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全米400万部突破!タラ・ウェスト―バーさん『エデュケーション』文庫化記念!桜庭一樹さん×村井理子さんオンライントークイベント「あらかじめ壊されていたこの世界で」を開催

タラ・ウェスト―バーさん著『エデュケーション』(訳:村井理子さん) ※書影はペーパーバック版

タラ・ウェスト―バーさん著『エデュケーション』(訳:村井理子さん) ※書影はペーパーバック版

早川書房はタラ・ウェスト―バーさん『エデュケーション』を文庫化し、9月に刊行します。これを記念して、代官山 蔦屋書店では訳者でエッセイストの村井理子さんと、文庫版解説を担当した小説家の桜庭一樹さんによるオンライン・トークイベントを9月4日(日)に開催します。

 

全米400万部突破『エデュケーション』について

 
【本書の概要】

学校も病院も行かせてもらえない。
そんな少女が夢見たのは、大学へ行くこと――
すべてが実話。驚きの回想録。

アイダホの山奥で育ったタラ。狂信的なモルモン教原理主義者の父の方針で、学校へも通わせてもらえず、病院に行くのも禁じられていた。兄からは虐待も受けていた。自らの将来と家族のあり方に疑問を感じたタラは独学で大学に入ろうと決意するが……。

全米400万部突破&ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー第1位!ビル・ゲイツ、ミシェル&バラク・オバマ絶賛の傑作ノンフィクション。

 
<本書より(一部抜粋)>

◆私たち家族のこと
政府が無理矢理に私たち(著者の家族)を学校に行かせるのではと父は心配している。でも政府にそんなことはできない。だって私たちのことなんて知らないのだから。私の両親の七人の子供のうち四人が出生証明書を持っていない。診療記録もない。なぜなら私たちはこの家で生まれ、医師や看護師には一度も会ったことがないからだ。教室に足を踏み入れたことさえないから、成績も残っていない。私の遅延出生届がようやく提出されたのは九歳のときだったが、七歳の時点では、アイダホ州と合衆国政府にとっては、私はこの世に存在していない。

◆大学って?
「大学って何?」と私は聞いた。
「大学とは、最初の一回で学ぶことができなかった愚か者のための学校だ」と父は言った。兄のタイラーは床をじっと見つめ、顔を強ばらせていた。
父は「大学の教授には二つのタイプがいる。嘘をついていることをわかっているやつら、それから真実を語っていると信じ込んでいるやつらだ」と続けて、にやりと笑った。「イルミナティの優秀なスパイで、自分が悪魔の手先と知っている人間か、自分の知恵が神よりも優れていると考えている高尚な教授様か、どっちが最悪かという話だな」状況は深刻ではなかった。父はただ息子に何か言い聞かせてやりたかっただけなのだ。

◆兄ショーンによる虐待
ショーンは私の髪をわしづかみにした。根元をつかまれていたため、簡単にトイレまで引きずり込まれた。ドアに両手を伸ばして枠につかまろうとしたが、彼は私を床から持ち上げ、両腕を動かせないように体に押しつけ、そして便器に頭を突っ込んだ。「謝れ」ともう一度彼は言った。目をつぶったけれど、自分がどこにいるのか、その悪臭が忘れさせてはくれなかった。
私は何か別のものを想像しようとした。今の自分を忘れられるような何かを。

◆大学進学のきっかけ――兄タイラーの言葉
「離れるときが来たんだよ、タラ」とタイラーは言った。「長くここにいればいるほど、離れられなくなる」
「家を出るべきだと思うの?」
タイラーはまばたきをせず、ためらいもしなかった。「ここは君にとっては最悪の場所だ」彼は優しく言ったが、まるでそれは彼の叫びかのように私には聞こえた。
「どこに行けばいいの?」
「僕が行った場所に行けばいい」とタイラーは言った。「大学に行くんだ」

