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【第24回本格ミステリ大賞】青崎有吾さん『地雷グリコ』と川出正樹さん『ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 戦後翻訳ミステリ叢書探訪』が受賞

本格ミステリ作家クラブは5月10日、第24回本格ミステリ大賞の受賞作を発表しました。

 

第24回本格ミステリ大賞が決定!

第24回本格ミステリ大賞は5月10日、本格ミステリ作家クラブ会員の投票結果の開票式を開催し、次の通り受賞作が決定しました。

 
【小説部門】
青崎有吾(あおさき・ゆうご)さん
『地雷グリコ』(KADOKAWA)

 
【評論・研究部門】
川出正樹(かわで・まさき)さん
『ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 戦後翻訳ミステリ叢書探訪』
(東京創元社)

 
小説部門を受賞した『地雷グリコ』は、2023年11月に刊行された、「平成のエラリー・クイーン」と称されてきたミステリ作家・青崎有吾さんの新境地といえる作品。勝負ごとに強い女子高生が、ちょっと変わったゲームに巻き込まれては、「騙しと理詰め」で敵を倒し続ける頭脳バトル小説です。

評論・研究部門を受賞した『ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 戦後翻訳ミステリ叢書探訪』は、2023年12月に刊行された、翻訳ミステリの解説・書評で活躍する川出正樹さん初の単著。翻訳ミステリのブックガイドであり、戦後から現代に至る翻訳ミステリ叢書の研究であり、果ては戦後日本における翻訳ミステリの受容史を概観する画期的な大著です。同書は、現在選考中の第77回日本推理作家協会賞〈評論・研究部門〉にもノミネートされています。

 
「第24回本格ミステリ大賞」の全選評は、『紙魚の手帖 vol.17』に掲載されます。贈呈式は6月22日(土)に神保町出版クラブで執り行われます。また、本格ミステリ大賞決定記念イベントは6月23日(日)に銀座教文館で開催される予定です。

 
なお、各部門の候補作は以下の各5作品でした。

〔小説部門〕
『地雷グリコ』(青崎有吾さん/KADOKAWA)
『エレファントヘッド』(白井智之さん/KADOKAWA)
『涜神館殺人事件』(手代木正太郎さん/星海社)
『アミュレット・ホテル』方丈貴恵(光文社)
『可燃物』(米澤穂信さん/文藝春秋)

〔評論・研究部門〕
『密室ミステリガイド』飯城勇三(星海社)……5票
『ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 戦後翻訳ミステリ叢書探訪』川出正樹(東京創元社)……9票
『現代ミステリとは何か 二〇一〇年代の探偵作家たち』限界研・編(南雲堂)……3票
『ミステリ映像の最前線 原作と映像の交叉光線』千街晶之(書肆侃侃房)……4票
『妄想アンソロジー式ミステリガイド』探偵小説研究会・編(書肆侃侃房)……1票

 
https://twitter.com/honkakumystery/status/1788765906631537058

 
〈青崎有吾さんの受賞の報を受けての喜びのコメント〉

自分の好きなものを詰め込んだ作品で、自分の愛するジャンルの名を冠した賞を賜るというのは、とても貴重なことであり、普通以上の嬉しさを感じています。

この本に登場する「グリコ」は階段を使ったゲームの名称であり、実在する企業との関係は一切ありませんが、両手と片足を上げ、笑顔を作って喜びたいと思います。

 

本格ミステリ大賞について

本格ミステリ大賞は、本格ミステリ作家クラブが主催する推理小説を対象とした文学賞です。

”本格ミステリ”の発展を目的とし、年間の最優秀作品を表彰します。小説部門と評論・研究部門の2部門に分け、候補作を全て読んだ本格ミステリ作家クラブ会員の投票によって決定します。

 

地雷グリコ
青崎 有吾 (著)

ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説!

射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。
平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。

ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション: 戦後翻訳ミステリ叢書探訪 (キイ・ライブラリー)
川出 正樹 (著)

叢書という宇宙を探索する。
戦後から現代に至る翻訳ミステリ叢書とその受容史を概観する画期的大著。
付録 戦後翻訳ミステリ叢書・全集一覧

卓抜した編纂のもと選び抜かれたラインナップと、現代性を反映したブック・デザイン――日本の翻訳ミステリ叢書は、戦後国内で勃興したミステリ・ブームの一翼を担った。植草甚一の編纂と花森安治の装釘による【クライム・クラブ】や瀬戸川猛資の編纂による【シリーズ 百年の物語】など、綺羅星のごとき光芒を残す数多の叢書は、日本推理小説史にどのような光跡を描いたか。書斎の迷宮に眠る叢書という小宇宙が、著者独自の調査を経てここに全貌をあらわす。翻訳ミステリのブックガイドであり、戦後から現代に至る翻訳ミステリ叢書の研究であり、果ては戦後日本における翻訳ミステリの受容史を概観する画期的大著。

装幀:クラフト・エヴィング商會[吉田篤弘・吉田浩美]

 
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本格ミステリ作家クラブ

 


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