新潮選書)が新潮社より刊行されました。

 

普通の参考書には書いていない中国語の“裏話”から、歴史や文化までも解き明かす! 目からウロコのおもしろ語学エッセイ

 
◆「外国語学習の達人」が贈る、おもしろ中国語エッセイ

著者の橋本陽介さんは、中国文学を専門としながら、これまでに7か国語(英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、ロシア語、中国語、韓国語)を習得し、『7カ国語をモノにした人の勉強法』などの著作をもつ外国語学習の達人です。

また、日本語や言語学にも造詣が深く、『日本語の謎を解く 最新言語学Q&A』等も刊行しています。本書は、そんな言語の達人・橋本さんが自身の専門である中国語について解説するエッセイです。

 
◆中国語は日本人が「もっともマスターしやすい」ものの、「近くて遠い」言語?

日本にとって歴史的にもっとも縁の深い外国語である中国語は、文字や語彙など日本語と多くの共通点があり、もっともマスターしやすい外国語だと著者はいいます。

しかし、似ているがゆえに間違いやすいポイントが多々あり、さらに発音や文法など根本的に大きく異なる面も持つ「近くて遠い言語」なのです。

 
◆普通の学習書には書いていない裏話(1) ――中国語の“ツボ”を押せば、歴史や文化まで見えてくる!

本書の最大の特徴は、そんな中国語について、普通の学習書には書かれていないような“裏話”を紹介していることです。

たとえば、中国の文字である「簡体字」が、もとの「繁体字」からどのような原理で簡略化されているのかは学習書に書かれています(「へん」を置き換える、など)。しかし、そもそもなぜ文字を簡略化することになったのかはあまり知られていません。そこにはボツになったアイディアや意外なドラマがあり、それらを知ることで中国の壮大な“思想”までが見えてくるのです。

 
◆普通の学習書には書いていない裏話(2) ――中国語と日本語の一筋縄でいかない微妙な関係がわかる!

また、語彙についての章では、中国語から大量の漢字や単語を日本語に取り入れてきた歴史が見えてきます。

たとえば、「歩く」は中国語で“走”、「書く」は“写”となることは初心者でも学びますが、こうした意味のズレがいつ、どのように、なぜ生じたのかが分かれば、中国語と日本語の深い関係が理解でき、さらに親近感が沸くはずです。このような解説は、語順や時制、文法にもおよびます。

本書はこうして中国語理解の“ツボ”を押していくことで、中国語話者がものごとをどのように捉えているかを浮かび上がらせています。

 
◆中国語上級者から“語学エッセイ好き”まで大満足の一冊

また、本書は中国語上級者が「なんとなくわかっているようで、実のところよくわからないポイント」も押さえ、解説します。とくに、「離合詞」や「文の区切り方(流水文)」については、著者独自の画期的な解説に目をみはらされること必至です。

本書は、中国語を学んでいる人はもちろん、外国語にまつわるエッセイが好きな読者にもたまらない内容を備えた一冊です。

 

著者・橋本陽介さん コメント

本書は、中国語そのものから中国文学、中国文化まで、話題を広げに広げながら、中国語理解のツボをひたすら押していきます。学習に役立つ情報からトリビアまで、提供する知識と興味深い話題をふんだんに盛り込みました。中国語の上級者から、語学全般に興味があるという方まで、誰が読んでも必ず新しい発見がある本書をぜひ、お手に取ってみてください。

 

本書の構成

はじめに

第一章 簡体字を巡るエトセトラ
甲骨文から草書・楷書へ/漢字の進化論/さらなる過激な簡化─第二次漢字簡化方案 など

第二章 音声とピンイン表記
ピンイン表記法の紆余曲折/音節表が空欄だらけな理由/音声から語源をたどる など

第三章 語彙のはなし
人間には「嘴」と「牙」がある/『中華オタク用語辞典』/「?楽部」「経済」─翻訳漢語の世界 など

第四章 『三国志演義』を原文で読むには
書き言葉「文言文」と話し言葉「白話」/中国版・言文一致で生まれた「新たな書き言葉」 など

第五章 品詞と語順のはなし
中国語には品詞がない?/「パソコンが壊れた」は“死机” /日本語と中国語は主題卓越型 など

第六章 中国語の「時間」のはなし
「過去形」はなくても問題ない/餃子を何個食べたら食べ終わり?/描写で分かる語り手の視点 など

第七章 “是” は「コレ」である
「AはBだ」の表しかた/“A是B”の歴史/中華圏の王道エンタメ、武?小説 など

第八章 中国語の「一つの文」
「、」でつながる長い文の謎/キーワードは流水文/“得”と“的”/句点と読点の歴史 など

第九章 「並列」することの美学
「流れる水のよう」に感じられる理由/AはBで、BはC /日本語の「長い文」 など

おわりに

 

著者プロフィール

著者の橋本陽介(はしもと・ようすけ)さんは、1982年生まれ、埼玉県出身。お茶の水女子大学基幹研究院准教授。

慶應義塾大学大学院文学研究科中国文学専攻博士課程単位取得。博士(文学)。専門は中国語を中心とした文体論、テクスト言語学。

著書に、『日本語の謎を解く 最新言語学Q&A』(新潮選書)、『中国語実況講義』『中国語における「流水文」の研究 「一つの文」とは何か』(東方書店)、『「文」とは何か 愉しい日本語文法のはなし』(光文社新書)など。

 

中国語は不思議 (新潮選書)
橋本 陽介 (著)

漢字、語彙、文体……こんなに似ていて、こんなに違う!
日本語と多くの共通点がありながら、発音や文法などが大きく異なる「近くて遠い」中国語。なぜアメリカは“美国”なのか? 過去形がないのに、過去をどう語る? 7ヶ国語に精通した研究者が、ふとした疑問から文化や思想までをも解き明かす。初心者から上級者まで新しい発見がある、目からウロコのおもしろ語学エッセイ。

 


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