「ひとはなぜ戦争をするのか」を解き明かす『ロジェ・カイヨワ 戦争論 文明という果てしない暴力』が刊行
哲学者で東京外国語大学名誉教授の西谷修さんの著書『NHK「100分de名著」ブックス ロジェ・カイヨワ 戦争論 文明という果てしない暴力』がNHK出版より刊行されました。好評を博した「NHK100分de名著」の解説に、著者書き下ろしの特別章を収載し書籍化。
戦闘と殺戮の「本質」を分析し、今なお続く戦争の構図を解き明かす――。
本書は2019年8月に放送されたNHK・Eテレ「100分de名著」の番組テキストに、終わりの見えない戦争が続いている今こそ「西側」的原理の見直しが必要だと説く書き下ろし特別章「文明的戦争からサバイバーの共生世界へ~西洋的原理からの脱却」、読書案内などを加えた一冊です。
『遊びと人間』で知られる哲学者・社会学者ロジェ・カイヨワ(1913-1978)が1950~60年代の冷戦時代に綴った『戦争論』。彼は本書で、戦争の歴史に新たな光をあて、これまでなぜ人類が戦争を避けることができなかったかを徹底的に分析しました。
戦争を「破壊のための組織的企てである」とし、本書について「戦争が人間の心と精神とを如何にひきつけ恍惚とさせるかを研究したもの」であると記したカイヨワの複眼は、戦争が起きる状況と、それを実行可能にする人間のおぞましさを浮き彫りにしました。そこには「人間はなぜ戦争に惹きつけられてしまうのか」という精緻かつ赤裸々な人間洞察があり、また人間が生み出した文明を兵器利用するという人間のおろかさ、身勝手さに対する教育の必要性を論じました。
著者の西谷さんは、「民族間、宗教間の対立が激化し、最新兵器によるテロや紛争が絶えない現代にこそ『戦争論』を読み直す価値がある」といいます。イスラエルのガザ攻撃やロシアによるウクライナ軍事侵攻により私たちの価値観が揺さぶられている今こそ、手に取りたい一冊です。
★NHK「100分de名著」ブックスシリーズの「はじめに」と「第1章」をまるごと特別公開!:https://mag.nhk-book.co.jp/article/8086
本書の構成
はじめに 人間にとって戦争とは何か
第1章 近代的戦争の誕生
第2章 戦争の新たな次元「全体戦争」
第3章 内的体験としての戦争
第4章 戦争への傾きとストッパー
ブックス特別章 文明的戦争からサバイバーの共生世界へ ~西洋的原理からの脱却
読書案内
おわりに
著者プロフィール
西谷修(にしたに・おさむ)さんは、1950年生まれ、愛知県出身。東京大学法学部卒業、東京都立大学フランス文学科修士課程修了。哲学者。明治学院大学教授、東京外国語大学大学院教授、立教大学大学院特任教授を歴任、東京外国語大学名誉教授。フランス文学・思想の研究をベースに、世界史や戦争、メディア、人間の生死などの問題を広く論じる。
著書に『不死のワンダーランド』(青土社)、『戦争論』(講談社学術文庫)、『夜の鼓動にふれる――戦争論講義』(ちくま学芸文庫)、『世界史の臨界』(岩波書店)、『戦争とは何だろうか』(ちくまプリマー新書)、『私たちはどんな世界を生きているか』(講談社現代新書)などが、訳書にジョルジュ・バタイユ『非-知――閉じざる思考』(平凡社ライブラリー)、エマニュエル・レヴィナス『実存から実存者へ』(ちくま学芸文庫)、エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ『自発的隷従論』(監修、ちくま学芸文庫)などがある。
NHK「100分de名著」ブックス ロジェ・カイヨワ 戦争論: 文明という果てしない暴力 西谷 修 (著) ひとはなぜ戦争をするのか? 戦闘と殺戮の「本質」を解き明かす 『遊びと人間』で知られる哲学者・社会学者ロジェ・カイヨワ(1913-1978)が1950~60年代の冷戦時代に綴った『戦争論』。彼は本書で、戦争の歴史に新たな光をあて、これまでなぜ人類が戦争を避けることができなかったかを徹底的に分析した。戦争を「破壊のための組織的企てである」とし、本書について「戦争が人間の心と精神とを如何にひきつけ恍惚とさせるかを研究したもの」であると記したカイヨワの複眼は、戦争が起きる状況と、それを実行可能にする人間のおぞましさを浮き彫りにした。そこには「人間はなぜ戦争に惹きつけられてしまうのか」という精緻かつ赤裸々な人間洞察があり、また人間が生み出した文明を兵器利用するという人間のおろかさ、身勝手さに対する教育の必要性を論じた。 |
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