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【渋沢・クローデル賞】渡辺優さんが受賞 奨励賞に宮下雄一郎さん

第34回(2017年度)渋沢・クローデル賞の受賞作が、渡辺優さんの『ジャン=ジョゼフ・スュラン― 一七世紀フランス神秘主義の光芒』(慶應義塾大学出版会)に決定しました。

また、奨励賞を宮下雄一郎さんの『フランス再興と国際秩序の構想―第二次世界大戦期の政治と外交』(勁草書房)が受賞しました。

 
なお、表彰式は7月7日、東京・恵比寿の日仏会館にて開催されます。

 

渋沢・クローデル賞とは

公益財団法人日仏会館が1984年に創立60周年を迎えたのを機に、創立者である渋沢栄一とポール・クローデルの二人を記念して、同会館と毎日新聞社との共催で、渋沢・クローデル賞が創設されました。これは日仏両国において、それぞれ相手国の文化に関してなされたすぐれた研究成果に対して贈られます。なお、2008年度より、読売新聞社が毎日新聞社に代わり共催に加わっています。在日フランス大使館が後援、渋沢栄一記念財団、帝京大学が協賛。

両国でそれぞれ1名が受賞し、受賞者には日本・フランス間往復航空券と、相手国での一ヶ月間の滞在費が贈呈されます。

 

受賞者 プロフィール

渡辺優(わたなべ・ゆう)さんは、1981年静岡県生まれ。天理大学人間学部宗教学科講師。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。2011~2013年まで、フランス政府給費留学生としてパリ・イエズス会神学部、社会科学高等研究院に留学。2014年4月より現職。

専門は宗教学、とくに近世西欧神秘主義研究、現代神学・教学研究。訳書に『キリスト教の歴史――現代をよりよく理解するために』(共訳/藤原書店)があります。

ちなみに、小説家の渡辺優さんとは別人です(念のため)。

 
宮下雄一郎(みやした・ゆういちろう)さんは、1977年生まれ。 慶應義塾大学法学部政治学科卒業。 同大学大学院法学研究科より博士(法学)を取得。2012年、パリ政治学院大学院歴史学研究所修了。日本学術振興会特別研究員、北海道大学高等法政教育研究センター協力研究員などを経て、現在は松山大学法学部准教授。

専門は国際関係史、ヨーロッパ統合論、フランス外交史。著書に、『ヨーロッパ統合とフランス――偉大さを求めた1世紀』(共著/法律文化社)、『複数のヨーロッパ――欧州統合史のフロンティア』(共著/北海道大学出版会)などがあります。

 

ジャン=ジョゼフ・スュラン:一七世紀フランス神秘主義の光芒
▼現前の体験を超え、赤裸な信仰へ
▼これまでの神秘主義理解を刷新する力作!

本書の主人公イエズス会士ジャン=ジョゼフ・スュラン(Jean-Joseph Surin, 1600-1665)は、祓魔師(エクソシスト)として派遣された〈ルダンの悪魔憑き事件〉において悪魔に憑かれた神父として知られる。彼は、この事件を発端に、15年以上にも及ぶ心身の危機的状況を通じて、その身に数々の超常の体験を被った。
それは、近代以降の神秘主義理解において、まさに神秘主義の究極目的とされてきた〈神の現前〉への直接参与を可能にした、特権的な〈現前の体験〉であった。
しかし、ついにこの魂の暗夜を潜り抜け、絶望の深淵から生還したスュランは、晩年、出生地ボルドー近郊の農村地帯を中心に、宣教と司牧活動に奔走することとなる。
市井のキリスト教信徒たちと過ごすなか、彼がその波乱に満ちた人生の果てに辿り着いたのは、すべてのキリスト教信徒に共通の、すなわち一切の超常の体験を拭い去った、純粋な信仰(foi pure)、赤裸な信仰(foi nue)の境地であった。

本書では、キリスト教霊性の黄金時代と目される17世紀フランスのなかでも、最大の神秘家として近年注目を集めるスュランのテクストを、「語りえぬもの」をそれでもなお語ろうとした神秘家の言葉として、あるいは「信への呼びかけ」を発する「証言」として、リクールやレヴィナス、セルトーなど、現代思想の知見にも学びつつ、精緻かつ大胆に読み解く。

また、デカルトやパスカルが輩出した17世紀フランスに「経験の学知」として登場した神秘主義(ラ・ミスティク)の展開を、大航海時代や科学革命がもたらした信と知の地殻変動にも照らし合わせ、転換期西欧に固有の歴史的現象としてダイナミックに捉える。

同時代における十字架のヨハネの影響や、世紀末のキエティスム論争をめぐっても、
新たな宗教史的発見が説得的に提示される。

中世と近代のはざまの時代を駆け抜けたスュランという神秘家の、劇的な魂の道程を
たどりなおすことで、従来の神秘主義理解を刷新し、宗教哲学・思想研究の水準を一段押し上げる野心的論考。

 
フランス再興と国際秩序の構想: 第二次世界大戦期の政治と外交
1940年、かつての栄光ある国家はヒトラーに侵略された。本書は、ド・ゴールが立ち上げた抵抗運動の自由フランスが国際社会と国内で正統性を獲得し、戦後国際秩序を構想して戦勝国の一角を占めるまでを実証的に活写する。国家の正統性とは? 危機の時代の指導者とは? そこには、国際政治の本質への示唆が満ち溢れている。

 
【関連】
渋沢・クローデル賞 – 日仏会館

 


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