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受賞作だけが名作じゃない!春陽堂書店が芥川賞「候補」傑作選を刊行開始 第1弾は太宰治、織田作之助、中島敦など「戦前・戦中編」

【装丁】寄藤文平(文平銀座)

【装丁】寄藤文平(文平銀座)

春陽堂書店は4月、これまで芥川龍之介賞の候補になった作品の中から傑作を厳選してまとめた『芥川賞候補傑作選』の刊行を開始しました。

 

芥川賞候補になった作品の中から、惜しくも賞を逃した名作・問題作・異色作・意欲作を収録!

『芥川賞候補傑作選』の第1巻は、賞の創設された1935年から、戦時下での最後の回となった1944年までの候補作から、14作品を精選。

太宰治、織田作之助、中島敦などいまも読まれている作家から、一瀬直行、村田孝太郎、埴原一亟といった知られざる作家まで、惜しくも賞を逃した名作・問題作・異色作・意欲作を掘り起こし、珠玉の14作品を精選。様々な文学の形が体験できる一冊となっています。

 
編者は読売新聞の書評面デスクを経て、現在は同紙編集委員をつとめる鵜飼哲夫さん。
芥川賞についての著書もある鵜飼さんによって、「今日では入手が難しい候補作の中から、未知の世界へ冒険に飛び出した新人の清新な短編」が選ばれました。また、何よりも「いま読んでも面白い」作品が選ばれています。

 
太宰治、織田作之助の作品は芥川賞の選考の際に読まれた雑誌初出時のものです。他にも、村田孝太郎など、戦後は書籍が刊行されておらず、現在では読むことすら難しくなっていた作品も掲載されています。

また、該当作品に対する選考委員の選評も抜粋して掲載することで、当時、どのように評価され、また何が理由で受賞に至らなかったのかも知ることができます。

 
なお、本シリーズは、2021年にかけて平成編、昭和編の刊行も予定されています。

 

『芥川賞候補傑作選 戦前・戦中編』掲載作品

【掲載作品】
◎太宰治「逆行」(第1回候補)[初出ver]
◎宮内寒彌「中央高地」(第2回候補)
◎矢田津世子「神楽坂」(第3回候補)
◎伊藤永之介「梟」(第4回候補)
◎中谷孝雄「春の絵巻」(第6回候補)
◎中村地平「南方郵信」(第7回候補)
◎一瀬直行「隣家の人々」(第7回候補)
◎織田作之助「俗臭」(第10回候補)[初出ver]
◎木山捷平「河骨」(第11回候補)
◎元木国雄「分教場の冬」(第11回候補)
◎牛島春子「祝という男」(第12回候補)
◎村田孝太郎「鶏」(第12回候補)
◎埴原一亟「下職人」(第13回候補)
◎中島敦「文字禍」(第15回参考作品)

 

『芥川賞候補傑作選』全5巻(仮) 今後の予定

■2020年7月末刊行予定
『芥川賞候補傑作選 平成編』(仮)

■2020年9月刊行予定
『芥川賞候補傑作選 昭和編1』(仮)

■2020年11月刊行予定
『芥川賞候補傑作選 昭和編2』(仮)

■2021年1月刊行予定
『芥川賞候補傑作選 昭和編3』(仮)

 

編者プロフィール

編者の鵜飼哲夫(うかい・てつお)さんは、1959年、名古屋市生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。1983年、読売新聞社に入社。1991年から文化部記者として文芸を主に担当する。書評面デスクを経て、2013年から編集委員。

主な著書に、『芥川賞の謎を解く 全選評完全読破』(文春新書/2015年)、『三つの空白 太宰治の誕生』(白水社/2018年)がある。

 

芥川賞候補傑作選 戦前・戦中編(1935-1944)
太宰 治 (著), 宮内 寒彌 (著), 矢田 津世子 (著), 伊藤 永之介 (著), 中谷 孝雄 (著), 中村 地平 (著), 一瀬 直行 (著), 織田 作之助 (著), 木山 捷平 (著), 元木 国雄 (著), 牛島 春子 (著), 村田 孝太郎 (著), 埴原 一亟 (著), 中島 敦 (著), 鵜飼 哲夫 (編集)

芥川賞は、当時の新人作家による優れた作品集だった。戦前・戦中の芥川賞候補作から「いま読んでも面白い作品」を全14篇掲載。雑誌掲載時の太宰治「逆行」、戦後、作品が一度も書籍化されたことのない村田孝太郎など、読むことすら難しかった幻の作品も収める。

 


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