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【第三回須賀敦子翻訳賞】上村忠男さん訳『哲学とはなにか』(著:ジョルジョ・アガンベンさん)が受賞

イタリア文化会館は、イタリア語の著作の優れた日本語への翻訳に対して贈られる第三回須賀敦子翻訳賞の受賞作を発表しました。

 

第三回須賀敦子翻訳賞が決定!

第三回須賀敦子翻訳賞の選考会が10月25日にイタリア文化会館において開催され、次の通り受賞作が決定しました。

選考委員は、Silvio Vita(シルビオ・ヴィータ)さん、岡田温司さん、木村榮一さん、柴田元幸さん、和田忠彦さん(委員長)。

 
■第三回須賀敦子翻訳賞
上村忠男(うえむら・ただお)さん訳
『哲学とはなにか』(著:ジョルジョ・アガンベンさん/みすず書房)

 
受賞者の上村忠男さんは、1941年生まれ。兵庫県出身。1968年に東京大学大学院社会学研究科(国際関係論)修士課程修了。東京外国語大学で助教授、教授を歴任し、2005年に定年退職。現在は、東京外国語大学名誉教授。

 

須賀敦子翻訳賞について

須賀敦子翻訳賞は、1988年に創設され2007年に中断された「ピーコ・デッラ・ミランドラ賞」の後継として2014年に新設された文学賞です。

イタリア語の著作の優れた日本語への翻訳を評価、広く紹介することを目的とし、隔年で開催されています。

 

須賀敦子さんについて

須賀敦子さん(1929~1998)は、兵庫県生まれ。聖心女子大学卒業。1953年よりパリ、ローマに留学、その後ミラノに在住。多くの日本文学をイタリア語に訳して紹介する。

1971年帰国後、慶應義塾大学で文学博士号取得、上智大学比較文化学部教授を務める。1991年、『ミラノ 霧の風景』で講談社エッセイ賞、女流文学賞を受賞。

著書に『コルシア書店の仲間たち』『ヴェネツィアの宿』『トリエステの坂道』『ユルスナールの靴』など。訳書に『ウンベルト・サバ詩集』、N・ギンズブルグ『ある家族の会話』『マンゾーニ家の人々』、A・タブッキ『インド夜想曲』、I・カルヴィーノ『なぜ古典を読むのか』など。没後、『須賀敦子全集』(全8巻・別巻1)刊行。

 

哲学とはなにか
本書は「哲学とはなにか」という問いに、「音声」「要請」「言い表しうるもの」「序文」「ムーサ(詩歌女神)たち」をテーマにした五つのテクストをつうじて答えている。
人間の言語活動の始原にあるもの、その根本的な構造、音声と言語の差異を追って、考古学的研究と理論的研究が密接にからまりあう。

音声と言葉、音と意味が接触する瞬間を思考と呼ぶなら、詩と哲学は互いのなかに内在している。哲学とは音声を探究し記憶にとどめる行為のことだ。詩が言語を愛し、探究する行為であるのと同じである。

西洋の知は、究極的には、奪い去られた音声、文字への転写を基礎として構築されてきた。これこそは、西洋の知の脆弱な、しかしまた強靭な創建神話である。それらの延長線上に、現実を救うことを放棄して破壊に向かう科学と、もはや挑戦をせず、感性界とのつながりを失った哲学がある。

世界への原初的な開かれは論理的なものではなくて、音楽的なものだ。詩歌女神(ムーサ)たちの住まう場所。よって哲学は今日、音楽の改革としてのみ生じうる。
「哲学者が書いているすべてのことは、書かれていない作品への序文である」
──かつて予告した「人間の声」をめぐる構想に、アガンベンは25年をへて取り組んだ。

 
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