本のページ

SINCE 1991

探偵小説家・小酒井不木『安死術』を愛知県蟹江町がショートムービー化 堤幸彦監督が協力

探偵小説家・小酒井不木『安死術』を愛知県蟹江町がショートムービー化

探偵小説家・小酒井不木『安死術』を愛知県蟹江町がショートムービー化

愛知県蟹江町ではシティプロモーションの一環として、町出身の探偵小説家・小酒井不木(こさかい・ふぼく/1890(明治23)年~1929年(昭和4)年)のミステリー作品「安死術」を原作としたショートムービーを制作しました。
これは昨年度制作した、同じく小酒井不木原作のショートムービー「死体蝋燭」に続く第2弾です。

 

愛知県蟹江町「小酒井不木」原作のショートムービー第2弾を堤幸彦監督の協力により制作

小酒井不木は蟹江町出身の医学者で、翻訳家、作家としても活躍し、江戸川乱歩、横溝正史らとも親交があり、多くの作品を世に残した日本探偵小説界の草分けといえる人物です。

38歳の若さで急逝したものの、大正から昭和初期のわずか5年あまりの間に140作以上もの作品を執筆し、高い評価を得ました。しかし死後90年が経ち、その作品の多くはすでに絶版となってしまい、一部がパブリックドメインとしてインターネット上で読める状況にすぎません。

しかし近年、名古屋での江戸川乱歩・旧居跡記念碑の設置などを機に「江戸川乱歩を見出した男」として再評価の動きが高まっています。

 
そこで蟹江町では、日本探偵小説黎明期の立役者でありながら100年の時代の波に埋もれつつある不木と、その作品群に今こそスポットを当て、顕彰するべく、映画化・絶版作品の現代語訳化など作品の再評価・発信を行っています。

今回は昨年好評を博した短編ミステリー「死体蝋燭」に引き続き、映画監督・堤幸彦さんの協力を得て、医学者でもあった不木ならではの作品「安死術」をショートムービーとして蘇らせました。

堤幸彦さん

堤幸彦さん

 
出演者には「名古屋おもてなし武将隊」で二代目豊臣秀吉を務めた菅沼翔也さんを始めとした実力派俳優陣と、前作に続き堤監督とも親交が深く、日本舞踊・五大流派の一つ「西川流」家元で、「名古屋をどり」でも有名な西川千雅さんが案内役として登場しています。

菅沼翔也さん

菅沼翔也さん

西川千雅さん

西川千雅さん

また今回は特別に堤監督ご自身も役者として出演している点も注目です。

 
本作は、原作より約30年後の蟹江町に舞台を設定し、そこにある小さな医院で展開される緊迫したストーリーになっています。

昭和30年ごろまでは「安死術」と呼ばれていた「安楽死」という現代的なテーマを中心に据え、医師としての信念と父としての思いの間で揺れ動く主人公の心の葛藤、人の弱さや運命の皮肉を描いた作品に仕上がっています。

 
今回の作品制作について蟹江町役場の担当者は「医学者でもあった不木は、その豊富な医学知識に基づいた作品を数多く残しました。また、ミステリー作品でありながら、人間の心理の本質を描く点も不木作品の特徴・魅力であり、今回はそれをいかに映像で表現できるかということにこだわりました。ミステリーのまち・蟹江町がお届けする渾身の一作をぜひともご覧いただきたいです。」とコメント。

およそ100年前に書かれたとは思えないテーマ設定と内容ですが、そのサスペンス感あふれる展開に息を飲み、衝撃のラストまで一気に見てしまう作品となっています。

 
★蟹江町HP:https://www.town.kanie.aichi.jp/soshiki/3/short-movie2.html

★「安死術」(本編約14分・Youtube):https://youtu.be/FN1W1ZgHXNs

★「安死術」(告知30秒・Youtube):https://youtu.be/uw4ZUOGfTS0

 

「安死術」のあらすじ

昭和初期、大学病院の内科に勤務していた医師・寺田は、終末医療についてある考えを持っていた。

郷里の蟹江町に帰郷し、小さな町医者として働きはじめた数年後、「名医」と評判になった彼を運命のいたずらが襲う…。

 

小酒井不木について

小酒井不木

小酒井不木

小酒井不木(こさかい・ふぼく)は、大正後期から昭和初期という日本の探偵小説黎明期に活躍した、まさに探偵小説家の草分けと言っていい人物です。

江戸川乱歩が世に出るのを後押しし、その乱歩から執筆を勧められ、それまでの海外ミステリーの翻訳・紹介から創作にも進出した不木は大正13(1924)年から昭和4(1929)年、38歳で夭折するまでのわずか5年間に、日本初のSF小説と言われる「人工心臓」など140を超える小説作品を世に送り出しました。しかしその数々の作品も現在、死後90年以上が経過してパブリックドメインとなっており、一部は青空文庫などで読めるものの、多くの作品は絶版・廃版となっています。

 
★小酒井不木の生涯(広報2020年3月号より抜粋):https://www.town.kanie.aichi.jp/img/pdf/koho_kanie_tokushu_2020_03.pdf

 

蟹江町「ショートムービー事業」について

小酒井不木が残した名作の数々は、およそ100年の長い年月を経た現代においても色褪せることはありません。しかし現在、彼の名を耳にすることは少なくなっています。

不木は多くの作品を残しただけでなく、日本の探偵小説の黎明期において、その分野を定着させるべくさまざまな活動をし、親交が深かった江戸川乱歩や「金田一耕助」シリーズを生んだ横溝正史に対してミステリー作家としての道を示した人物です。

 
彼らにも大きな影響を与え、推理探偵小説というジャンルを確立させた不木にスポットが当てられないのは、日本のミステリー界にとって大きな損失と思われます。

不木という名前の由来ともなった「初めは頭角を現さずに、後から頭角を現すのが本当の人間だ」という漢文の言葉のように、今こそ彼の作品たちを映像というかたちで現代に蘇らせ、その魅力を世間にPRしていこうという取り組みがこのショートムービー事業になります。

蟹江町では、昨年度の第1弾「死体蝋燭」、今回の第2弾「安死術」に続き、第3弾の制作も計画しています。

 

■「安死術」収録

小酒井不木大全 Kindle版
小酒井不木 (著)

小酒井不木は、一八九〇(明治二十三)年、』愛知県に生まれました。一九一一(明治四十四)年に、東京帝国大学医学部に入学します。一九一四年には、大学院に進み、生理学・血清学を専攻します。そして一九一七(大正六)年には、二十七歳にして東北帝国大学医学部の衛生学助教授に任じられました。この後、ロンドン、パリと留学しますが、健康を害し、一九二〇年に帰国します。以後、医学の研究のかたわら、探偵小説の翻訳を手がけ、日本の探偵推理小説の発展に大きな足跡を残しました。一九二九(昭和四)年、急性肺炎のため、三十九歳の若さで死去しました。
その人柄は、大変温厚で、横溝正史によれば、「うちになみなみならぬ闘志をひめていられたのだろうが、一見温厚そのものであった」という。また江戸川乱歩の「二銭銅貨」を激賞し、その後の乱歩の成功に道筋を付けた事でも知られています。

(この本について)
この本では、小酒井不木の推理小説、評論、随筆を青空文庫から収録してあります。

 
【関連】
小酒井不木原作のショートムービー第2弾「安死術」を制作しました(2020年) – 愛知県蟹江町公式ホームページ
小酒井不木の生涯(広報2020年3月号より抜粋)〔PDF〕

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です