 
<著者タラ・ウェストーバーさん プロフィール>

著者近影 撮影:Paul Stuart

著者近影 撮影:Paul Stuart

1986年生まれ、米国アイダホ州出身。両親が病院、公立学校、連邦政府を頼らないサバイバリストだったため、自宅で助産師の手を借りて生まれた。9歳まで出生届が提出されていなかった。学校にも行かず、医療機関も受診せずに育った。

10代半ばに、大学に進学した兄の影響を受け、大学に通うことを決意。独学で大学資格試験に合格する。

2004年ブリガム・ヤング大学に入学。2008年に同大卒業(文学士)。その後ゲイツ・ケンブリッジ奨学金を授与され、ケンブリッジ大学トリニティカレッジにて哲学で修士号を取得。ハーバード大学に客員研究員として在籍ののち、ケンブリッジに戻り、2014年歴史学で博士号を取得。2020年よりハーバード大学公共政策大学院 上級研究員。

2018年に発表した本書は主要メディア、ビル・ゲイツ、オバマ夫妻に絶賛され、全米400万部超の記録的ベストセラーとなった。ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー・ランキングには130週以上ランクインしている。

著者は2019年TIME誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出された。

 

桜庭一樹さん×村井理子さんトークイベント「あらかじめ壊されていたこの世界で」開催概要

今回のイベントでは、本書の訳者でエッセイストの村井理子さんと、文庫版解説を担当した小説家の桜庭一樹さんが、『エデュケーション』を通じて「家族との共生」と「家族からの自立」について語り合います。

 
■開催日時:2022年9月4日(日)14:00~15:30

■開催場所:Zoomウェビナー機能を使用したオンラインライブ配信

■主催:代官山 蔦屋書店

■料金:1,500円(税込)

■受付締め切り:2022年9月4日(日)14:00まで

★詳細&申込み:https://store.tsite.jp/daikanyama/event/humanities/28472-1448110822.html

 
<登壇者プロフィールあらすじ>

■桜庭一樹(さくらば・かずき)さん
小説家。1971年生まれ、島根県出身。1999年「夜空に、満天の星」で第1回ファミ通エンタテインメント大賞佳作入選。『AD2015 隔離都市ロンリネス・ガーディアン』と改題した同作で作家デビュー。
「GOSICK」シリーズ、『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』など少年少女向け小説を経て、一般向け小説に。2007年『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞、2008年『私の男』で第138回直木賞を受賞。

■村井理子(むらい・りこ)さん
翻訳家、エッセイスト。1970年生まれ、静岡県出身。琵琶湖湖畔で、夫、双子の息子、ラブラドール・レトリーバーのハリーとともに暮らす。主な訳書に『メイドの手帖』『サカナ・レッスン』『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』。著書に『兄の終い』『村井さんちのぎゅうぎゅう焼き』『犬(きみ)がいるから』『村井さんちの生活』など。

 

※以下はペーパーバック版へのリンクです。

エデュケーション 大学は私の人生を変えた(ペーパーバック)
タラ ウェストーバー (著), 村井 理子 (翻訳)

姫野カオルコ(作家『/彼女は頭が悪いから』)
「すごい生い立ち。すごい傷。すごい逞しさ。一行一行が、読む者をぶん殴ってくる。彼女の不屈の精神に敬服させられる。にもかかわらず、全ページのいたるところに、読者は自分のバリエーションを見つけるにちがいない。彼女の強さは、他者への素朴な尊敬が作っている。読む者を力づける自伝だ」

佐々涼子(作家『/紙つなげ』『エンド・オブ・ライフ』)
「暴力と愛着から逃れるすべは教育だった。凄い本だ! 彼女の姿から人間の強さを学んだ」

ビル・ゲイツ(マイクロソフト共同創業者)「感動的な素晴らしいストーリー。聞きしに勝る面白さだ! 」

バラク・オバマ(前アメリカ合衆国大統領)「サバイバリストの家家庭に育った若い女性の驚くべき回想録」

 
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