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超短編作家・エトガル・ケレットさんが10月来日!最新刊『銀河の果ての落とし穴』刊行&映画祭などイベント多数開催!

エトガル・ケレットさん著『銀河の果ての落とし穴』(河出書房新社)

エトガル・ケレットさん著『銀河の果ての落とし穴』(河出書房新社)

世界40カ国以上で愛読される人気の超短編作家・エトガル・ケレットさんの最新刊『銀河の果ての落とし穴』が河出書房新社より刊行されました。

本書は、ウサギを父親と信じる子供、レアキャラ獲得のため戦地に赴く若者、ヒトラーのクローン……奇想とどんでん返し、笑いと悲劇が紙一重の掌篇集で、イスラエルで最も名誉ある文学賞「サピール賞」受賞作です。。

本書発売に合わせ、2019年10月11日~10月22日、甲南大学 KONANプレミア・プロジェクトによりエトガル・ケレットさんと妻・シーラ・ゲフェンさん(映画監督、脚本家、女優)の来日も決定。
お二人の来日に合わせて、ふたりの作品を上映する映画祭(東京・京都・神戸)や本書刊行記念イベントをはじめ、様々なテーマでのトークイベント(東京・京都・神戸)も開催されます。
※詳細は「エトガル・ケレット&シーラ・ゲフェン2019来日サイト」(http://etgar-shira-jp.mystrikingly.com/)をご確認ください。

また、10月下旬にはケレットさんの代表作である『クネレルのサマーキャンプ』を原作とした傑作グラフィックノベル『ピッツェリア・カミカゼ』も発売されます。

 

『銀河の果ての落とし穴』について(「エトガル・ケレット&シーラ・ゲフェン2019来日サイト」より一部抜粋)

 
■広岡杏子さん(最新刊『銀河の果ての落とし穴』訳者)

「ケレットの新刊『銀河の果ての落とし穴』。約二十二篇からなる短篇集は、妻と子供に逃げられてサーカス団の人間大砲になる男の話からはじまる。サーカス団の団長から「人間大砲になるためには、孤独でみじめであればいい」と言われた男は、大砲から放たれて、空高く飛んでいく。物語というより詩のような最後の話では、人類の進化と人間の一生が重なって、ふと気がつくと一人ぼっちになっていた「ぼく」だけが残され、幕が閉じる。こんなふうにケレットは、スタート地点で読者を孤独にして放り出し、最後にもう一度ひとりぼっちにする。途中で出会うのは、飛び降り自殺をしようとしている男、ウサギになったパパ、「ピトモンGO」のレアキャラをゲットしに戦場へ向かう若者、ヒトラーのクローン、物乞い検索アプリを開発する主婦、泥臭い地上に帰りたいと望む天使……。ユーモアをエンジンにぐんぐん船を進めるような話もあれば、暴走する船の様子を淡々と語ることで一層不気味さが増すような話もある。孤独を引き受けた後に待っているのは、人生を味わい尽くすめくるめく旅だ。ケレットは本書で、そんな地図を手渡してくれる。」

 
■母袋夏生さん(『突然ノックの音が』『クネレルのサマー・キャンプ』訳者)

「イスラエル人は、どちらかというと、ダメ元の突貫精神に富んでいるせいか強引な感じを抱かせがちですが、エトガルは真反対です。気配りいっぱいで、「空気を読んで」言いたいことも引っ込めそうな気配さえ漂わせます。繊細でサービス精神満点です。にもかかわらず、伝えたいこと、伝えるべきことは、空気みたいに相手に届きます。作品や政治エッセイやジョークやおどけた風情に乗せて。そのための工夫を怠りません。世界各国を飛びまわり、朗読会に出て経験値が増すほどに、工夫が凝らされ、趣向も卓抜になっているようです。ふざけて見せるのは照れ隠しかもしれません。テルアビブの浜辺でも、わたしが写真を撮らなくちゃ、というとすぐにふざけました。愛すべき「人たらし」です。」

 
■藤井光さん(アメリカ文学研究者兼翻訳者・大学教師)

「エトガル・ケレットの書くものは、人に対する愛おしさをたたえた同じ肌触りを持っている。エッセイでも創作でも、それがまったく揺らがないのは、ある意味では謎めいているとすら思える。でも、エッセイが切り取ってくる「現実」と、創作という「虚構」とを区別すること自体がそもそもまちがっていて、その二つは「人生」という名の自転車を動かす車輪のようなものなのかもしれない。
いや、ケレットには映画という大事な表現手段もあるのだから、そうなると三輪車か。いやいや、彼には短編のように五分でオチにたどりつく小話という技もあるらしいから、四輪、ということは自動車か……
でも、僕にとってのケレットは、圧倒的に自転車が似合う。「表現」という自転車にまたがってペダルを漕ぐ作家は、まわりの天気を肌で感じ、出会う人たちと言葉を交わしながら、すいすいと動いていく。からっとした晴天で汗をかいていても、突然の雨でびしょびしょになっていても、作家の顔から笑みが消えることはない。
そうして次々と目の前に現れる風景に、ケレットは輝きを与えてくれる。それを読者として目の当たりにしていると、自分も自転車にまたがって出発したいという気持ちが湧き上がってくる。そんな幸福な瞬間が、どれほどあるだろう。」

 

『銀河の果ての落とし穴』刊行記念トークイベント「エトガル・ケレット、大いに語る──現実の裏にあるシュールな真実」開催!

■日時:10月13日(日)15:00~(サイン会あり/18時頃終了予定)

■場所:紀伊國屋書店 新宿本店

■出演:エトガル・ケレットさん(作家)×倉本さおりさん(書評家・ライター)

★申し込み方法・詳細:紀伊國屋書店ホームページ(https://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Shinjuku-Main-Store/20190919100020.html

 

エトガル・ケレットさん プロフィール

著者のエトガル・ケレットさんは、1967年イスラエル生まれ。両親はホロコースト体験者。

小説に『突然ノックの音が』『クネレルのサマーキャンプ』、エッセイ集に『あの素晴らしき七年』。映画『ジェリー・フィッシュ』でカンヌ国際映画祭新人監督賞を受賞。

10月下旬に新刊『ピッツェリア・カミカゼ』(絵:アサフ・ハヌカさん/訳:母袋夏生さん/河出書房新社)が刊行予定。

★公式サイト:http://www.etgarkeret.com

 

銀河の果ての落とし穴
エトガル・ケレット (著), 広岡杏子 (翻訳)

奇想とリアル、笑いとシュールが紙一重のケレットワールド。ウサギになったパパ、サーカスの人間大砲、戦場に現れるピトモンGOキャラ、脱出ゲーム「銀河の果ての落とし穴」…語りの名手の最新短篇集。

 
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