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【訃報】作家・古川薫さんが死去 『漂泊者のアリア』で直木賞

直木賞作家の古川薫(ふるかわ・かおる)さんが5月5日、血管肉腫のため山口県下関市内の病院で死去しました。92歳。下関市出身。通夜は5月6日午後6時から、葬儀は7日午前11時から下関市楠乃2の551の115、下関典礼会館で。喪主は長男の貴温さん。

 
古川薫さんは、1925年生まれ。山口大学教育学部卒業。中学教師を1年間務めた後、山口新聞に入社。記者時代から小説を執筆し、編集局長時代の1965年に『走狗』が直木賞候補となります。1970年に退職し、専業作家となります。

出身地である長州の幕末・維新期をテーマとした歴史小説を多数発表。直木賞の候補にたびたび挙がり、10度目の候補となった1991年に、山口県出身のオペラ歌手・藤原義江の生涯を描いた『漂泊者のアリア』で同賞を受賞しました。

著書に『女体蔵志』『塞翁の虹(さいおうのにじ)』『十三人の修羅』『野山獄相聞抄』『暗殺の森』『正午位置』『花も嵐も 女優・田中絹代の生涯』『高杉晋作』『幻のザビーネ』『君死に給ふことなかれ 神風特攻龍虎隊』など。昨年(2017年)には『維新の商人 語り出す白石正一郎日記』が刊行されています。

 

漂泊者のアリア (文春文庫)
第104回(平成2年度下半期) 直木賞受賞

歌に生き恋に生き、世界的に名を馳せた藤原義江。英国人の貿易商を父に、琵琶芸者を母に持った義江の波瀾の人生。

 
維新の商人 語り出す白石正一郎日記
明治維新150年秘録
直木賞作家92歳の渾身作!
西郷隆盛、高杉晋作らと交流し、みずからも戦場に立った商人白石正一郎。その激動の日々―

安政4年(1857)11月12日夜。西郷吉之助(隆盛)が下関の豪商・白石正一郎邸のトビラを叩いたときから、幕末史は旋回した。百を超える志士たちと交流し、私財を擲ちそのパトロン的存在となって、みずからも奇兵隊の隊士として戦場に立った白石正一郎。一枚の肖像すら残さず、激動の日々をつづった日記だけを遺して歴史の中に消えた「維新の商人(あきびと)」の正体とは? 半生の冒険がつづられた『日記中摘要』に広がる背景世界と、往来する人々の息づかいを珠玉の筆致で描いた、圧巻の維新群像!

 


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