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【第23回小野十三郎賞】冨岡悦子さん『反暴力考』が受賞

大阪文学協会は、優れた詩集および詩評論書に贈る「第23回小野十三郎賞」の受賞作を発表しました。

 

第23回小野十三郎賞が決定!

第23回小野十三郎賞は、9月24日に大阪市内で、オンライン併用の最終選考会が開催され、次の通り受賞作が決定しました。なお、今回は全国各地から詩集124冊、詩評論書13冊の応募がありました。

 
<第23回小野十三郎賞 受賞作品>

【詩集部門】

■小野十三郎賞
 冨岡悦子(とみおか・えつこ)さん
 詩集『反暴力考』(響文社)

■特別賞
◎青木由弥子(あおき・ゆみこ)さん
 詩集『しのばず』(土曜美術社出版販売)
◎颯木あやこ(さつき・あやこ)さん
 詩集『名づけ得ぬ馬』(思潮社)

 
【詩評論書部門】

■小野十三郎賞
 該当作なし

■特別奨励賞
 九里順子(くのり・じゅんこ)さん
 詩評論書『詩人・木下夕爾』(翰林書房)

 
詩集部門で小野十三郎賞を受賞した冨岡悦子さんには賞金30万円が、特別賞を受賞した青木由弥子さんと颯木あやこさんには賞金10万円が贈られます。また、詩評論書部門で特別奨励賞を受賞した九里順子さんには賞金10万円が贈られます。

 
選考委員は、詩集部門が倉橋健一さん、坪内稔典さん、三井喬子さん、犬飼愛生さん、詩評論書部門は葉山郁生さん、細見和之さん、山田兼士さん。

選考会の様子、選評などは、https://www.osaka-bungaku.or.jp/blog/7080/ をご覧ください。

 

小野十三郎賞について

小野十三郎賞(おのとおざぶろうしょう)は、1954年の大阪文学学校の創設から37年間にわたり、校長を務めた詩人の故・小野十三郎さん(1996年没)の多彩な詩業を記念し、全国の創造的な書き手たちを奨励することを目的に1999年に創設され文学賞です。大阪文学学校の運営母体である一般社団法人「大阪文学協会」が主催し、朝日新聞社が共催。

なお、第21回から「詩集」「詩評論書」の2部門に分けて選考を行うこととなりました。

 

反暴力考
冨岡 悦子 (著)

日常と事件の境界を往来する詩の意識が希望も、悲しみも、善きことも悪しきことも自在に跳躍。時代はいま未来を見ようとしているのか。

しのばず
青木由弥子 (著)

告げるべき言葉をのみこみ
こみあげてくるものを抑えて
ふれる
押しかねる扉の
きしみ
ふたりで
押す
手を
そえて
ひらかれたひろやかなひろがり

名づけ得ぬ馬
颯木 あやこ (著)

祈りがつづいている世界、美しいと思うかい? それとも、祈りというものはいつか終わるべき歌だ、そう考えるかい? (「天の魚」) 「痛みは身体的痛覚ではなく、詩にあるときはむしろ、五感を超えた次元で生起する、抗いがたい生からの呼びかけとして描かれる。(…)詩人の役割は、痛みを表現することではない。それを変容させること、痛みを祈りに、そしてついには愛へと変貌させることである」(若松英輔)。五感を超えた次元で生起する痛みを引き受け、いのちの際から豊饒へ――言葉が飛翔する第4詩集。

詩人・木下夕爾
九里 順子 (著)

詩人・木下夕爾は、詩と俳句を手放さずに生きた。
東京・御幸村・広島/戦前・戦後、その先へ。
夕爾が遺した一筋の光を辿る。

木下夕爾(きのした・ゆうじ)
大正3(1914)年、現在の福山市御幸町に生まれる。『若草』の投稿家として注目され早稲田高等学院に学ぶが、家業の薬局を継ぐために名古屋薬学専門学校に転じ、昭和13(1938)年帰郷。昭和15(1940)年、第6回「文芸汎論詩集賞」受賞。詩集に『田舎の食卓』(昭14)『生れた家』(昭15)『昔の歌』(昭21)『晩夏』(昭24)『児童詩集』(昭30)『笛を吹くひと』(昭33)、句集に『遠雷』(昭和34)がある。同人詩誌『木靴』句誌『春雷』を主宰する。昭和40(1965)年8月4日逝去。絶筆は「長い不在」(『中國新聞』昭40・8・5)。

 
【関連】
第23回小野十三郎賞(詩集部門、詩評論書部門)きまる。 | 詩と小説 大阪文学学校
小野十三郎賞 | 詩と小説 大阪文学学校

 


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