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男子高校生が島根で日本刀の職人に弟子入り!? 天沢夏月さん〈刀鍛冶×青春小説〉『青の刀匠』が刊行 装画は『海が走るエンドロール』たらちねジョンさん

天沢夏月さん著『青の刀匠』

天沢夏月さん著『青の刀匠』

高校生たちの青春を瑞々しく描き、若い世代から支持を得る天沢夏月さんの最新作『青の刀匠』がポプラ社より刊行されました。

 

受け継がれる技と心に触れるとき、少年の胸に熱が宿る

心と身体に傷を負った孤独な男子高校生のコテツが出会ったのは、日本で唯一といえる女性の刀鍛冶だった――。

彼女やその弟子たち、伝統工芸である刀づくりにかかわるうちに、徐々に変わっていくコテツ。読後に熱い感動が押し寄せる青春小説です。

 
【あらすじ】

突然火事にあい、火傷を負った東京の男子高校生・コテツ。
天涯孤独となった彼は、島根に住む遠縁の剱田かがりという老婦に引き取られることに。
かがりは、現代日本において唯一と言われる女性の刀鍛冶で、寡黙だが瞳に燃え盛る炎を持つ刀匠だった。
自暴自棄になり言われるまま島根にやってきたコテツだが、転校初日、己の火傷を見るクラスメイトの視線に耐えられず、学校へいけなくなる。

部屋にひきこもるコテツに、かがりは「学校へはいかなくてもいいが、そのかわり仕事を手伝え」と言う。
かがりの弟子であるコウやカンナに教わりながら手伝いをするうちに、徐々に作刀に興味を持ち始めるコテツ。

現代日本において、刀をつくる意味とはなにか?
かがりや兄弟子たちと関わり、悩みながらも、鉄を打ち、その熱に溶かされ、コテツは自らの心の形も変えていく――。

伝統工芸の美しさ、厳しさ、そして脈々と受け継がれていくものとは。
少年の成長を瑞々しく綴る、胸が熱くなる青春小説。

 
なお、装画は2022年「このマンガがすごい!」オンナ編で大賞を受賞した『海が走るエンドロール』(秋田書店)のたらちねジョンさんが担当しています。

 

著者メッセージ

刀鍛冶小説であり、同時に青春小説であることを両立させようと考えたとき、「鍛錬」と「鍛練」の両方を描きたいと思いました。

 
「鍛錬」とは鉄を強く鍛えること。
「鍛練」とは人が修練を積み重ねること。

 
鉄には鉄の魂があり、人には人の魂がある。「鍛」という字は、言ってみれば”魂”を磨き上げることを意味するのだと思います。ならばその過程で、この二つが共鳴する瞬間も、きっとあるだろうと思いました。

 
今の世で日本刀が武器として使われることはありませんが、それでも彼らは確かに”断ち切るもの”です。
見た者の心に深く切り込み、畏怖と感銘を静かに刻む――『青の刀匠』もまた、一振りの物語として、読んでくださった人の心に何か残すことができたなら、作者としてこれ以上の喜びはありません。

 

作家、書店員、司書など……各所から推薦コメントが続々!

 
<作家・まはら三桃さんよりコメント>

「何のために刀作っちょう?」
主人公の沙コテツに、級友の土屋はあっけらかんとこうたずねる。
これは、問われたコテツ自身の疑問でもあるが、同時に作者の問いかけでもあるのだろう。そして、私の疑問でもあった。

「鉄には鉄のなりたい姿があっだわ」師匠はそう言う。刀になりたい鉄があるとするならば、そのように姿を整えてやることは、職人の止むにやまれぬ使命なのだろうか。自然のあり様は、人間にとって正しいことばかりとは限らない。

物語では使命を担った職人たちが、さまざまな傷や事情を抱えながらも、懸命に伝統をつなげていく。その姿に、人が生きていくということの困難と尊さを感じずにはいられない。
本著は刀を作る職人たちの葛藤を感じつつも、爽やかに読みきることができる。それは、作者の丁寧で力のある筆致に「ペンは剣より強し」という言葉の灯りを感じることができたからだと思う。

 
<書店員・紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん>

物語の中で見た刀の一振りが、
ものすごい熱を帯び、読後もずっと鮮明に心に残っています。

 
<書店員・明文堂書店氷見店 前花祐太さん>

この世に意味がないことなど何一つないのだと
強いメッセージをいただけたような気持ちです。

 
<書店員・福家書店木の葉モール橋本 小寺恵理奈さん>

この作品はぜひ中高生に読んでもらいたいです。
現在コロナ禍で心に傷を負った中高生に勇気を与えてくれる、
前に進む力をくれる作品だと思います。

 
<学校や図書館の司書モニターの皆さん>

◎読み手の心をも“鍛錬”するような、熱い小説です。

◎生き方のヒントを見つけていくストーリーにとても励まされました。

◎熱い炎を感じながら、刀と人生を重ね合わせた一冊でした。

 

著者プロフィール

著者の天沢夏月(あまさわ・なつき)さんは、1990年生まれ、東京都出身。『サマー・ランサー』にて第19回電撃小説大賞“選考委員奨励賞”を受賞し、デビュー。

著書に『ヨンケイ!!』(ポプラ社)、『八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。 』『そして、君のいない九月がくる』、「DOUBLES!!」シリーズ(KADOKAWA)など。

 

青の刀匠
天沢 夏月 (著)

突然の火事に遭い、孤独になったコテツは、島根に住む遠縁のかがりに引き取られる。かがりは、日本で唯一といえる女性刀鍛冶だった――。
かがりやその弟子たち、そして伝統工芸と呼ばれる作刀の仕事にかかわるうちに、徐々に刀に興味を持つコテツ。悩みながらも、鉄を打ち、その熱に溶かされ、コテツは自らの心の形も変えていく――。

 


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