「この暴力は、正義なのだろうか」増島拓哉さん「小説すばる新人賞」受賞第1作『トラッシュ』刊行 俳優・安藤政信さんが撮影した写真を装幀に使用
22歳の新進気鋭作家・増島拓哉さんの新作『トラッシュ』が、集英社より刊行されました。
集団自殺に失敗した6人の若者たちが「世直し」のためにドラッグ売人狩り・テロ・総理暗殺までを企てる衝撃の青春小説で、「小説すばる新人賞」受賞第一作となります。
装幀には俳優の安藤政信さんが撮影した、焦がした薔薇をモチーフにした写真作品を使用。安藤さんの写真が書籍の装幀に使用されるのは初となります。
『トラッシュ』について
【小説あらすじ】
いじめ、差別、虚無感、愛されない苦しみ、親との確執……それぞれの理由で集団自殺を試みた6人の若者達。しかし、闇サイトで入手した薬が偽物で、全員生き延びてしまう。
「一遍死んだんやから、もう怖いものはない」。自分たちを死の淵に追い込んだ「加害者」に対し、6人は犯罪も辞さない世直し活動を始める。
ドラッグ売人狩り、差別団体へのテロ、そして総理暗殺。その過激な行為で世間の賞賛と非難を浴びながら、6人の活動はエスカレートしていき……
誰が本当の屑(トラッシュ)なのか。雑誌連載時から賛否を巻き起こした問題作、ついに書籍化。
小説すばる新人賞受賞後第一作。
【増島拓哉さんコメント】
死ぬ気になれば、どんなことだって出来ただろうに。自殺者達に寄せられるこうした世間の声が、本作を執筆するきっかけとなりました。
装幀に使用された焦がした薔薇の写真は、美しくて儚くて恐ろしく、自殺に失敗して暴走しながら生きる道を選んだ主人公達に重なります。
死について考えたことがある方もない方も、主人公達に共感や反発、あるいは興味を抱きながら、ぜひ楽しんでお読みいただけますと幸いです。
安藤政信さんコメント
死生を常に感じ、戻らない時を写真にしています。
そこに美しさや愛、毒気をこめて。
本作の装幀に自分の作品を使っていただき、嬉しく思っています。
<安藤政信(あんどう・まさのぶ)さん プロフィール>
1975年生まれ。俳優、写真家。1996年、映画『キッズ・リターン』で主演を務め俳優デビューし、多数の映画賞を受賞。
主な映画出演作に『イノセントワールド』『スペーストラベラーズ』『バトル・ロワイアル』『サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS』『69 sixty nine』『亡国のイージス』『花の生涯 梅蘭芳』『刀見笑』『セデック・バレ』『るろうに剣心 最終章 The Beginning』などがある。
主なドラマ出演作に『聖者の行進』『青の時代』『コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命 3rd season』『神酒クリニックで乾杯を』『あなたの番です』『麒麟がくる』などがある。
俳優として活躍する一方で、近年は雑誌で撮影するほか、フォトフェア「ART PHOTO TOKYO」にて作品展示するなど写真家としても積極的に活動している。
著者プロフィール
著者の増島拓哉(ますじま・たくや)さんは、1999年生まれ。大阪府出身。関西学院大学在学中の2018年、『闇夜の底で踊れ』で第31回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。
本作が2作目となる。
トラッシュ 増島 拓哉 (著) 弱冠22歳の著者が問う「正義」と「暴力」。 |
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