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【蛇笏賞】高橋睦郎さんの句集『十年』と正木ゆう子さんの句集『羽羽』に決定

第51回蛇笏賞は、3月30日に都内で選考委員会を行い、高橋睦郎さんの句集『十年』(角川文化振興財団刊/KADOKAWA発売)と、正木ゆう子さんの句集『羽羽』(春秋社刊)の2作品に決定しました。

 
蛇笏賞は俳人・飯田蛇笏にちなんで設けられた俳句の賞で、主催は角川文化振興財団(第9回までは角川書店)。前年の1月から12月の間に刊行された句集の中で最も優れたものに与えられます。受賞作には賞状・記念品および副賞100万円が贈られます。

 
選考委員は、宇多喜代子さん、片山由美子さん、齋藤愼爾さん、長谷川櫂さん。選考委員選評などの詳細は、5月25日発売の『俳句』6月号(角川文化振興財団発行/KADOKAWA発売)に掲載予定です。

 
今回の受賞者である高橋睦郎(たかはし むつお)さんは、安東次男さんに師事。小説、オペラ台本、新作能、新作狂言、新作浄瑠璃などの創作も加えつつ精力的に芸術活動を行っており、蜷川幸雄さん演出の上演台本も作成しています。

1982年に第20回藤村記念暦程賞(詩集『王国の構造』)を、1988年に第39回読売文学賞(句歌集『稽古飲食』)、第18回高見順賞(詩集『兎の庭』)を、1993年に第11回現代詩歌椿賞(詩集『旅の絵』)を、1996年に第11回詩歌文学館賞(長編詩『姉の島』)を、2000年に紫綬褒章を、2007年に第6回織部賞を、2010年に第28回現代詩人賞(詩集『永遠まで』)を、2014年に第5回鮎川信夫賞(評論『和音羅読─詩人が讀むラテン文學』)を、2017年に第15回現代俳句大賞(『稽古飲食』などの業績)を受賞しています。。

 
句集に、『舊句帖』『荒童鈔』『金澤百句』『稽古』『花行』『百枕』『遊行』など。

その他の著書に、評論『私自身のための俳句入門』『自句自解 Iベスト100高橋睦郎』『和音羅読─詩人が讀むラテン文學』、詩集『何處へ』『待たな終末』などがあります。

 
同じく受賞者の正木ゆう子(まさき ゆうこ)さんは、お茶の水女子大学在学中に兄・正木浩一郎さんに誘われて「沖」に入会。能村登四郎さんに師事します。
1996年澁谷道さんの「紫薇」に参加。2001年より能村登四郎さんの後をついで読売新聞俳壇選者となります。熊本日日新聞俳壇選者。2004年より角川俳句賞選考委員。

2000年に第14回俳人協会評論賞(俳論集『起きて、立って、服を着ること』)を、2003年に第53回芸術選奨文部科学大臣賞(句集『静かな水』)を受賞しています。

 
句集に、『水晶体』『悠 HARUKA』『静かな水』『夏至』。その他の著書に、『起きて、立って、服を着ること』『現代秀句』『十七音の履歴書─俳句をめぐるヒト、コト、モノ』『ゆうきりんりん─私の俳句作法』『一句悠々─私の愛唱句』などがあります。

 
なお、贈呈式は、同じく角川文化振興財団主催の迢空賞と合わせて、6月30日午後5時よりホテルメトロポリタンエドモンド(東京・飯田橋)にて開催されます。

句集 十年
自由詩、定型詩、小説などあらゆるジャンルを横断する詩人による、新しい叙情の可能性を切り拓く第9句集。10年間の集大成となる609句は、浩瀚な古典の世界を基調に日本語の豊かさ、深さを重層的に味わえる。

 
羽羽: 正木ゆう子句集
はは、掃き清める大きなつばさ――。

句集『夏至』以降の作品より、日常をはじめ、ふるさと熊本の句まで約300句を厳選。
風の香り、水の流れ、星の輝きに宇宙の鼓動を聴く研ぎ澄まされた感覚、人類の未来を想う感性、生きとし生けるものへの眼差しがとらえる神秘と感動。
森羅万象への直感が鮮やかに紡ぎだす第五句集。

 
【関連】
お知らせ – 角川文化振興財団

 


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