ソン・ヒョンジュさん初邦訳!韓国発お仕事小説『トロナお別れ事務所』が刊行
ハーパーコリンズ・ジャパンは、韓国発の「お別れ代行サービス」をテーマにした小説『トロナお別れ事務所』(著:ソン・ヒョンジュさん、訳:古川綾子さん)を刊行しました。
「別れ」――それは本来の自分と向き合うこと
クールな別れなんて必要ない!
やっかいな家族、愛情が冷めてしまった恋人、やめられない習慣……
あなたを悩ませるあらゆるものをきれいさっぱり整理する、忙しい現代人のためのお別れ代行サービス!
〈トロナお別れ事務所〉はどんな依頼もお受けいたします。
韓国で「必要とされている問題小説」を描く作家として評価され、第1回文学ドンネ青少年文学賞大賞を受賞したソン・ヒョンジュさん。本書は、いま脚光を浴びている彼女の初邦訳作品です。
「何事もなく平穏に別れたい。」そう願ってしまうほど、「別れ」に敏感な時代――。誰かが「別れ」を代行してくれる時代がくるであろうという想像から出発したこの小説は、いまの20~30代の気持ちを代弁するように、人間関係に懐疑的な「お別れマネージャー イ・カウル」を通じて人やモノとの「関係」について、漠然とした恐怖心や普遍的な感覚を呼び起こします。
「お別れ代行サービス」という魅力的なテーマを著者特有の愉快で明朗な筆致で描き出したこの作品は、あらゆる関係に縛られ、疲れてしまった今を生きる私たちが、どのようにお別れするべきか、そして「別れ」を通して何を愛するべきか、改めて考えさせてくれる機会をくれます。
本書より
◆歴史上の女性はみんなシングルだった。エミリー・ディキンソンも、大西洋を横断したアメリア・イアハート、それにワンダーウーマンも。この先もずっとシングルでいるとは言い切れないけど、あんなアメーバ以下の男のために泣いてなんていられない。
◆彼女は非難も批判もしなかった。その点はむしろ新鮮だった。別れとは、どちらが先に告げたかによって耐えなければならない大きさも変わってくるのだろう。非難や批判が大きくなるほど深い沼にはまりがちだ。それでも、告げられた別れに対して無効だと声を上げたりしない彼女は堂々として見えた。
◆長いこと抑えつけてきた父への感情と別れられるときは来るのだろうか。でも無理やり別れようとは思っていなかった。染みついている感情に、いつか自然に別れを告げる日が来るだろうという気がした。
しばらく会社の問題は忘れることにした。暴風雨に海を覆い尽くされたら、できることなんて何もない。ただ波に体を委ねるしか。私は今も恐怖を抱え、暗い場所にひとりぼっちで浮かんでいる。安全な波止場を見つけられるのか、まだ誰にもわからない。
トロナお別れ事務所 (ハーパーコリンズ・フィクション) ソン ヒョンジュ (著), 古川 綾子 (翻訳) そこは、人びとの「別れ」を代行する奇妙な会社だった。 イ・カウル、30歳。 |
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