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柴田錬三郎賞&中央公論文芸賞ダブル受賞!青山文平さん『底惚れ』が文庫化

2022年に第17回中央公論文芸賞第35回柴田錬三郎賞をダブル受賞した、青山文平さんの時代小説『底惚れ』が文庫化され、徳間文庫より刊行されました。

 

文学賞2冠! 語り口に酔う、時代小説の最高到達点!

 
【あらすじ】

江戸で一季奉公を重ね、四十も過ぎた。小藩の屋敷で奉公中、ご老公のお手つき女中・芳(よし)の故郷へ宿下がりの同行を命ぜられる。理不尽な扱いに憤り彼女の味方になりたいと願うが、芳は俺を刺し姿を消した──。

一命をとりとめた俺は芳の行方を捜す。どうしても伝えたいことがあった。最底辺の女郎屋を営みながら芳が現れるのを待つ俺だったが、ある日、衝撃的な事態に遭遇し……。

 
<各文学賞選考委員の選評より>

「読みながらしばしば膝を打った。…作者が言葉少なに語り続けるのは、小説でしか表現することのできぬ人の心の闇である。これぞ読書の醍醐味と言えよう」
――浅田次郎さん(中央公論文芸賞選考委員)

「『底惚れ』は、時代小説のひとつの成熟であると同時に、革新である」
――林真理子さん(中央公論文芸賞選考委員)

「この作品の価値は冒頭の数行にある。五両と小作農という仕事は江戸期の経済に通じる作家の視点がある。…事件、物語があり、さらに色気がある。これほどの作品を柴田錬三郎賞に迎えられたのは、選考委員として喜びである」
――伊集院静さん(柴田錬三郎賞選考委員)

「本作の雰囲気は山本周五郎を思い出させた」
――逢坂剛さん(柴田錬三郎賞選考委員)

「一読、参りましたといいたくなった」
――大沢在昌さん(柴田錬三郎賞選考委員)

 

著者プロフィール

青山文平(あおやま・ぶんぺい)さんは、1948年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学政治経済学部卒業。経済関係の出版社に18年勤務したのち、フリーライターに。1992年「影山雄作」名義の『俺たちの水晶宮』で第18回中央公論新人賞を受賞。

2011年『白樫の樹の下で』で第18回松本清張賞、2015年『鬼はもとより』で第17回大藪春彦賞、2016年『つまをめとらば』で第154回直木賞、2022年『底惚れ』で第17回中央公論文芸賞第35回柴田錬三郎賞を受賞。

 

底惚れ (徳間文庫)
青山文平 (著)

村に染まれず、江戸に欠け落ちた男たち。当時の江戸は一季奉公の彼らに支えられていた。主人公は四十過ぎのそんな男のひとり。根岸にある小藩の屋敷で奉公中、訳ありのお手つき女中の道連れを命ぜられ…男の運命が変わる。純愛とビジネス成功譚! 

一作ごとに進化し続ける青山文平の語り口に酔いしれる!
女への思いをつのらせながら、はぐれ者だった男が、一途に自分を刺した女の行方を求める。女を捜す方便として、四六見世という最底辺の女郎屋を営みながら、女が現れるのを待つ。その仕儀を薦めてくれたのは、路地番の頭・銀次だった。ビジネス成功譚の側面と、女への思いを貫く純愛を縦線として、物語はうねり、意外な展開をみせ、感動の結末へ。魅力的な時代長篇。

 
蜂谷涼(北海道新聞2021年1月30日付)
「『底惚れ』なんとすごみのある言葉だろう。恋い焦がれて、惚れぬいて、首っ丈になっても、まだ及ばない。魂をひりひりさせる言の葉だ。」

細谷正充(東京新聞2021 12月11日)
「ラスト一行にたどり着いたとき、いい話を読んだという満足感を得られるのだ。タイトルそのまま“底惚れ”してしまう作品である」

大矢博子(小説すばる 2022年2月号)
「痺れた。何に痺れたって、主人公だ。自分を刺した女を探す男だ。その思いに、生き方に、そして何よりその語りに、痺れた」

縄田一男(日本経済新聞 1月27日)
「ラストで「俺」を襲う虚脱感がジワジワと比類無き感動へ変貌していくさまに接し、主人公の幸せを願わずにはいられないだろう」

「この場末のどこがいい?」
「ここはどこでもねえからね。なにしろ岡場所だ。あるはずのねえ場処さ…」

 


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