【紀伊國屋じんぶん大賞2021】読者と選ぶ人文書ベスト30を発表! 1位はデヴィッド・グレーバーさん『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』
紀伊國屋書店は12月25日、「紀伊國屋じんぶん大賞2021 読者と選ぶ人文書ベスト30」を発表しました。
「紀伊國屋じんぶん大賞2021 読者と選ぶ人文書ベスト30」〔敬称略〕
1位:『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』(デヴィッド・グレーバー/岩波書店)
2位:『人新世の「資本論」』(斎藤幸平/集英社)
3位:『独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』(読書猿/ダイヤモンド社)
4位:『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』(熊代亨/イースト・プレス)
5位:『世界は贈与でできている――資本主義の「すきま」を埋める倫理学』(近内悠太/ニューズピックス)
6位:『椿井文書――日本最大級の偽文書』(馬部隆弘/中央公論新社)
7位:『レイシズム』(ルース・ベネディクト/講談社)
8位:『統計学を哲学する』(大塚淳/名古屋大学出版会)
9位:『新写真論――スマホと顔』(大山顕/ゲンロン)
10位:『人類堆肥化計画』(東千茅/創元社)
11位:『海をあげる』(上間陽子/筑摩書房)
12位:『縁食論――孤食と共食のあいだ』(藤原辰史/ミシマ社)
13位:『10代から知っておきたい あなたを閉じこめる「ずるい言葉」』(森山至貴/WAVE出版)
14位:『荷を引く獣たち――動物の解放と障害者の解放』(スナウラ・テイラー/洛北出版)
15位:『「世界文学」はつくられる 1827-2020』(秋草俊一郎/東京大学出版会)
16位:『現実性の問題』(入不二基義/筑摩書房)
17位:『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』(末永幸歩/ダイヤモンド社)
18位:『日本経済学新論――渋沢栄一から下村治まで』(中野剛志/筑摩書房)
19位:『それを、真の名で呼ぶならば――危機の時代と言葉の力』(レベッカ・ソルニット/岩波書店)
20位:『詳注アリス 完全決定版』(マーティン・ガードナー/ルイス・キャロル/亜紀書房)
21位:『地元を生きる――沖縄的共同性の社会学』(岸政彦・打越正行・上原健太郎・上間陽子/ナカニシヤ出版)
22位:『あいたくて ききたくて 旅にでる』(小野和子/PUMP QUAKES)
23位:『共和国と豚』(ピエール・ビルンボーム/吉田書店)
24位:『〈わたしたち〉の到来――英語圏モダニズムにおける歴史叙述とマニフェスト』(中井亜佐子/月曜社)
25位:『誰かの理想を生きられはしない――とり残された者のためのトランスジェンダー史』(吉野靫/青土社)
26位:『手の倫理』(伊藤亜紗/講談社)
27位:『民主主義の非西洋起源について――「あいだ」の空間の民主主義』(デヴィッド・グレーバー/以文社)
28位:『ハンズ――手の精神史』(ダリアン・リーダー/左右社)
29位:『日本習合論』(内田樹/ミシマ社)
30位:『たのしい知識――ぼくらの天皇(憲法)・汝の隣人・コロナの時代』(高橋源一郎/朝日新聞出版)
紀伊國屋じんぶん大賞について
紀伊國屋じんぶん大賞は、紀伊國屋書店が「読者の皆さまと共に優れた人文書を紹介し、魅力ある『書店空間』を作っていきたい」との思いから立ち上げ、今年で第11回目となります。
2019年12月~2020年11月に刊行された人文書を対象とし、一般読者の方々からのアンケートを元に、出版社、紀伊國屋書店社員による推薦を加味して事務局にて集計し、ベスト30を選定。
なお、当企画における「人文書」は、「哲学・思想、心理、宗教、歴史、社会、教育学、批評・評論」のジャンルに該当する書籍(文庫・新書も可)と定義されています。
「紀伊國屋じんぶん大賞2021フェア」を開催!
紀伊國屋書店では、2021年2月1日(月)より「紀伊國屋じんぶん大賞2021フェア」を開催予定です。
選考委員および読者からの推薦コメントを掲載した小冊子を店頭および電子書籍配信サービスKinoppyにて配布します。詳細は各店舗にお問い合わせください。
ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論 デヴィッド・グレーバー (著), 酒井 隆史 (翻訳), 芳賀 達彦 (翻訳), 森田 和樹 (翻訳) やりがいを感じないまま働く。ムダで無意味な仕事が増えていく。人の役に立つ仕事だけど給料が低い――それはすべてブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)のせいだった! 職場にひそむ精神的暴力や封建制・労働信仰を分析し、ブルシット・ジョブ蔓延のメカニズムを解明。仕事の「価値」を再考し、週一五時間労働の道筋をつける。『負債論』の著者による解放の書。 ■推薦コメント 「クソどうでもいい仕事」は実在する。どころか、4割くらいの人が自分の仕事がそうであると知りながらそれに従事している。なのに誰もそれを「クソどうでもいい」と言えずにいた。が、それも本書が出るまでの話だ。現代社会最大のタブーは晒された。「クソどうでもいい仕事」はあなたの錯覚ではないし、誰がどれだけ言い繕おうとそこに意義はない。だから大手を振って中指を立ててやろう。こんな痛快な本はまたとない。何もせず威張ってるだけの上司や同僚のまぬけづらを思い浮かべて、大爆笑しながら読もう。 ムダで無意味だと思いながらも、働いているふりを強いるブルシット・ジョブ。本書のエピソードの数々に誰もが共感を覚えるはずだ。でも「辞めてやる! 」とは言えない。他に選択肢はないと思い込んでいる。それが個人や社会を蝕んできた。なぜこうなってしまったのか? これは「働き方」の問題ではない。グレーバーは、そこに何重にも絡まる歴史的な政治・経済・宗教の問いを解き明かしてくれる。ケア労働が見直されている今だからこそ、ポスト・コロナの世界を考えるためにも。必読です。 かつて惑星の99%を勝手に味方につけたグレーバーは、「勝ち組」ホワイトカラーの内心の苦しみをケアするこの著作で、改めて階級横断的な「人間」一般の秘密をわたしたちに伝えながら自由な未来を開こうとする。 ハッとさせられたのは、あらゆる労働は本質的にケアリングだ、という指摘である。橋を作る仕事だって、その根本にあるのは川を横断したい人へのケアだ。ケアは数値化できず、生産性には結びつかない。私たちがコロナ禍で学んだのは、このケアの部分こそ機械によって代替することができず、また休むことも許されないという事実だった。 「いかに会議の時間を短くするか」というお題の会議を長時間やったことがある。あれには意味があったらしい。会議がなくなると困っちゃう人たちの仕事を守っていたのだ。 ■「ブルシット・ジョブ」とは? ◇ブルシット・ジョブの主要5類型 |
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