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【第62回毎日芸術賞】作家・高樹のぶ子さん、歌人・水原紫苑さんらが受賞

「第62回(2020年度)毎日芸術賞」受賞者が決定!

「第62回(2020年度)毎日芸術賞」受賞者が決定!

毎日新聞社は1月1日、第62回(2020年度)毎日芸術賞の受賞者を発表しました。

 

「第62回(2020年度)毎日芸術賞」受賞者が決定!

第62回(2020年度)毎日芸術賞を作家・高樹のぶ子さん、歌人・水原紫苑さんらが受賞しました。

高樹のぶ子さんは、1946年生まれ。山口県出身。1980年「その細き道」で作家デビュー。1984年「光抱く友よ」で芥川賞、1994年『蔦燃』で島清恋愛文学賞、1995年『水脈』で女流文学賞、1999年『透光の樹』で谷崎潤一郎賞、2006年『HOKKAI』で芸術選奨文部科学大臣賞、2010年「トモスイ」で川端康成文学賞を受賞。芥川賞をはじめ多くの文学賞の選考委員を歴任。2017年、日本芸術院会員。2018年、文化功労者。

水原紫苑さんは、1959年生まれ。神奈川県横浜市出身。早稲田大学文学部仏文科卒業、同大学院文学研究科仏文学専攻修士課程修了。春日井建さんに師事。1990年『びあんか』で現代歌人協会賞、2005年『あかるたへ』で若山牧水賞および山本健吉文学賞、2018年『えぴすとれー』で紫式部文学賞を受賞するなど受賞歴多数。

 
なお、全受賞者は次の通りです。

 
<第62回(2020年度)毎日芸術賞 受賞者・受賞理由>

■高樹のぶ子(たかぎ・のぶこ)さん(作家)
「『小説伊勢物語 業平』(日本経済新聞出版)」

■水原紫苑(みずはら・しおん)さん(歌人)
「歌集『如何なる花束にも無き花を』(本阿弥書店)」

■青木淳(あおき・じゅん)さん、西澤徹夫(にしざわ・てつお)さん(いずれも建築家)
「京都市京セラ美術館の改修設計」

■鵜山仁(うやま・ひとし)さん(演出家)
「舞台「リチャード二世」(東京・新国立劇場)の演出とシェークスピア歴史劇シリーズ完結」

■鴻池朋子(こうのいけ・ともこ)さん(美術家)
「「鴻池朋子 ちゅうがえり」(東京・アーティゾン美術館)の展示」

 
【特別賞】
■TBS系ドラマ「半沢直樹」の制作者・出演者

 
※贈呈式は2月2日に東京都文京区のホテル椿山荘東京で開催されます。

 

毎日芸術賞について

毎日芸術賞は、毎日新聞社が主催する賞で、文学、演劇、音楽、美術、映画などに功績があった人に与えられます。信越化学工業株式会社が特別協賛。

 

小説伊勢物語 業平
髙樹 のぶ子 (著)

千年読み継がれてきた歌物語の沃野に分け入り、美麗な容貌と色好みで知られる在原業平の生涯を日本で初めて小説化。現代語訳ではなく小説に紡ぐことで、日本の美の源流が立ち現れた。これは文学史的な事件である!

歌物語の不朽の名作にして、「恋の教科書」ともいわれることもある「伊勢物語」。その主人公とされる在原業平の一代記を「伊勢」の百二十五章段の和歌を物語の中に据えて大胆に周到に小説化。やまとことばに注目の集まった令和改元をはさみ日経新聞夕刊に連載された本作は、平安時代の古典に、千年かけて培われてきた日本人の情感、美意識を現代小説として吹き込み、活き活きとよみがえらせた傑作長編。連載時に小説に平安の都の風を吹き込んだ大野俊明氏の挿絵もカラーで16点収録。この作品を読んでから「伊勢物語」を読めば平安の「みやび」を五感で味わうことができるだろう。

【著者「あとがき」より抜粋】
古典との関わり方として、私は現代語訳ではなく小説化で人物を蘇らせたいと思ってきました。千年昔には身体感覚において、どこかが違う人間が生きていて、私たちは、現代にも通じる部分においてのみ、かの時代の人間を理解しているのではないか。この疑問は、書くことに矛盾をもたらし、文体を模索させました。平安の雅を可能なかぎり取り込み、歌を小説の中に据えていくために編み出したのが、この文体です。味わい読んでいただければ、在原業平という男の色香や、日本の美が確立した時代の風が、御身に染みこんでいくものと信じます。

如何なる花束にも無き花を
水原紫苑 (著)

第十歌集。二〇一七年九月から二〇二〇年五月までの四七二首。

 
【関連】
社告:第622回毎日芸術賞 – 毎日新聞

 


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