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中山七里さん「単行本12か月連続刊行」フィナーレ!『境界線』刊行 『護られなかった者たちへ』につらなる“宮城県警シリーズ”第2弾

中山七里さん著『境界線』

中山七里さん著『境界線』

作家・中山七里さんの新作長編小説『境界線』が12月16日にNHK出版より刊行されました。
今年は中山さんにとって作家デビュー10周年の記念イヤーで、出版社を横断したキャンペーンとして「単行本12か月連続刊行」を実施中。本書はそのフィナーレを飾るにふさわしい、人間ドラマを描いた慟哭必至の物語です。

 

復興への祈りを込めたヒューマンミステリー

カバーに浮かび上がるのは、対極にある言葉を組み合わせた章タイトル。ここにも境界線が存在する(装幀:welle design)

カバーに浮かび上がるのは、対極にある言葉を組み合わせた章タイトル。ここにも境界線が存在する(装幀:welle design)

『境界線』は、『護られなかった者たちへ』(2018年刊)につらなる“宮城県警シリーズ”の2作目。2018年5月、宮城県警捜査一課の笘篠誠一郎刑事のもとに、東日本大震災による津波で行方不明だった妻・奈津美が遺体で発見されたこと、さらには遺体発見の前夜まで彼女は生きていたことを告げる一報から物語は始まります。

 
なぜ妻は自分のもとへ帰ってこなかったのか――その疑問を胸に発見現場へ急行する笘篠を待っていたのは意外な結果でした。部下の蓮田らとともに、この不可解な事件を探っていく笘篠に、再び謎が迫っていって……。“

 
”どんでん返しの帝王”の異名を持つ中山七里さんらしいミステリーとしての読みごたえはもちろん、一方で、前作と同様に人間ドラマを正面から向き合って描いた骨太の社会派小説として楽しめます。

 
<『境界線』あらすじ>

「7年前の東日本大震災による津波で行方不明中だった女性の遺体が発見された。名前は笘篠奈津美。彼女は前夜まで生きていて、自殺と見られる」

突然の妻の訃報を受けた宮城県警捜査一課警部・笘篠誠一郎は、さまざまな疑問と複雑な感情を胸に遺体が待つ現場へ急行する。しかしそこで目にしたのは、まったくの別人の遺体だった。なぜ妻の名前は騙られてしまったのか? 静かに怒りを燃やし、個人情報の流出経路と自殺した女性の身元を笘篠刑事は探っていくが果たして――。

 

誰にでも境界線がある――越えるか、踏みとどまるか

東日本大震災によって引かれてしまった運命の“境界線”と、それに翻弄される人々の人生の岐路。果たして、選択した人生の先に待ち受ける未来とはどのようなものなのか――。

 
いつ、どこで、誰しもが直面しうる“境界線”。中山さんは「越えるか、踏みとどまるかの違いで大きく変わってくる」と言います。

2021年3月で東日本大震災からまる10年を迎えるにあたり、「建物や街並みだけではなく、物書きとして心や人間関係も含めた復興への祈りを込めました」と中山さんが思いを託した『境界線』。事前にプルーフを読んだ書店員の方々からは、熱のこもった声が寄せられています。

 
「生きるために名前を捨てなければならない者。愛する人の死を受け入れられずにいる者。心を押し流された者。ギリギリの所に立っている彼らと、私たち読者の境界線はそれほど深くないのかもしれない。」
(ジュンク堂書店池袋本店・市川真意さん)

「血の通った警察ミステリーだと思った。決して派手な登場人物など出てこないが、笘篠をはじめとても丁寧に描かれていて、姿が思い浮かんでくる。捜査を打ち切らず、警察組織の垣根を越え追い求めた刑事、環境に流され思いとどまれず犯罪の道へ進んだ者、人生の境界線の両側で運命が変わってしまった。」
(ジュンク堂書店三宮店・三瓶ひとみさん)

「突然の悲劇に直面した時に自分を律し続けることは本当に難しく、きっと誰しも何かが変わってしまうと思います。でもその時に闇への境界線を越えず、踏みとどまる勇気と努力を続けることが人を強く生きる道が開けるのではないかと作品を通して考えさせていただきました!!!」
(紀伊國屋書店福岡本店・宗岡敦子さん)

 

