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【訃報】日本近代文学研究者・十川信介さんが死去 学習院大学名誉教授・日本近代文学館顧問

日本近代文学研究者の十川信介(とがわ・しんすけ)さんが11月18日、血性心疾患のため東京都内の自宅で死去しました。81歳。北海道旭川市出身。告別式は近親者で行われました。

 
十川信介さんは、1936年生まれ。京都大学文学部を卒業、同大学院博士課程を満期退学。専門は日本近代文学。島崎藤村、二葉亭四迷、夏目漱石などの研究で知られ、1980年に刊行した『島崎藤村』で翌年、亀井勝一郎賞を受賞。

京都府立大学助教授、学習院大学教授、日本近代文学館副理事長などを歴任。学習院大学名誉教授。日本近代文学館顧問。

著書に『二葉亭四迷論』『中勘助「銀の匙」を読む』『夏目漱石』『藤村文明論集』『明治文学回想集』『漱石追想』など。

 

漱石追想 (岩波文庫)
「先生は相手の心の純不純をかなり鋭く直覚する。そうして相手の心を細かい隅々に亘って感得する」(和辻哲郎)。同級生、留学仲間、同僚、教え子、文学者や編集者、禅僧に担当医に芸者、ともに暮らした使用人や家族まで――同じ時間を過ごした49人が語る、記憶のなかの素顔の漱石。

 
中勘助『銀の匙』を読む (岩波現代文庫)
『銀の匙』が時代を超えて共感をもって読まれ続けるのはなぜなのか。この名品の文章に寄り添い、表現に織り込まれたメッセージを周到に抽きだしてその謎を解きほぐす。多くの図版資料を随所に収め、彫琢をきわめたこの作品の肌理と佇まいがおのずと浮かびあがる。読者を魅了してやまない勘助の美しい文学世界の息吹がみち溢れる一冊。

 


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