今村翔吾さん×小川哲さん×加藤シゲアキさんが呼びかけ!能登半島地震の被災地を「物語」で応援する企画が始動
2024年1月の直木賞選考会の夜に集まった3名の作家による能登半島地震支援企画「あえのがたり」が始まります。4月22日発売「小説現代」5・6月号に掲載の今村翔吾さん×小川哲さん×加藤シゲアキさんによる企画始動座談会を「現代ビジネス」でも公開します。
「そっと寄り添う物語を。それが必要になる瞬間まで」 同世代の作家3名による能登半島地震支援の企画が始動!2024年内に講談社から書籍として刊行。
2024年1月17日の直木賞選考会の夜、今村翔吾さん、小川哲さん、加藤シゲアキさんの3名により立ち上がった本企画。同じ時代を生きてきた作家同士だからこそ、これまでに起きた災害や被災者の皆さんへの共通する思いもありました。
まず企画始動のお知らせとして「小説現代」5・6月号に掲載される3人による座談会を、Web「現代ビジネス」(https://gendai.media/articles/-/128241)にて先行公開。
被災地の書店はいまだ復興半ばであることを鑑み、あらゆる環境にある方にも平等に読んでもらえるようにという考えから、Webでの先行公開を決定いたしました。
企画名である「あえのがたり」は、能登地方に伝わる伝統儀礼「あえのこと」から発想しました。能登地域の農家では「田の神様」を祀り、感謝をささげる儀礼を「あえのこと」と言い、「あえ=おもてなし」「こと=祭り」という意味を持つそうです。被災地の方に寄り添う思いを、物語という「あえ=おもてなし」にのせて届けようという意図からできました。
「現代ビジネス」と「小説現代」には地域の伝統文化に関する紹介も積極的に行っている、石川県の伝統老舗旅館「和倉温泉 多田屋」に協力いただき「あえのこと」の写真も掲載しています。
座談会にあるとおり、今後は、今村さん、小川さん、加藤さんの3人を中心に、たくさんの作家の方たちに参加を呼びかけて、掌編小説を執筆いただき、アンソロジーとして2024年内に書籍の刊行を目指します。
座談会では、
「この段階では、小説には何もできないかもしれません。でも、いつか物語が必要になる瞬間が来ると思うのです。そのときに傷ついている人たちにそっと寄り添えたりできる力が物語にはあると思っていて。年明けからずっと『自分に何ができるだろう』と考えていました」(加藤さん)
「忘却に対して、何か小説家として抗えないかとも考えてしまいます。本というのはずっと残っていくものだし、だから短期的に注目を集めるというよりも、(略)続けていくことが大事なんですよね」(小川さん)
「僕も、作家として震災に関わったことがないから、どうすればいいのか、っていうのは思うね。(略)残していかなければならないと。本は、何十年経っても読まれるもんだから、『記憶のしおり』としてはすごくいいもんやと思う」(今村さん)
などと企画始動にあたっての、熱い想いを語っています。
刊行予定の書籍では、参加著者の印税相当額と講談社の売上を能登半島の復興支援に役立ててもらえるよう寄付する予定です。
★「あえのがたり」公式Xアカウント:https://twitter.com/aenogatari
作家プロフィール(五十音順)
■今村翔吾(いまむら・しょうご)さん
1984年生まれ、京都府出身。滋賀県在住。関西大学文学部卒業。ダンスインストラクター、作曲家、守山市埋蔵文化財調査員を経て作家デビュー。
2016年に第23回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞、2018年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』で第7回歴史時代作家クラブ賞・文庫書き下ろし新人賞、同年「童神」で第10回角川春樹小説賞を受賞(刊行時『童の神』と改題)。2020年『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞、第8回野村胡堂文学賞、同年『じんかん』で第11回山田風太郎賞、2021年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第6回吉川英治文庫賞、2022年『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞。
他の著書に、「イクサガミ」シリーズ、『ひゃっか』『てらこや青義堂 師匠、走る』『幸村を討て』『蹴れ、彦五郎』『湖上の空』、『茜唄』(上・下)、『戦国武将伝』東日本編・西日本編などがある。
■小川哲(おがわ・さとし)さん
1986年生まれ、千葉県出身。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。2015年に『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテスト〈大賞〉を受賞しデビュー。
2018年に『ゲームの王国』で第38回日本SF大賞と第31回山本周五郎賞を受賞。2020年には『嘘と正典』に収録の「魔術師」が中国にて銀河賞の銀賞に輝いた。2022年に『地図と拳』で第13回山田風太郎賞、2023年1月には同作で第168回直木賞を受賞。同年刊行の『君のクイズ』で第76回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉を受賞。
■加藤シゲアキ(かとう・しげあき)さん
1987年生まれ、大阪府出身。青山学院大学法学部卒業。2012年1月『ピンクとグレー』で作家デビュー。
2021年『オルタネート』で第42回吉川英治文学新人賞と第8回高校生直木賞を受賞。昨年発売された『なれのはて』で二度目の直木賞候補となった。「NEWS」のメンバーとして活躍しながら作家としても精力的な活動を続けており、評価を高めている。
他の著書に『閃光スクランブル』『Burn.-バーン-』『傘をもたない蟻たちは』、『チュベローズで待ってるAGE22・AGE32』(全2冊)、エッセイ集に『できることならスティードで』『1と0と加藤シゲアキ』がある。
![]() | 小説現代 2024年5・6月合併号 講談社 (編集) <特別企画> |
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