映画『護られなかった者たちへ』について

気迫あふれる映画の1シーンを切り取ったビジュアルが初お目見え

気迫あふれる映画の1シーンを切り取ったビジュアルが初お目見え

今年3月28日の映画化決定の第一報後、公開への期待の声がネットを中心に沸き立った映画『護られなかった者たちへ』。

今回の続報では、2021年秋に公開が決まり、劇中の音楽を『思い出のマーニー』などで知られる村松崇継さんが手がけることが発表されました。

 
さらに、主演を務める利根役の佐藤健さんと彼を追う笘篠刑事役の阿部寛さんの、臨場感と情感があふれる映画ビジュアルも初公開されました。

 
<『護られなかった者たちへ』あらすじ>

仙台市の福祉保健事務所の課長が、手足や口の自由を奪われた状態の餓死死体で発見された。被害者は公私ともに人格者として知られ怨恨が理由とは考えにくい。一方、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げる。

それから遡ること数日、一人の模範囚が出所していた。男は過去に起きたある出来事の関係者を追っている。男の目的は何か。 果たして、この物語の誰が加害者で、誰が被害者なのか──。

 

著者プロフィール

写真=平岩 享

写真=平岩 享

著者の中山七里(なかやま・しちり)さんは、1961年生まれ。岐阜県出身。『さよならドビュッシー』にて第8回「このミステリーがすごい!」大賞で大賞を受賞し、2010年に作家デビュー。

著書に『護られなかった者たちへ』『総理にされた男』『連続殺人鬼カエル男』『贖罪の奏鳴曲』『騒がしい楽園』『帝都地下迷宮』『夜がどれほど暗くても』『合唱 岬洋介の帰還』『カインの傲慢』『ヒポクラテスの試練』『毒島刑事最後の事件』『テロリストの家』『隣はシリアルキラー』『銀鈴探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『復讐の協奏曲』ほか多数。

★中山七里さん10周年公式Twitter(@10thShichiri):https://twitter.com/10thshichiri

 

境界線
中山 七里 (著)

主演・佐藤健、共演に阿部寛、清原果耶、林遣都、吉岡秀隆、倍賞美津子らで映画化が決定した『護られなかった者たちへ』に続く、「宮城県警シリーズ」第2弾!

「誰にでも境界線がある。
越えるか、踏みとどまるか」
中山七里

2018年刊行の『護られなかった者たちへ』と同じく宮城県警捜査一課を舞台に、東日本大震災による行方不明者と個人情報ビジネスという復興の闇を照らし出していく。震災によって引かれてしまった“境界線”に翻弄される人々の行く末は、果たして。「どんでん返しの帝王」・中山七里が挑む、慟哭必至の骨太の社会派ヒューマンミステリー小説。

《あらすじ》
2018年5月某日、気仙沼市南町の海岸で、女性の変死体が発見された。女性の遺留品の身分証から、遺体は宮城県警捜査一課警部・笘篠誠一郎の妻だったことがわかる。笘篠の妻は7年前の東日本大震災で津波によって流され、行方不明のままだった。遺体の様子から、妻と思われる女性はその前夜まで生きていたという。なぜ妻は自分のもとへ戻ってこなかったのか――笘篠はさまざまな疑問を胸に身元確認のため現場へ急行するが、そこで目にしたのはまったくの別人の遺体だった。
妻の身元が騙られ、身元が誰かの手によって流出していた……やり場のない怒りを抱えながら捜査を続ける笘篠。その経緯をたどり続けるもなかなか進展がない。そのような中、宮城県警に新たな他殺体発見の一報が入る。果たしてこのふたつの事件の関連性はあるのか? そして、笘篠の妻の身元はなぜ騙られたのか――。

■「宮城県警シリーズ」第1弾

護られなかった者たちへ
中山 七里 (著)

佐藤 健〔主演〕阿部 寛/清原果耶/吉岡秀隆/倍賞美津子/林 遣都ほか
監督:瀬々敬久脚本:林 民夫企画:アミューズ配給:松竹

「あなたにこの物語の犯人はわからない」―― 中山七里

仙台市の保健福祉事務所課長・三雲忠勝が、手足や口の自由を奪われた状態の餓死死体で発見された。
三雲は公私ともに人格者として知られ怨恨が理由とは考えにくい。
一方、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げる。
三雲の死体発見から遡ること数日、一人の模範囚が出所していた。
男は過去に起きたある出来事の関係者を追っている。男の目的は何か。
なぜ、三雲はこんな無残な殺され方をしたのか。 誰が被害者で、誰が加害者なのか──。
怒り、哀しみ、憤り、葛藤、正義……
この国の制度に翻弄される当事者たちの感情がぶつかり合い、読者の胸を打つ!

第三の被害者は誰なのか
殺害された彼らの接点とは
第三の被害者は
本当に“護られるべき者”とは誰なのか

“どんでん返しの帝王”中山七里が、日本の社会福祉制度の限界に挑んだ問題作!

 
【関連】
映画『護られなかった者たちへ』公式サイト

 


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