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【2022年度 野間賞】第75回野間文芸賞、第44回野間文芸新人賞、第60回野間児童文芸賞、第4回野間出版文化賞が決定!

2022年度「野間賞」各賞が決定!

2022年度「野間賞」各賞が決定!

講談社は11月4日、第75回野間文芸賞、第44回野間文芸新人賞、第60回野間児童文芸賞、第4回野間出版文化賞の受賞者・受賞作品を発表しました。

 

2022年度「野間賞」各賞が決定!

各賞の受賞者・受賞作品は次の通りです。

 
第75回野間文芸賞

松浦理英子(まつうら・りえこ)さん
『ヒカリ文集』(講談社)

 
第44回野間文芸新人賞

町屋良平(まちや・りょうへい)さん
『ほんのこども』(講談社)

 
第60回野間児童文芸賞

福田隆浩(ふくだ・たかひろ )さん
『たぶんみんなは知らないこと』(講談社)

 
第4回野間出版文化賞

◎林真理子(はやし・まりこ)さん
◎歌声合成技術「YAMAHA VOCALOID(ボーカロイド)」開発チーム(やまは・ぼーかろいど・かいはつちーむ)

〔特別賞〕江北図書館(こほくとしょかん )

 

「野間賞」について

野間文芸賞、野間文芸新人賞、野間児童文芸賞の各賞は、講談社初代社長・野間清治さんの遺志により設立された財団法人野間文化財団が主催。「日本の文芸の質的向上を図り、その発展に寄与することを願って」設けられた文学賞です。

野間文芸賞は、純文学の小説や評論を対象とし、受賞者には正賞として賞牌、副賞として300万円が贈られます。
選考委員は、奥泉光さん、佐伯一麦さん、多和田葉子さん、町田康さん、三浦雅士さん。

野間文芸新人賞は、純文学の新人の作品を対象とし、受賞者には、正賞として賞牌、副賞として100万円が贈られます。
選考委員は、小川洋子さん、川上弘美さん、高橋源一郎さん、長嶋有さん、保坂和志さん。

野間児童文芸賞は、児童向けの文学やノンフィクションを対象とし、受賞者には正賞としてブロンズ像、副賞として200万円が贈られます。
選考委員は、あさのあつこさん、いとうひろしさん、金原瑞人さん、富安陽子さん。

 
また、野間出版文化賞は2019年度より新設されたもので、「出版の再発明」をめざす講談社が創業110周年の記念事業の一環として、「出版にまつわるすぐれた表現活動を行った個人・団体を顕彰」することを目的としています。受賞者には、正賞として賞牌、副賞として100万円が贈られます。
選考委員は、林真理子さん、弘兼憲史さん、茂木健一郎さん、野間省伸さん(講談社代表取締役社長)。

 

ヒカリ文集
松浦 理英子 (著)

二年前、東北で横死した劇作家兼演出家の破月悠高。妻の久代がその未完成の遺作を発見した。学生時代に夫妻も所属していた劇団NTRをモデルにしたその戯曲を読んだ久代は、同じく劇団員だった鷹野裕に声を掛ける。「裕、あの戯曲の続き書かない?」

相談の結果、元劇団員たちがそれぞれ好きな形式で文章を寄せることになった。作品集のタイトルは「ヒカリ文集」。劇団のマドンナであり、あるとき姿を消してしまった不思議な魅力を持った女性、賀集ヒカリの思い出が描かれてゆく。

『親指Pの修業時代』『犬身』『最愛の子ども』……そして新たな傑作が誕生!

ほんのこども
町屋 良平 (著)

横溢する暴力と身体、無垢なる魂の軌跡。「やさしく恋するみたいに他の人体を壊す」

元同級生あべくんからのメールにあった文章から着想したシーンをつないで、商業作家はあべくん自身の人生を小説にしようとする。
父による母殺傷事件、両親がころしころされていたあべくんはやさしく恋するみたいに他の人体を壊す。
殴られても反発するようによろこぶ身体。やさしさや暴力で愛撫し合い痛みをこらえるようによろこぶ身体。
物語にかえろうとするから人生はつらく、日常が重すぎてひとをころしたくなる。
恋人をころして自分も死んだところで折り返し、あべくんの物語は無限に再生を繰り返す。
小説家があべくんなのかあべくんがかれなのか、やがてふたりの境界は曖昧になり、問い自体が意味を失う。

言葉を与えられていない領域に光をあて小説は紡がれ、大量虐殺の記憶が時空を架橋しやがて物語は侵蝕される。
ーー世界文学に接続する芥川賞作家の真骨頂・新境地。ーー

鴻巣友季子さん絶賛!読書量と強靭な知性に瞠目!
“すべてのポートレイトは画家の自画像であり、すべての小説は自伝を目指すと言う。おそらくすべての小説はどこかしら、一人称の失恋なのだ。”
“小説でなにかを「再現」することは、過去のよみがえりのように見えて、未然の予告なのだ。すべてのフィクションは自伝を目指し、すべての自画像は他人の顔をしている。”
“かきあうこと、傷しあうこと、死にあうこと。「かれ」と「私」、その人称空間のよじれは経験と真実味との落差そのものだ。落差から、小説は来る。”――鴻巣友季子(翻訳家)

たぶんみんなは知らないこと
福田 隆浩 (著), しんや ゆう子 (イラスト)

ねえねえ。なに話してるの?
そんなふうにいえればいいんだけど、わたしはおしゃべりができないから。
おしゃべりしようって思っても、頭のずっとおくのほうでなにかがちかちかってするだけ。お口もじょうずにうごかせないし、もうしかたないなぁって思ってる。本文より。

重度の知的障がいのある小五の女の子、すずと、お兄ちゃん、同級生、先生、保護者たちなど周りの人をめぐる優しい物語。

『ふたり』が青少年読書感想文全国コンクール課題図書に、『香菜とななつの秘密』が厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財に選ばれるなど、特別支援学校で長く現役教師をつとめながら児童文学作家としても活躍する、福田隆浩氏最新作。

 
【関連】
野間文芸賞 : 講談社
野間文芸新人賞 : 講談社
野間出版文化賞 : 講談社
第75回「野間文芸賞」/第44回「野間文芸新人賞」/第60回「野間児童文芸賞」/第4回「野間出版文化賞」受賞者決定のお知らせ〔PDF〕

 


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